会話
ギルバートは騎士候補生達が訓練する場所であるグラウンドの見学席に険しい顔でグラウンドを見ていた
「……」
視線の先には準備体操をしているレイストがいた。レイストから目を離さないで心の中でゼアに話しかける。
《ゼア、レイストは守護士に向いてると思うか?》
《向いている。強さは申し分ない。それに…》
《それに?》
聞き返したギルバートの耳にクスッと笑い声が聞こえた珍しいな、ゼアが笑うなんで。
《人見知りするおまえが最初からなついていたしな》
《なっ、なついてた?》
《そうだろう?初めて会った者に敬語を使うおまえがあのレイストという青年には私語を使っていた。》
《それは…なんていうか…初めて会ったのに懐かしい感じがしたんだよ》
《懐かしい…》
《ああ。それでこいつなら俺を守ってくれるって思った》
《そうか。私は彼を推薦したいどころだが、辞めといたほうがいい。》
《なんで?》
《レイストは…おまえをーギルバート》何かいいかけたゼアに名前を呼ばれて
ギルバートは頷いて気配を感じた後ろに振り向く。
「やっほ。ギルバート」
「……」
「ちょっと待って。なんで私をみた次の瞬間に逃げようとするのかな?」声をかけてきた人物のほうに皮肉ぽっくゆっくりと顔を向けて、ついため息をついてしまった。
「…とりあえず、その服から他の服に着替えて下さい。」
「なんで?私はこういう服が好きなんだが」
ニコニコっとギルバートに笑いかけるリザルトは動きやすそうな白い格闘着を着ていた。
「そうゆう問題ではありませんよ。あなたが着るべき服はそのような服ではなく儀礼服です。それに何故ここにいるんですか?」
ギルバートの冷たい視線にリザルトはそ~っと目をそらす。「…気になる事があってね」
「気になる事?」
「うん」
青い目を閉じたリザルトにギルバートは自身の貴族の雰囲気を消し、ひざまずいた。
目を開いたリザルトはクスッと笑う。
「ギルバート、ひざまずかないでくれ」「…分かりました。今は普通に接するようにする」
「あっ、久しぶりにギルバートの私語を聞いた。」
「……」
「とりあえず、立ってくれるか?」
「ああ」
ギルバートが立ち上がるのを見てからリザルトは話し始めた「気になったのは最近『あの方』が起きていることだ。いつもは力のコントロールの為に眠っているのに、最近は私の中で騒いでいる。『奴が来た』とか『やっと会える』とかな」「『あの方』は通常、巨大な力をコントロールする為に眠りにつき、あなたの身に危険が襲いかかった時以外に目を覚ますことはなく、白き世界と呼ばれる夢の中であなたに接触すると父から聞いている。『奴』は敵なのか?」
「それは違うよ。『あの方』がここに行けば『奴』に会えるって言ったんだ。数少ない媒体である私を危険な所に行かせるわけがない。で、私は『あの方』が騒ぎ始めた頃にここに入った新候補生に目をつけた。」
「最近まで騒いでいなかったって事は『奴』を感知していなかった事に繋がる。つまり、その頃の候補生ではなく、新しい候補生ということになる。」
「そうゆうこと。で目をつけたのが」
「レイスト・エレクト」
2人は当時にグラウンドで呑気にあくびしているレイストを見る。
「レイストはゼアを見えていた。」
リザルトはギルバートに顔を向け、瞳の中のゼアに心の中で話しかける。
《ゼア、レイストと『あの方』は何か関係があるのか?》
《私は答えることができません》
ゼアの答えを聞いてギルバートはレイストがゼアを見ていた時のことを思い出した。あの時、ゼアの力が強くなっていたっけ。よく考えて見るとレイストがゼアの力を強くさせていたような気がするんだよな。…とりあえず、この件は棚に置いとくか。
「できませんか。つまり、レイストは『奴』と『あの方』と関係があるっていうことだな」
「レイストが『奴』という可能性は?」「分からない。でもレイストが何かを隠しているのは確かだよ。」
「その何かを知ることがレイストが『奴』であることを示すかもしれないということだな。だが、どうやってレイストが隠している何かを探るんだ?」
「あっ、そこらへんについては平気だよ」
「…どうゆうことだ?」
「それはもうすぐ分かる。ほら、試験が始まった」
聖霊武装騎士試験が始まったのをみながらクックックッと笑うリザルトにギルバートはつい引いてしまう。
なんで、俺の周りにこんなタイプの人間しかいないんだあー!!?
ギルバートの心の叫びに返事は返ってこなかった。