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『異世界人間失格 ~スキル【批評】持ちの独白~』  作者: 猫寿司
【第四章:あるいは、私という人間の『虫』】

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仕事での『小さな成功』と『没落』

二重の鎧をまとった私は、社会に出た。

最初の事務機器会社は、例の「批評癖」で半年もたずにクビになった。

私は、転職を繰り返した。

(俺は悪くない。周りが愚かなんだ)

そう、いつものように「批評」しながら。


二十代半ば。五社目だったか。

小さなWeb制作会社に潜り込んだ時、一度だけ、転機が訪れた。

その会社の社長(四十代の、人の良さそうな男だった)が、私の「ひねくれた視点」を、なぜか「面白い」と評価したのだ。


会議の席で、私は、いつものように他人の企画の「アラ」を指摘した。

「そのデザイン、古いです。ターゲット層に響かない。私なら、もっとミニマルな構成にしますね」

周囲が凍りつく中、社長だけが「ほう。佐藤くん(私)、分かってるな!」と手を叩いた。

高校時代の、あの「作文の賞」の再来だった。


私は、高揚した。

(キタ。やはり俺は『批評家』として正しかったんだ)

私は、調子に乗って、口先だけで「改善案」を語り続けた。


そして、社長は言った。

「じゃあ、その素晴らしい企画、君がリーダーで実行してくれ。期待してるぞ」


……私は、凍り付いた。

B君を見捨てた時と同じ、冷たい汗が背中を伝った。

(リーダー? 実行?)

私に、企画書の書き方など分かるはずがない。

私に、他人(部下)への指示の出し方など、分かるはずがない。

私は「批評」したいのであって、「実行」したいのではないのだ。


結果は、惨憺たるものだった。

プロジェクトは炎上した。

私は、B君やSにしたのと同じように、失敗の責任を「部下デザイナーが無能だからだ」「上司(社長)のサポートがないからだ」と、**口先だけで「批評(責任転嫁)」**し続けた。


私は「口だけの詐欺師」というレッテルを貼られ、その職場を追われた。

(……ああ、まただ。俺は、実行できない)

(俺は、Kを倒した『暴力』も捨て、今また、唯一の武器だと思っていた『批評』も、実務(現実)の前では無力だと証明されてしまった……)

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