そのじゅういち せーとかいちょう
涼と僕の誕生日の次の日のことである。その日は朝早くから起きて朝食を作っていた。
まぁ、先程まで隣にいた涼の幸せそうな顔を眺めていても悪くないと思っていたがそれは考えないでおきたいと思う。安眠枕が聞いたのかいびきは書かなくなった。だが隣に女の子がいたのでなかなか眠ることは出来なかった。
僕はあくびをしながらフライパンの中で転がるウインナ―を眺めながらそんなことを考えていたのであった。出来た目玉焼きとウインナーを皿に盛り付け、ご飯をついだ所で扉が開く。
まず剣冶が先に起きてきてあいさつをして、自分の席につく。
そして次に涼がすっきりした顔で僕にあいさつをした後、意味ありげにこんなことを聞いてくる。
「時雨、昨日はよく眠れたかなぁ?」
その目は何か期待しているようだが僕は正直に答えるしかなかった。
「う〜ん、ちょっとベッドが狭かったから辛かったかな。」
そう言ってから自分の席(剣冶の前)に座りお茶を口に含む。剣冶は既に朝食を半分ほど食べ終えていた。
「そういうことじゃなくてさ、もしかしたら私の体に何かした?」
口に含んでいたお茶を盛大に剣冶に吹きかける。案の定剣冶は顔からしずくをぽたぽたたらしながら僕をにらんでいる。
「・・・・・・・・・・時雨君、朝からなに吹き出してんだい。僕が殺菌作用のあるお茶まみれになってしまったじゃないか。これがばいきん○んだったら小さくなっていたところだよ。」
「ご、ごめん。」
「今更動揺することじゃないだろ。」
そんなこんなで謝りながら登校の準備をする。
涼はまだ中学三年なので学校自体が違うので途中まで送っていくことにした。そして今日は珍しく満さんがやってこないのでいたって平和な朝の登校時間をすごせると思ったが・・・・・。どうやら僕の考えが間違っていたようである。涼とわかれて剣冶と学校に向かおうとすると後ろから落ち武者のような声が聞こえてきた。
「・・・・時雨君、いつの間にあんな竹刀娘と仲良くなったのかなぁ・・・・」
ぞくりとしながらも後ろを振り返ってみると満さんがにらんでいるのが確認できた。
「あ、あの子はそのぉ・・・・」
僕はしどろもどろになりながら答えようとしたのだが、朝のこともあり変に涼を意識してしまいなかなか答えることが出来なかった。剣冶に助けを求めるとにやりと笑いながらこっちを見ている。
「・・・・時雨君、僕は今日学校をきれいにするために早く学校に行くことにしたよ。僕の体は殺菌作用のあるバリアが護ってくれているからね。」
そんなことをいって走り去ってしまった。その後僕が何とか事実を踏まえながらも嘘みたいな話をして何とか満さんをなだめて成仏(正常)に戻すことが出来た。しかし成仏させる時間はかなりかかり、気がつくと昼食の時間になっていたので剣冶と共に弁当を食べることにした。そして突然校内放送が鳴り響く。
『えー、皆様、生徒会長様が長い修行の末にお戻りになられました。これから生徒会長様のありがたいお言葉を皆で泣きながら聞きましょう。』
・・・・・・なんじゃそりゃ。
そしてスピーカーから流れてくる声にはどこか聞き覚えのあるような声だったがまず間違えることのない真実がある。
『こほん、皆のもの久しぶりだな。私ことベリル・リナはこのたびようやくこの学校に戻ってくることが出来た。』
廊下では『べりるさまバンザーイ』と叫んでいる生徒がかなり多い。しかしこの声はどう考えたって女の子の声である。ここはまだ男子校なのではなかったのであろうか?
『・・・・・しかしいつもより帰ってくるのが遅くなってしまったようだ。口調が変わっているので話しづらいのでここからは普段どうりに振舞わせてもらおう。』
う〜ん、そういえばどこかで聞いたことのある名前である。だがこんな古臭いしゃべり方をする知り合いをもっていただろうか?思い出せないのは単に僕の脳がボケてしまったからだろう。
『・・・・おーほっほっほ。みなのもの、喜びなさい。私が来たからにはこの学校を共学になんかさせないわ。なぜなら私は今まで一度しか負けてないからね。』
「・・・・付き合いきれないね。時雨君、満さん、今から急いで放送室に行こう。」
僕は微妙に行きたくないような感じがするので嫌だったが二人に手を取られ引きずられるような感じで校舎を走っていったのである。途中廊下に立っている生徒は僕を見ても逃げずに何か言っているようだ。
「お前もそろそろ年貢の納め時だな。」
そんなことを言っているのが過労時で聞こえたぐらいなので後の発言も変わらないことだろう。そんなこんなで放送室の前に立ったのはいいが今日はどうやら厄日のようである。不適に笑う二人に囲まれて腕をつかまれ思いっきり放送室に放り込まれた。
「「あさのうらみじゃー。」」
後ろで閉まる扉からそんな言葉が聞こえてくる。そして僕はマイクに向かって話している人物の足元に転がっているようである。見上げるとそこにはやはりどこかで見たことのあるような顔が今度は僕を見下ろしている。
「おーほっほ。ようやくあえたわね、天道時 時雨。今度は負けないわよ。」
はて、やはり記憶が不鮮明であるから思い出すことが出来ない。こういう場合は本人に確認を取るのが一番である。しかし、失礼があってはならないので、僕がもてるだけの知恵を使い目の前の人物に話し掛ける。
「すいません、あなたは誰ですか?」
いやぁ、まいったね。部屋の空気が一瞬のうちに凍ったのを肌で感じるのは生まれて初めてだ。
「・・・・・・私を忘れたとその口は言いましたか?」
や、やばい。このままでは僕の命にかかわることになるかもしれない。こうなったらやけだ、感を頼りにしていくことに越したことはない。しかしそんなことをしている余裕はないようだ。
「・・・・・私は綺麗かしら?」
あ、思い出した。この人あのときの神様だ。
「まぁ、確かに綺麗ですね。」
ベリルさんからは強烈な光が放たれており、神々しいのは嫌でもわかるというものである。
「ふふふ、今度はこの前みたいに無様に負ける気がしないわ。」
やれやれ、僕には人を傷つけて快感を覚えるような変な性格ではない。今回も悪いがさっさと気絶してもらうことにした。
『我は、紅き悲しみと蒼き哀しみを背負いし天界と魔界を統べるもの。』
世界が紅と蒼に包まれる。久しぶりに使ったのでなんとなく家に帰ってきたような感覚に襲われる。
「・・・・・・今回も悪いですが気絶してもらいます。」
「やってみなさいよ。」
黄色い光と紅と蒼が混じった光(簡単に言うなら紫。)が激突。今までたっていたベリルさんはドサリと床に倒れ伏す。どうやら今回も勝つことが出来たようなのでほっとする。
「・・・・・悪いけど今日は悪戯させてもらいますよ。」
近くに転がっていたサインペンを片手に僕は気絶しているベリルさんの顔に芸術的?な落書きをほどこしてこれまた都合よく転がっていたポラロイドカメラで写真を撮った。
一応言っておくがそれ以上の事は何もやってないといっておこう。ちゃんと写真をとった後は顔のマジックは消しておいた。また何かいちゃもんをつけられたら僕は困ると思うから念の為である。
既に二人は教室に帰っておりようやく到着した僕を冷え冷えする目で眺めた後話し掛けてきた。
「やれやれ、負けてあげればよかったのに。」
「そうだよ時雨君、たまには負けてあげなよ。」
その後、家に帰り着くまでその口撃は続いたことを記しておく。
さて、その頃ようやくめを覚ました生徒会長さんは夕焼けに染まる空を見上げて悲しそうな溜息をついているのであった。
「ああもあっさり負けてしまうとは全く想像もつかなかった。」
そしてもう一度溜息を出すが今度の溜息は悲しそうな感じはしなかった。
「・・・・・私の体に傷をつけずに気絶だけさせるなんて優しい奴のままですわね。それに私が気絶している間何もしなかったなんてなかなか見所のある奴ですわ。」
まぁ、時雨の要領のよさがなんとなく滲み出ているような気がしないでもないが今回の生徒会長撃破のうわさは瞬く間に広がり各地(教室)から白旗をあげる者達が多く出ていた。つまり、このことにより徐々に共学の動きは激しい勢いを増していくのである。
なんかやるきないみたいな題名になったのでお詫びしておきますね。さて、出てきたけどあっさり負けてしまった生徒会長。満を帰しての登場でしたがあまり活躍できてなかった気がしますね。ということで出来たら今度はせいとかいちょうをもう一度登場させて何とかしてやりたいと思います。まぁ、そろそろ終わりに近づいているような雰囲気がありますが最後は久々の時雨のどじが発揮されておしまいにしたいと思います。




