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結局その後タモンに見送られる形で乗り場まで行き、帰宅することになった。
帰宅すれば、アダンが言った通り、彼女が新しい植木鉢と土を用意していた。
「今から植えるの?手伝うよ。」
彼女はニッコリ笑い頷いた。
一度家の中に入り荷物を置いて外に出る。
玄関を出て右手に周り、階段を過ぎるとそこは少し小さめのガレージになっていた。
彼女が植木鉢を指差し、その次に階段を指差す。
「これを持って2階に言ったらいいんだね。」
そう確認すると彼女が頷いたのでその指示で間違えないことがわかった。
軽い素材でできているためいくつか重ねた植木鉢を持って階段を上がる。
扉を開けるために一度置いて後ろを振り返ってみると彼女は土が入っているであろう袋を山ほど持って上がってきていた。
それでもにこやかな表情は崩さないのだから、彼女が人間とは違う生き物であることを再確認した。
その後は彼女の指示に従って、植木鉢を配置し土を入れ白い石を植えていった。
見た目にほとんど違いはないように見えるが、彼女はそうではないようで1つだけ植えるものもあれば1つの鉢に5個植えたものあった。
植え終わるころにはすっかり日も暮れ、慌てた彼女に風呂に入れられいつもよりもかいがいしく世話をやかれ早めの就寝になった。
「そんなわけなんだけど、何かいい方法ないかな?」
木曜日の授業は午前中の歴史に始まり、午後は先日の実技の続きだ。
参加自由と言われたが、欠席する理由もないので全員で参加する。
前回クリアした2人はとりあえず見学するようにと言われ梯子をのぼり、壁に沿うように造られた見学席にテルマと移動した。
ここなら他の人に聞こえることもないし、今はまず味方を作っておきたいと言う考えからテルマに相談した。
もちろん下で行われている実技の見学をおろそかにするつもりは2人ともないし、テルマには昨日聞いた話を全て包み隠さずするわけではなく大雑把にしか話していない。
「ざっくり言えば、家族でのヒエラルキーを学園にまで持ち込んでクラブでエライ事になってるんだけど先輩たちでは解決できそうにないからミリアに話が来たって言うことで大丈夫?」
「ざっくり言えばそう言う事。」
「なんで僕?」
「なんで話したのかって事ならとりあえず誰かと2人で話せる機会が今あったから、なんでテルマかって事ならテルマが1番この問題の外にいると思ったから。」
下ではまず2人1組の2チームになって片方が課題に挑戦する間もう片方が問題点とその解決策を探すことにしたようだ。
「そうは言っても、根本が家族の事でなんなら暴力まで関わってるとなると、僕たちに説得できる余地ある?」
「本当にその通りです。」
もしかしたらオベロはダメで元々と言う考えで相談を持ってきたのではないだろかとまで思う。
「僕が何かできるとしたら、ミリアとコウヤを何かの機会に2人にするからまずは2人で話してみない。ってことくらいかな。」
「ご協力、ありがとうございます。」
「あとはあれだね。ミチカとコナミには知られない方がいいね。」
「それは私もそう思う。」
ミチカはなんでもとにかくやってみろと言いかねないよく言えば姉御肌、悪く言えば図々しいところがある。
コナミは問題を大きくとらえ過ぎるところがあるので今回の騒動を膨らませて慌てふためきかねない。
「そこで相談なんだけど週末の夜、僕たちの寮に遊びに来ない?」
「寮に?」
あまりに唐突な誘いだった。
「そう。僕たちの寮ってさ僕の他にユウガとコウヤ、それからミチカの4人だけの寮なんだ。」
たぶんSクラスでなおかつ動物のティーだからだと思う。とテルマは付け足した。
「まぁできるかどうかは先生に要相談だけど、そこでならうまいこと話す場くらい作れると思うんだよね。」
「テルマがそう言うなら最初の一歩として協力お願いしようかな。」
そして授業は終わりにその足で教職員室に向かいノオギに許可を取りに行ったところあっさりと許可が降りた。
「各寮の門限を守れば別に止めはしないぞ。」
それがノオギの言い分だった。
「と言うことで、今週末うちの寮でミリアの歓迎会やります!」
一度着替えに分かれて1211室に全員集合してからテルマが言った。
「いいね!そう言うの好き!!」
最初に同意したのはユウガだった。
「先生に許可は?」
「今とってきた。」
「何か特別なことする?」
「用意する時間もないし、普通に夜ご飯食べるだけだよ。」
そんな話をしているうちにタモンが迎えにきてその場は解散になった。
大きめの修正をしていたため投稿が遅くなりました。




