1章2話
中盤まで設定の語りがありますが、ご興味のない方はクリフとアダムの会話まで飛ばしちゃってください。読まなくても二人のおさらい会話で大体わかります!
遡ること2年前――。長き七国大戦を終えて、平和が訪れたムーテリス大陸を再び暗雲が覆った。
太陽の降り注ぐ神話国家ルルイエにも例外なく、その影が押し寄せてきた。影の正体は冥王星、またの名をユゴスという巨大な惑星。
数億年前、まだ神々が生き、肉体を持って人々と共存していた『有神時代』と呼ばれる古き文明時代から存在し、かつては最も人類が住む星から離れた観測地点と呼ばれるものだった。
ほどなくして、惑星はさらにこの星へと接近し、闇をまといながら強く発光して突如いくつもの黒い星屑を放った。黒い星屑が舞い降りながら有毒の瘴気を放ち、人々の体を容赦なく覆う。覆われた人間たちは一瞬にして骨になってしまった。
この攻撃により、人類の3分の1が謎の死を遂げた。生き残った人類、諸国の王たちは対策を講じる間もなく、惑星から巨大などろどろとしたゼリー状の塊が降りてきた。汚濁を煮詰めたようなヘドロ状の体に埋まった無数の目や唇、むき出しの牙を持つ怪物……その恐ろしい姿を肉眼で見た人々は正気を失い、そのまま息絶えてしまうものがあった。大戦を終えた後も、互いににらみを利かせ合っていた王国の長たちはこの時ばかりは手を組み、砲弾や魔脳技術によるレーザー照射攻撃などあらゆる手段の攻撃を試したが、怪物は一切ダメージを受けることがなかった。
全員がなすすべもなく絶望したころに、怪物は言葉の代わりにテレパシーを各国の王や総統に送り込んだ。
「余、アザトースを筆頭とした宇宙を統べる外なる神々は、この星の生物を全て排除し、創生前の状態に戻すと決めた」
そう告げたのちに怪物は姿を消した。惑星に戻ったのか、もしくは別のところから人類を見ているのか……?
突然テレパシーが頭に流れ込んできた恐ろしさと同時に、アザトースと名乗ったのは頭上を覆うあの惑星から降り立ってきたばかりの怪物だと全ての権力者たちは悟った。
怪物はその後、いったん惑星に戻ったのか姿を消した。だが、彼の「理由」と「真意」だけはわからない。
なぜ、なんのために、これは人類への罰なのか? 人々は戸惑うばかりだった。アザトースのテレパシーが答えも目的も一切告げない、あまりにも端的かつ一方的な通達だったためだ。
人類は衛星などを利用し、幾度となく対話を試みたが、宇宙の神アザトースは一切返答を返さず、もしくは面倒そうに「破壊」とテレパシーを送るだけだった。人類は対話の価値がないと見なされているのか、あるいは性急に事を為す理由でもあるのか? 何か答えを与える代わりに、アザトースはさらに星屑を放ち、千人以上の人間が犠牲となった。
七王国の代表である王たちは真っ先に、この世界の母であり、この世界における技術全般を担う魔脳科学の源である包括的人工知能「魔脳マグダラ」にどうすべきか対策を尋ねに上空にある飛空艇へと向かった。
『魔脳マグダラ』とは、一万年前に死んだ地上の神々が、自らの肉体を引き換えにして人類に残したと言われる最高峰の人工知能。
技術、歴史、人間の悩みと恐れ全てに対する完璧な答えを持った彼女は神なき時代に人々を救い、発展を手助けする唯一のツールとなった。
地上には『魔脳マグダラ』の本体と交信できるアクセスポイントと呼ばれる水晶碑がある日突如、無数に生え出た。
人々はいつもそこに向かい、時間が許すまで彼女に必要な知識を、神亡き時代への不安に対する答えを問うた。彼女に答えられないことは何もなく、全てに的確な判断を下した。教育や技術発展もみな、マグダラとの対話に頼るようになった。
「魔脳マグダラ」が誰に作られたものか、元から存在していたものかはわからないが、この大陸が七王国に別れてからの人類は彼女の知識を利用して魔脳科学とよばれる魔法と科学を融合させた技術工学を発展させ、生活を便利にした。
彼女の本体である巨大水晶は世界唯一の非戦地帯と呼ばれる空域の彼方に浮かんだ知能財産保護飛空艇の中、魔脳空走機でしかたどりつくことのできない『水晶の泉』に安置されている。
権力者たちがアクセスポイントを利用せずに本体への謁見を選んだ理由は、情報漏洩防止と、国民の命が絶えず刈り取られる状況のなか、ある伝説を絶望的な状況の中、無心で信じてのことだった。
『水晶の泉』では文字や数字を記した青い水晶盤の上に、巨大な逆向きの三角錐型の水晶が銀の鎖で振り子のように吊るされ、ぎょろりとした大きな瞳が水晶の中心についている。その三角錐型の振り子水晶こそが魔脳マグダラだった。その姿は一見グロテスクだが、直接謁見に来た者には得難い叡智を与えると言う伝説がまことしやかにささやかれていた。
振り子の下の文字盤は共通言語で記され、彼女はおのずから揺れて運命を記していく――はずだった。
だが、王たちが謁見に訪れ、邪神アザトースの来臨と人類侵略について尋ねた時、魔脳マグダラは振り子の体をぴくりとも揺らさず、機械生成音声で淡々と自身の見解を述べた。
「アザトース、外なる神たちの侵攻に関しては人類の決定にゆだねられている。わたくし魔脳マグダラからの提案はない」
王たちはざわつきながら、それでは困ると講義した。しかし、魔脳マグダラは態度を変える気配もない。
「資源と人命の摩耗であり、人類破滅の引き金となる七国大戦を終戦せよと幾度も推奨したが、誰も従わず、200年間も争いを続けた。破滅防止提案は無用と判断」
その答えに当時のルルイエの王であったアーサーは焦った様子で、
「人類の過ちの責任は無辜の民にはない! 我ら王が全面的に負うべきだ。本当に考えなしですまなかった」
そう言って、人工知能である魔脳相手に深々と頭を下げ、謝罪をした。(のちに馬鹿正直の極みとその行動は揶揄されたらしい)。
そして自分アーサーと竜玉公国の皇帝、楊炎龍が手を組んだことで、七王国大戦が終わったことを引き合いに出して、どうにか魔脳に考えを変えてもらおうと粘った。
だが、魔脳マグダラの答えは変わらず、何度問いかけても同じ回答をするだけだった。
違和感を覚えた楊炎龍はそれまで黙っていたが初めて口を開き、東方訛りのきつい言葉で「魔脳がへそを曲げるとは聞いたことがない。さてはお前もあいつらの傀儡か?」と問うた。
すると魔脳マグダラは「そう……私はユゴスからの侵略についての推奨案・対策の提示を一切許可されていない」と答えた。
「許可されていない」。何に? いや……誰に? その疑問を発する前に、王たちは悟った。
これまで王族から学者、庶民に至るまでのすべての人間が当てにし、技術開発から軍事作戦に至るまで全面的にその知識に頼ってきた人類最強の叡智、魔脳マグダラもまた、宇宙の邪神たちの支配下に下った……もしくは元来アザトースたちの傀儡であったのだと。
彼女が人類に叡智をもたらしたのもおそらく何らかの采配であり、もはやその叡智は人類に味方をすることは二度とないのだと。
やがてマグダラの巨大な瞳の色が血のように赤く染まっていき、振り子が異常な速さで振れ出す。振り子は文字盤を行き来し、ある言葉を示し続けた。
「NO」、「NO」、「NO」。七王国の共通言語バベルトで否定を示し続け、そしてその直後に静止し、一切誰の呼びかけにも答えなくなった。
魔脳マグダラの完全停止は人々を驚かせた。かろうじて神話国家ルルイエでは国の魔脳科学者が彼女の回答データの保存をとっていたため、疑似的な回答機構である「魔脳マリア」を開発し、点在するアクセスポイントに挿げ替えて接続を行った。
だがその後、すぐにユゴスから新たな刺客が放たれた。アザトースの眷属である黒い雌山羊、ジョブ・ニグラスだ。突如地球に接近し、空の上に現れた山羊の巨大に膨らんだ腹からいくつもの繭が生み出され、それが破れて昆虫や半魚人のような魔物が地球に降り立つようになった。彼ら魔物の体は硬く、いかなる剣や銃でも貫けない。
人々はただ嬲り殺されるのみで、各国は緊急で対邪神シェルターや国を守る防護壁を作り始めた。
ルルイエでは先々代の王が学術を好み、そして魔脳へのアクセスポイントが特に多い土地だったために七国大戦が起こる前は大学が多くあり、各地から貴族や学者が遊学に訪れそのままこの地に根付いた名残からか、学者や科学者が今も多い。
そのため、魔法と魔脳マグダラとの連綿と続く知性対話によって磨いた科学知識を融合させた魔脳科学技術が発展した。
魔脳科学者たちは被害者の傷から魔獣の爪や牙を採取し研究。魔脳シールドを急遽開発して実装したが、それが及ぶ範囲は限られる。
王族と貴族と生活水準の高い国民が住む王都だけを魔脳シールドで覆ったため、シールド外に住む一般階級の国民たちは日々、絶えず繭から生まれくる魔物に襲われ、命を落とした。ルルイエは七国大戦の終戦後、「非戦闘平和国」を掲げているため、軍備が弱い。そのため、都市以外に住む人間の生命に関しては事実上の遺棄がなされた。
善なる国王アーサーは演説では涙を流し、彼らを憐れみながら、これはかつての七国大戦の再来だと憂いた。王アーサーが隣国の竜玉公国の皇帝、炎龍とともに平定したその争いについて言及したことにより、国民は溜飲を飲んで現状を受け入れた。他に頼るものもなく、飲まざるを得なかったからだ。
魔脳科学で開発した平気で魔物に立ち向かうも、魔物のしぶとさは異常だった。百人の部隊でかかっていったとて、とどめの一撃を食らわせられないまま、全軍ロストする。そして都市以外に住む国民達が刈り取られ続けながら、容赦なく時間だけが過ぎていった。
王アーサーは失われる命に涙を流しながら、疑似魔脳マリアと幾度ともない対話を繰り返し続け、やがて国の運命を変える魔導書、「ネクロノミコン」の存在を見つけた。
それはアザトースに匹敵する力を持つと呼ばれる。それはかつてこの世界を創生した夢見の邪神、クトゥルーを呼び出せるという代物。
奇しくもルルイエにはその魔導書が存在した。それはルルイエに輿入れし、王子を産んだ正妃、エーデルヒ王国出身の王女ヘレナが持ち込んだゆえだった――。
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長い、長い、長い……。一体いつになったら読み終わるんだ……?
アダムはずっしりと重い資料を読みながら、思わずあくびをしてしまった。
首輪をつけられたあと、アダムは執務室と呼ばれる簡素な作業部屋に連れていかれ、クリフにどっさりと分厚い資料を渡されたのだった。
クリフに案内されながら、自分が今いるここはルルイエの王城なのだと説明を受けた。王城の中は広く、玉座や王が生活する場所はもちろん、執務室、会議室、図書館、「半神特殊部隊」という半神を集めた軍隊の者たちが食事をとったり、休憩をする場所、そして宿舎も備えられているらしい。
実際に、自分が寝ていた部屋からこの執務室までもかなり歩いて辿り着いた。だるく重い体を引きずるはめになったアダムは、自分の体でその恐ろしいまでの広さを理解したのだった。
クリフに「この国と現在の状況について簡単に理解してほしい、電子より紙の方がまだ見やすいから」と言われて資料を渡されたが、この分厚い紙の束を全部読み込むのはどう考えても三日はかかる。
そのとき、執務室の自動扉が開いてアダムははっとする。「僕が戻ってくるまでに読み切っておいて」と言われたためだった。
「やあ。少しはこの国の歴史や現在の状況について理解できた? アダム」
床に座っていたアダムは頭の上から降ってきた声にはっとする。思わずまた眠りそうになったとは言えない。
「あ、うん。大体は……」
だが、アダムを見下ろすクリフは何かを悟ったように言った。
「居眠りしようとしていたの? よくないことだね、お仕置きしようか」
「じょ、冗談だろ!? 居眠りなんてしてないし!」
「どうかな、僕はこう見えて無益な嘘はつかないよ?」
アダムははっと恐れたように息を呑む。どこかその様子をいたずらっぽく楽しむようにしてクリフは笑った。だが、その笑顔をきゅっとすぐに引き締めて言う。
「それで、進捗は? 全部は読めていないだろうけど、ここまでで君が得た情報をできるだけ簡潔に報告してくれ」
「あー……資料を読んで大体わかったよ。えっと、つまりユゴスって星からアザトースっていう悪い神様が降りてきて、人類を全部滅ぼそうとしてる。繭から生まれてくる魔物は彼らの仲間で危険な悪者だ」
「情報に誤りはないな。そう、こんな悲劇的なことが起こるなんて思わなかった……。僕の父上、アーサー公もあんなことになってしまうなんて」
「ごめん、そこ、読めてないかも……」
「だろうね、君の読解速度と物事に対する理解力を鑑みればわかるよ」
辛辣すぎる……。そう思ってアダムは後ろめたさに頭をかいた。だがクリフは軽く首を横に振る。
「いや、君の知能レベルや飲み込みの質は決して悪くはないよ。ただ、あまりにも時間がなくてね。僕は公務や軍人の配置や作戦考案で忙しいから」
「うっ……悪かったって、時間を割いてもらって! ……それより、お父さん、亡くなったの?」
クリフはぴくりと眉を寄せ、そして目を伏せて悲しげな表情で言った。
「……ああ、僕の父であるアーサーは深海に眠る夢見の邪神であり創生主の
クトゥルーを魔導書ネクロノミコンで呼び出した。そして彼との賭けに勝ち、自分の命を差し出す代わりに半神生成技術の叡智を彼から聞き出して僕たちに残してくれたんだ。父は何よりもこの国と……自分の子供を愛していたから」
邪神との賭けで命を落としてもなお、国の命運と無辜の民を救おうとした王の大きな背中――。そんなイメージがアダムの脳裏に浮かび、どこかきらきらと輝いた。……なぜか少しだけ、懐かしいような気がした。
「そうなんだ。アーサーさんって、すごい王様だな。後を継いだ君も。若いのに皆を守るために頑張ってるなんて、尊敬するよ」
クリフはなぜか不快そうに眼を細めた。
「僕は王としての義務を果たしているだけだ。尊敬の対象にすることはない」
「でも、すごいよ! だって君、たぶん俺より年が下だろ?」
「確かに君の1つ下だが、微々たる差だ。君は19歳で、僕は18歳だから。話がそれてしまったが、つまり君の義務について改めて言うと」
アダムはクリフの言葉を遮って言う。
「つまり、半神になった僕たちは魔物と唯一戦える存在だ。一生懸命戦ってみんなを守ればいいんだろ?」
「まあ、そういうことだ」
「困ってる人たちが助かるように、頑張るね! 俺、人助けって好きだし、やれると思う!」
「単純な……いや、簡潔な理解でよろしい。細かいところがだいぶ抜けているけれど、まあいいだろう。魔脳に関してはわかった?」
「えっと、地上の神様が死んだときに人類に残してくれた、何でも答えられる人工知能? だっけ。いや、それがダメになっちゃったんだっけ」
「ああ。魔脳マグダラは機能を停止した。でもこのルルイエでは魔脳技術が発展しているから、疑似人工知能マリアによってほとんどのインフラやシステムを管理している。君の首輪にもマリアが内臓されているから、何かあれば「マリア」と声をかけて質問するといい。所詮はかつての母体マグダラの疑似コピーに過ぎないし、大した回答が得られないときもあるけどね」
ふとアダムは自分の首を見下ろす。首輪はクリフが言った通り、今は苦しくは感じない。だが、疑問が襲う。
「これは、何のためにつけているの?」
「半神を管理するためだ。位置情報を確認し、魔物の討伐数や体内データを全て管理する。そして……」
そのとき、サイレンの音が響いた。どこからか、機械音声が聞こえてくる。
「新たな繭の破裂確認。半神の追加動員を要請します」
クリフは「マリア、エリアマップを」と声をかける。すると空中にホログラム状の地図が表示された。彼はそれを一瞥したあとすぐに、空中に指をスライドさせ、地図を消した。
「ちょうどいい、E-3エリアの確認個体は君のレベルでもどうにかできそうだ。イリヤ・ヘルメスと組んでもらおう」
「えっ、今から戦うの? 俺、やってみたことないんだけど」
「模擬演習をしたところで、実戦で活躍できるかは本人の資質と適正次第だ。まず、実戦への投入を行うことにしている。この後支給する隊服に着替えて十分後に広場へ集合。ペアのイリヤに色々教えてもらってくれ。それから大切な聖遺物を持っていくのを忘れずに」
「あの、先が折れた槍を……? まさかあれを武器にして魔物と戦うの?」
思わず戸惑って身を乗り出したアダムに、クリフは馬鹿なことを聞くなと言わんばかりに鼻を鳴らして言った。
「それ以外に何がある? 神の残留意識と自分を接続する聖遺物が神器であった半神はみな、その武器を使って物理で戦うんだ。武器ではない聖遺物で繋がった半神は別の異能を授かったりと様々だが。ノーデンスの半神である君の聖遺物は彼が使っていたその三叉槍。先が折れてはいるが、実験の結果、突き刺し、もしくは殴打によって魔物の討伐が可能だと証明された」
「ええっ……折れてるやつで戦うの? 修理ってしてくれない感じ?」
アダムは思わず不安を感じて言った。だがクリフは淡々と一蹴する。
「無理だ。聖遺物は人間に埋め込むことはできても、加工はできない。もし手を加えられるとすれば、神の意思が働いたときだ」
そのときはアダムはふと、首の後ろにぞわりとした感覚を覚えた。半神は神の聖遺物を体内に埋め込んでいる、と改めて理解する。
だったらあの金色の槍の一部が自分の体にあるのか。それが、善神ノーデンスと自分を繋ぐ唯一のもの……?
だが、人の体にそんなことをして平気なのか? クリフはアダムの考えを呼んだように笑う。
「半神の叡智がなんたるかが気になるかい? 疑問を抱いたところでそういう存在だとしか、今のところ僕には説明できないな。ともかく、初陣を頑張ってくれ。ポーンは初めに2マス進む権利があるからね。ビギナーズラックがあらんことを」
クリフはそう言い、執務室を後にした。取り残されたアダムは手元の分厚い資料(これをたった十五分で全て読み込めと言ったクリフはやはり鬼だと思った)と冷たい首輪、そして折れた槍を冷静に見て、ため息をつく。
だが、首をぶんぶんと横に振り、「やるぞ!」と切り替えて気合を入れる。
「まずは目の前にいる人たちから助けないと。一日一善、頑張ろう!」
自分の体やなくした記憶について、気になる事は山ほどある。だが、今は置かれた状況をどうにかするしかない。とりあえずは楽観的に考えることにした。
そうすれば……夢の中で出会った、あの泣いてる男の子のことも助けられるかもしれない。