表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニミ物語  作者: カボバ
入学編
62/276

61




5人で下の階に戻る。待っていたユウガにも説明をし部屋の中に戻る。




「テルマのティーはその声を聞くのは初めて?」


しばらく考えるようなそぶりをした後、テルマに目線を送る。



「この校舎内はたくさんの声が遠くから常に聞こえてる状態だから正直初めてかどうかわからないって。でもあんなに近くで聞こえて姿が見えなかったのは初めてだったって。」


「やっぱり誰かがいるよね。」


コナミの言葉に今日何度目かの沈黙が流れた。





考えているうちに開けっぱなしの扉から声がかかり振り返るとタモンが迎えにきていた。



「そういえば、先輩も声聞こえない側って事はティーは物ですか?」


テルマがタモンにそう聞く。




「俺か?よく言われるティーが動物か物かって話なら俺はどちらでもない。」


タモンがそう答える。



「ということは先輩もミリアと同じタイプってことかぁ。」


片付けやら荷物をまとめたりなどしている間2人がそんな話をしている。



テルマのティーがタモンの足元で尻尾を振っているが、テルマ自身もタモンに興味津々で尻尾を振っている様子が幻視された。



「テルマ!」


廊下からもう1つ声がした。


どこかで聞き覚えのある声だと思えば、それは姉さんと同じ寮のランだった。



「タモンさん、俺の後輩が何かしましたか?」


どうやら、テルマのブーケットの1人はランらしい。



「僕何もしてませんよー。」


ランに腕を引っ張られながらテルマが抗議の声を上げる。



「ミリア、外で待ってる。」


そう言ってタモンは行ってしまった。




「誰にでも尻尾を振るんじゃありません。」


ランはそう言いながらテルマの両頬をつねる。


「なんでー。」


頬をのばされながらも抗議する。



「この学園には絶対に触れてはいけないところがあるんだよ。」


ランが手を離して言い聞かせる。



「ミリアの先輩で毎日迎えにきてくれる先輩なのに…。」


「ミリアもアズハもどちらかといえばあっち側なんだよ。」


その言葉にテルマは首を傾げる。




「それより先輩が呼んでるから行くぞ。」


そう言ってランはテルマを引っ張って行ってしまった。



「私も先輩待たせてるから行くね。」


「またね。」


足早に教室を後にした。




いつも通りクラブハウスの前でおりて自分の部屋に向かう前に姉さんのティールームをノックする。


しかし今日は不在なのか返事がない。



仕方なく自分の部屋に向かう。


部屋の中に入りベランダの方を見ると今日もオベロのティーが来ていた。



しかし今日はいつも以上に小さな姿でよく見れば何かを咥えている。



「こんにちは。」


ベランダに出ながらそう声をかけると嬉しそうに声をあげながら羽ばたきこちらへと来る。



そして目の前まで来たので手を出すとその上にとまり口に咥えていたものを置いた。


それは小さく折り畳まれた紙だった。


一度こちらに目線をおくるとすぐに飛び立って行ってしまった。



(なんだったんだろう?)


そう思いながら手に残った紙を開いていく。




そこに書かれていたことに半分は理解できるが半分は理解できなかったため、分かりそうな人を探すことにした。



「わかりますか?」


結局1階までおりたところで大テーブルのところでブラウニーズに何やら指示をしていたタモンを見つけた。



向こうもこちらに気づいたようで、早々に指示と解散を伝えると何かあったのかと聞いてきた。


なので経緯と紙を見せて何かわからないかと聞いた。


紙に書かれていた内容は昨日のお礼を改めて書かれていた前半と、明日水曜日はできれば人目につかないように隠れた方がいいという後半の内容だった。



「たぶん先輩なりに教えてくれたんだろ。」


タモンはそう言ったがまだなんのことだかわからない。



「俺が推測するにミリアを勧誘したい他のクラブの主たちが明日動くから出会いたくなければ隠れてやり過ごせって言ってくれてるんだ。」


「他のクラブですか。」


学園に来て約2週間。



色々なことがありすぎて忘れていたがティーパーティー以外のクラブは招待状を受け取ってそれ以降何もしていない。



今までのタモンや姉さんの発言からそう言ったところから距離を置けるように守ってもらっていると薄々勘づいてはいた。



「何かきっかけがあったのかそれとも時間が経ってそろそろ俺を突くだけでは我慢ならなくなったか。直接交渉しようと言うのを先輩は聞いたんだろ。」


「そのタイミングが明日だと?」


「そう言うことだろうな。」


タモンがため息をつく。




「ミリアはどうしたい?」


「正直今は目の前のことで手いっぱいどころか抱えきれずに落としてる感じまであるので、これ以上は遠慮したいです。」


これ以上は無理ということを正直に伝えた。




「そうだよな。」


「来るなら12号館でしょうか?」


「12号館でも自宅でもここでもだろうな。」


現状行けそうなところは全て見つかるだろうということだった。



「逃げ出すのは難しそうですね。」


「誰が動くかわからないけど、実質的に学園最強が来るわけだしな。」


「それって明日だけですみますか?」


「それは大丈夫だろ。新入生はまだまだ来るだろうからいつまでも1人にかまってられない。」



いつまでも手に入らないものより新しく来る才能を見極める方がまだ建設的だということだ。




「明日を乗り切れば少なくとも祭の時期までは乗り切れるということだろうな。」


祭の時期がよくわからないが、明日1日を乗り切ればいいということだった。



「ミリア、明日1日どこかの影に入ったままでいることはできそうか?」


少し考えた後にタモンがそう提案した。



「長い時間影の中に入ってたことがないのでわからないですが、その手がありましたね。」


言われてみれば影の中なら今の所、誰かに干渉される心配はないだろう。



「どこでもいい。俺が思いつく限りで対策も教える。だから1日影の中でやり過ごしてくれないか。」


「わかりました、やってみます。」




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ