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Xファイル   作者: Haduaru
1/1

~トモダチ~

何も無い殺風景な部屋に一人、男が立っている。

眼鏡をかけた少し背の高い賢そうな男。

ファイルを片手に部屋の中心で立ち止まった。

「皆さん、【Xファイル】というのをご存じですか?科学では証明できない生物や現象。それを収集したものが、【Xファイル】です。それでは第1ページ目をご覧下さい。」

「友達。それは人によって様々です。慰めたり、話したり、最悪喧嘩友達なんかもいるかもしれませんね。今回の主人公の友達は一体何なんでしょうか?彼の友達は何もしゃべらないし何もしない。忘れられた過去の友達。だからといって彼は、友達を・・・。そんなことをしたから彼は大変な事になってしまいます。おっと、これ以上は」男は苦笑いをする。

「それでは、1ページ目を開いて、自分の目で、お確かめください」

男はニヤッと笑ってファイルを閉じた。。。。

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【トモダチ】

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あんな事、あんな事しなければよかった・・・・・あんな事。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



~1日前~

僕は広樹。小学5年生。明日は学校で研究の発表をしなければいけない。だから僕の家には同じ班の友達4人が来ている。正直言って、なぜ僕の家なのだろうか・・・。まぁ来てしまったものはしょうがない。

「広樹君。まだ画用紙あるかな?あと1枚でできるんだけど。」

「あ、あぁあるよ。ちょっと待って」

そう言って広樹は自分の押し入れの中を探る。学校でもらって来た画用紙が1枚足りなかったのだ。

(あれ?この辺にあったはずなんだけどな・・・)

広樹は少し下を見た。古くなった箱がある。

(なんだろう。)

広樹は箱を開いて「あ!」っと目を大きく開いた。

「ヒロシ君だ!」

思わず声が漏れてしまった。ヒロシ君は人ではない。転校して友達ができなかった僕は、自分で粘土の人形を作り、それを【ヒロシ君】と名付けた。悩みを聞いてくれるも、一緒に遊ぶも、肌身離さずもっていったものだ。それはそれは大事にしたものだ。しかし、友達が出来る内に、ヒロシ君は僕の記憶から薄れていった。懐かしい。広樹は画用紙のことなんて忘れて押し入れから出した。

「おい広樹。なんだそれ?」

大輝だ。少し太ってガキ大将みたいな奴だ。まぁなかなか頼りがいがある。

「あぁ、僕の友達が出来なかったときの、たった一人の友達なんだ!」

「へぇそうなのか。」

大輝はヒロシ君をひょいと僕の手から取って、馬鹿にしたように笑った。

「ははは。腕が伸びる~」

大輝はヒロシ君の腕を伸ばした。そりゃ粘土だから伸びるだろう。

「おい!やめろよ~。返せ!」

「そうよ大輝君。それは広樹君のたった一人のト・モ・ダ・チなんだから。」

陽子と愛菜が僕をからかう。わざわざ「トモダチ」の部分を強調してニヤニヤ笑って僕を見る

「ち、違うよ!こんな物!」

(僕にはもう友達がいるんだ。もうヒロシ君なんて。こんな物!)

広樹はヒロシ君を片手に持って手を天井に向かって振り上げる。

「こんなもの。もう友達じゃ無い!」

広樹は思いっきりヒロシ君を地面に叩きつけた。グチャッッッ!!鈍い音とともに一瞬時間が止まったように思えた。

形がグチャグチャだ。もう原型をとどめてない。かすかに顔がわかるぐらいだ。

「あ~ぁ。わざわざそんなことしなくてもいいのに~」

4人は声をそろえる。

「いや、いいんだ。もう。」

床には、原型をとどめてないヒロシ君がくっついている。

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やっと終わった。もう6時だ。

「あ~やっと終わった~。なかなかのできばえだな」

大輝が自信ありげにいう。確かになかなか良い出来栄えだと自分でも思う。

「じゃあな広樹~。」

「じゃあね広樹君。」

「じゃあね」

「じゃあな広樹。また明日~」

4人は帰っていった。その一人。大輝の背中の服の端には、とれたヒロシ君の腕ががっちりと掴んでいたというのは、誰も気づかなかった・・・。

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次の日

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「はい。5班の発表でした。礼!」

「ありがとうございました!」

拍手を受けて、やっと緊張が和らいだ。終わった・・・


帰りの会の後。放課後だ。

同じ班の吉木とトイレで話をしていた。やはり発表の話だ。

「今日大輝来てなかったな。昨日はあんなに元気だったのに、どうしたんだ?」

「だよな。あいつ、今まで学校休んだこと無いのに」

「緊張してズル休みでもしたんじゃないか?」

「ハハハハハハ」

二人でそんな話をしていると、トイレの個室から音がした。何かが倒れる音のようだ。

「え、おい。誰かいるのか?」

キィィと、不気味な音を立ててゆっくりドアが開く。出てきたのは大輝の頭だ。

「え、大輝。お前来てたのか?なんでトイレでいるんだよ!」

無表情だ。それに酷く色が悪い。少し沈黙が続いた。続いたといってもほんの5秒ぐらいだ。すると、大輝の首が恐ろしく伸びて吉木に襲いかかる。まるで粘土のようだ。

「ヒ、ヒィィィィィ、広樹!助けてくれ!」

泣きながら吉木は助けを求める。僕は吉木の腕を掴み引っ張った。大輝じゃない・・・大輝の頭の形をした粘土が吉木の足に絡みつく。広樹は思いっきり引っ張るが、吉木の足から粘土が離れる事は無い。

そのとたん。吉木の足が粘土になった。グニョゥと伸びて足が粘土の色になっていた。

「ひ、広樹!助けてくれ!」

すさまじい勢いで吉木の体が粘土になっていく。ほんの数十秒で吉木全体が粘土になってしまった。

広樹は手を離す。大輝と吉木が粘土になってしまったのだ。2つは絡み合いながらグニョグニョとしている。そのとたん、粘土が伸びてきて、広樹の顔をかする。

「う、うわぁぁぁぁぁぁ」

広樹は大慌てで学校から出た。運動場の水道で顔を洗う。

「こ、これは夢だ。こんなことありえない・・・。人間が粘土になるなんて・・・。は、はは」

広樹は少しパニックを起こしていた。何が起こっているのか分からない。広樹は顔を洗おうと水を出した。冷たい水で顔を洗う。顔を拭こうとしたそのとたん、蛇口から粘土が出てきた。

「う、うわぁぁぁ。なんだこれ!」

粘土は全蛇口から出てきて1つの塊になる。

「こ、これは」

広樹は言葉が出なかった。だって、これは・・・

「ヒ、ヒロシ君!」

そう。大きな粘土の塊はどこをどうみてもヒロシ君だ。自分が作ったヒロシ君。自分が壊したヒロシ君。

ヒロシ君は、大きな手を広樹の腹に強く当てる。広樹の体も粘土に変わっていく。

「やめろ。ヒロシ君、僕ら友達だろ。なんでこんな・・・ことを。」

肺も粘土になっていく。息苦しい。ヒロシ君は少し止まって。

「ト・・・モ・・ダチ?」

「そ、そう。友達だろ?」

そう言ったとたん。ヒロシ君の顔が鋭くなった。恨みに満ちたような顔だ。

「キミハソノトモダチニ・・・」

ヒロシ君は粘土になりかけた広樹を空に向かって振り上げた。

「コンナコトヲシタダロォォォォォォ!」

広樹の体はものすごい勢いで地面に叩きつけられた。

次の日、運動場は賑わっていた。生徒、先生の目に映っているのは山積みになった粘土だった。その積み上げられた粘土の端に、広樹の原型のとどめていない顔があることは、誰も気づかなかった・・・

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トモダチ終了

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また不思議な空間に男が立っている。

「いや~。恐ろしいですね。過去の友達に殺されてしまうなんて。友達と言えども所詮他人ですからね~。え?そんな事ないって?どうなんでしょうか。」

「古い物には命が宿ると言います。ここに物置にほこりをかぶっていた、ぬいぐるみがあります。これも命を宿しているのですかね~。」

彼はぬいぐるみを地面にそっと置いた。

「あなたの子供の時の大切なぬいぐるみ。今はどこにありますか?もし記憶にない。もしくは無くなったのでしたら。それはどこかへ歩いて行ったのかも・・・。」

男はニヤッと笑う。不気味な顔だ・・・。

「それでは皆様。また会いましょう。次はどんなファイルなのでしょうか。楽しみです。」

彼は地面に手を伸ばした。

「あれ?ここに置いてあったあったぬいぐるみ知りませんか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一人でどこかに行ってしまったのかもしれませんね。」

男が暗闇に向かって歩く。彼の姿が見えなくなった時、部屋の隅の壁の穴に、毛玉が1つ、転がっていた・・・・・・・・。

ミステリー系を書きたいと思い書いてみた作品です。今は少しばかり忙しいので次回作の投稿はすこ~し遅れるかもしれません。皆さん応援よろしくお願いします。

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