出会い
遅くなってすみませんでした。
いろいろと忙しく、書く?時間がありませんでした。これから1週間に1度は出すペースでいきます。さて、やっと主役の2人が会います。どんな展開になるのか読んでからの楽しみということで。
ではまた来週(?)
ここはどこだ?
体のあちこちに痛みが走るのを無視しギルバートは起き上がった。
高級品ぽっい家具がバランスよく配置されていて動きやすく小物を緑で揃えているせいかリラックスできる。
しかし、ギルバートはこの奇妙な傾いた天井の部屋に見覚えはなかった。
「なんで天井が傾いてるんだ?それに天井の一部が壊れてるし…」
屋根裏部屋という言葉は知っているが、実際に見た事がないギルバートは貴族なので使用人の居住部屋として使われている屋根裏部屋に入ったことがないのだ。キョロキョロと物珍しいそうに屋根裏部屋を見ていたギルバートは自分の上半身だけ服が脱がされていて包帯が巻かれていることに気づいた。
なんで包帯が?と思っているとギルバートの真っ正面の扉が開き、紫色の瞳と明るい茶髪が特徴的な青年が入ってきた。「あっ、起きた。体の調子はどうですか?酷い怪我だったので応急手当てはしましたが、僕は水の共鳴者ではないので多少痛むと思うんですけど。」
「ああ、少し痛む。たが、応急手当てをしてくれてありがとう。ところで、君は誰だ?」
「すみません、まだ名前を申していませんでした。僕はレイストです」
「えっと、レイストは名前?それとも名字?フルネームで名乗ってくれ」
「……」
レイストは黙り込んでギルバートを見る「レイスト?」
ギルバートに話しかけられ、はっと我にかえったようにあわてて返事する。
「あっ、え~とですね…レイスト…エレクト。レイストは名前です」
「そうか、ありがとう、レイスト。俺の名前はー」
「ギルバート・ツヴァイ・ファイルト様ですよね?」
「…なんで知っている?」
いや、庶民が4大貴族次期当主の名を知っていてもおかしくないのだが、顔は知らないはずだ。
なぜなら、庶民に顔を見せるのは王族だけで基本的に4大貴族は裏方だ。
それにギルバートの顔を知っているのはファイルト家の使用人と家族、そして4大貴族だけだ。
もっともテロリストたちは知っているらしく何回か襲われたことがある。
どう見ても庶民であるレイストが使用人という可能性はあるがファイルト家の使用人の顔を全員、覚えているギルバートはレイストの顔には見覚えがなかった。
「実は怪我の手当てをする為に、失礼ながらも服を脱がせたさいに着ていられた上着のポケットから御手紙が出てしまいしまおうと偶然、御名前が見えてしまい…すみませんでした。」
「手紙…ああ、あれか」
モニカ王女の手紙のことか。
そう思った瞬間、手紙の内容を思い出してしまった。
『ヤッホー、ギル、元気にしてる?私は元気だよ。来月の王位継承式のついでに4大貴族当主を守る役目の守護士発表をすることになったんだ。でも、1つだけ問題があるの。ギル貴方の守護士だけいないのよ。改めて後日にだと国民に不安感を与えてしまうしテロリストの暴走が起きるかもしれない。神獣を身に宿す王が国を守り、王を守るのが聖獣を身に宿す4大貴族当主、そして、4大貴族当主を守るのが守護士。私の言いたいこと、分かるよね?貴方が守護士を選んでいないことは国の存続の危機に関わったってこと。というわけで守護士探し頑張ってね。あっ、そうそう、ワリアット訓練所に面白い奴がいるから行って見てね』
清廉された王女が書いた手紙とは思えない俗っぽい書き方だ。アズールにあったら見せようっと。
見せたら絶対にモニカ王女はスパルタ教育を受けることになるだろうが、国の為だ。…もっとも本音は違うのだが。
それは置いといて。守護士かあ。
なんかこいつだっ!って感じの騎士がいなかったから探すの止めてたんだよな。このランゴバルト王国を統一する王の身には神獣『創神竜ロイネスト』が宿っており、ロイネストがこの国を災害や疫病から守っている。
そのロイネストと王を守るのが聖獣を身に宿す4大貴族当主だ。4匹の聖獣には治癒、鍛治、結界、予知とそれぞれに特殊能力を持っておりその力を使い王とロイネストを守るのだ。国を戦場にしたいという人はどこの世にもいるわけで、まずは王の守護者である4大貴族当主を倒そうと考えて襲ってくるのだ。4大貴族当主は聖獣の力でこの国と王を守っているので自身の守りに手薄になってしまい死ぬ可能性が高くなる。
4大貴族当主が死ぬことは国の危機に繋がる為、4大貴族当主は専属騎士『守護士』をつけることが義務づけられている。今、守護士がいないのはギルバートだけで他の4大貴族次期当主は守護士をつけている。
うーん、つけないといけないのは分かっているんだけとな。「あの、ギルバート様。」
レイストに話しかけられ、はっと我にかえる。
「すまん、考え事していた。ところで、ここはどこだ?」
「ここはワリアット訓練所の寮の僕の部屋です。昨日、あの屋根が壊れている部分からギルバート様が落ちてきたんですよ。」「はっ?どういうことだ?」
「うーん、僕は知らないです。その後に部屋に入ってきた男が貴方を渡せなんのって言ったんですが、明らかに貴方を襲っていたのが分かったので…ちょっと懲らしめました。訓練所の守衛に男を渡したので大丈夫です。」
そうだった。
モニカ王女の御手紙を読んでから、ワリアット訓練所を見に行って、納得できる騎士がいなかったから家に帰ろうとしたら襲われたんだ。
やっぱりお供をつければ良かった。
暗かったから顔は見えなかったけど、多分、テロリストだろうな。
現当主には最強の守護士がついているから、倒すのは困難だ。ならばまだ守護士をつけていない次期当主ギルバートを倒し、スキを見て王を倒そうとした。大方、そんな感じで襲ったんだろうけど、もう少しのところで、俺がレイストの部屋に落ちて殺せなかった。それところが、返り討ちにあったっと。…落ちて良かった。
「ありがとう。…レイストは騎士候補生か?」
「はい。まだここに来て4ヵ月なのでそんなに騎士ぽっくないですけど。」
「いや、騎士ぽっいよ。なにせ、俺を守ってくれたんだからな。強いんだろうな?」
他の貴族に見せる冷たい笑みではなく、暖かい笑みを浮かべるギルバートにそう言われると、レイストの目に昨日のリザルトとの会話の時に出た闇と同じ暗い闇が宿る。
「僕は強くない。強かったら…あんなことには…」
何かに悔やんでいるようなレイスト。
「レイスト?」
レイストの様子がおかしいのに気づいたギルバートはレイストの顔を覗きこむ。「…すみません。ちょっと、考え事を…えっ?」
レイストがギルバートと目を合わせた瞬間、固まってしまった。
どうしたんだろと思っていたギルバートはレイストの紫色の瞳に映っていた物に気づく。
それはギルバートではなく、本来なら4大貴族と次期当主と王族にしか見えない物だった。
「…狼?」
このレイストの言葉でギルバートはレイストが ギルバートの父、レドナルドからギルバートに少しずつ移動中の存在を見ていることを確信した。
ギルバートの中にいるファイルト家当主の身に宿る結界を司りし聖獣、白狼ゼアをレイストは見えていた。
4大貴族当主と次期当主と王族にしか見えないはずの存在を…。