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落ちてきた青年

…失礼だったかな。いきなり立ち去るのは。

訓練が終わってすぐに訓練所の中にある寮の部屋に戻ったレイストはソファに寝転んで昼間のリザルト達との会話のことで後悔していた。

まさかあの名が出るとは思わなかった為動揺したが、よく考えてみると騎士だったら必ずと言ってもいいほど会話に出てきておかしくない名だよな。四ヶ月の間、出てこなかったのは奇跡って言ってもいいんだろう。

はあ、いつになったら僕はあれから逃げられるのかな?

逃げられないのは分かってるけどさ、もうあれに僕の人生を支配されるのは嫌だ。あれのせいで僕は、僕は、あの子は…バキッ、ボキッ

木が折れるような音が耳に聞こえた。「…なんだ?この音?上から聞こえるんだけど」

なんか嫌な予感がするな、当たって欲しくないなと思いながら、愛剣を手にとりいつでも防御にはいれるように構える。その間にもバキッボキッと音が大きくなっていく。

この部屋は屋根裏部屋で、その上で体術の訓練とかをする酔狂な人は…リザルトくらいだろう。

だが、リザルトは午後から騎士候補生の任務訓練についており明日の昼までは帰ってこないのでリザルトではない。

だとすれば、こんな夜遅く屋根の上で暴れてるのは誰だ?

レイストがそう思った瞬間、ちょうどレイストの真上の屋根が壊れる。それと当時に青年が落ちてきたので、とっさに青年を受け止めた。青年の体のあちこちに酷い怪我があって、生きているのが奇跡に思えるくらい青年は衰弱していた。とりあえず青年を屋根の残骸がないほうのソファに寝かせる。

そして、青年の後から入ってきた柄の悪そうな男を睨む。

「屋根、直してくれませんか?この修理代、僕に来るんで困るんですけど」

「そいつを渡せば直してやる。」

ニヤニヤと笑う男に屋根を直す気がないのが分かったレイストはスッと殺気を出しながら、頭の中で白い道を思い浮かべる。

「…交渉決裂だな」男の言葉を無視したレイストは地を蹴ったと当時にレイストの体が白く輝き、男の視界から消えた。男はあわてずに来るであろう攻撃に対処する為、気配を探った。「っ!!後ろか!」後ろに振り返った瞬間、男は奇妙な浮遊感に襲われた。

その後すぐに腹に衝撃を受けて奇妙な浮遊感が消えた。

腹に襲った痛みでうずくまる男の目に映ったのは、レイストの屋根裏部屋ではなく夜の訓練所のグラウンドだった。

「共鳴者か!!」

たまに聖霊に力を借りることを許された者の中に、聖霊の力と自身の魂が共鳴して聖霊の持つ様々な特技を使えるようになる者がいる。

その者のことを共鳴者と呼び、レイストもその一人だ。

今、レイストが共鳴した『風』は身体能力を格段にあげる特技を使える。

その特技を使い男を屋根裏部屋から訓練所の中にあるグウランドまでまたたくまに移動させた。ついでに屋根を壊された恨みで腹に蹴った。男の目の前に夜の闇の中で白く輝くレイストは立ち、口をゆっくりと開く。 「あれ以上、部屋を壊すとリュイン先輩に怒られるので移動しました。部屋に置いてある家具全部、リュイン先輩に借りてるんです。あの人、何気に怒ると怖いんですよ。」

男は威圧的な殺気を発しながらにこやかに話すレイストに恐怖を感じた。

グラウンド全体にレイストの殺気に包み込まれていて逃げ場がない男にニコニコと笑いかけながら、頭の中に紫色の道をイメージした。

「それに、ちょうどイライラしてたんですよ。うん、ちょうどいい時に来てくれました」そう言ったレイストの周りに紫色の光が出てきてレイストの殺気に誘導されたかのように男を襲った。暗闇のグラウンドの中で男の悲鳴が響いた。

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