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(何かが影に入った!)
感触がした。
きっと何かが飛んできたのだろう。
それを瞬時に判断して影が先に動いたようだ。
「ごめん!!ぶつかってない!?」
そう言いながら奥の1番前の席から立ち上がり1人の生徒が走り寄ってくる。
影が手の上に先ほど入ったものを出す。
どうやら黒い小さな鳥のようで尾が長く胴体は丸い。
手に出されたあとすぐに立ち上がり数秒キョロキョロと見回してからまた飛び立った。
「大丈夫?怪我はない?」
手前側1番前の席に座っていた女の子も走り寄ってきてくれた。
「大丈夫。ぶつかってないから。」
「さっきのがあなたのティー?」
背が高く短い髪の女の子は髪色と同じ毛色のネコを肩に乗せていた。
「そう。」
「すごいね!」
思っていたのと違う反応にこちらが少しびっくりした。
「私はミチカ。よろしく!」
「ミリアです。」
そういい握手を交わす。
「せっかく新しいメンバーが来たから、みんな自己紹介しようぜ!!」
そう言ったのは中央に座った男の子だった。
「俺、ユウガ。俺のティーは何にでも化けるキツネ。」
そう言うと机の上に置いていたペンを拾い上げ突く。するとポンと軽い音がして手のひらの上には赤毛の綺麗なキツネが現れた。
「次は俺ね。俺はコナミ!見た目は何の変わりもないペンだけど。」
言いながら机の上に白い羽ペンを立てる。するとペン先から黒い線が伸び中をクルクルと伸びていく。
「線を自由に伸ばすことができるんだ。よろしく!!」
そう言って伸ばした線がこちらに向かって来て手の形を作りひらひらと振ってから戻って行った。
「僕は、コウヤ。僕のティーのツバメはじっとしてるより飛んでる方が好きなんだ。さっきは本当にごめん。」
先ほどの鳥、ツバメを指先にとめて改めて謝罪してきた。
「次は僕!!」
そう言い中央1番後ろの席から立ち上がり降りてきた。
「俺はテルマ。俺のティーはシロイヌ。」
そう言いながら何かが飛び出してきたと思うとあっという間に足元にぶつかった。
右手ですくうように拾い上げると毛の長くくりくりとした目でこちらを見ながら小さくふわふわのしっぽを千切れんばかり振っている。
「俺、さっき見てたんだけどさ。鞄とか荷物とかってどこにやったの?」
テルマが興味津々に聞いてくる。
「あぁ、私のティーは物を入れることができるからそこに入れただけだよ。」
そう言いながら白犬を持つ手を少し上に上げ、袖口に反対の手を入れる。次に出した時にはその手に鞄を握って出してみた。
「めっちゃ便利!」
そう言ったのはミチカだった。
「私のティーは可愛い声で鳴くネコよ。いいなぁ毎日荷物持ってくるのとか大変だからうらやましい。」
ニャー。と高く澄んだ声でネコが鳴く。
「とりあえず全員の自己紹介が終わったし、ミリアにSクラス施設を案内するけどついてくる人!?」
ユウガがそういうと他の4人全員が手を上げた。
「どうせ今日はもう先生くる授業ないし、暇だからみんなで行こうぜ。」
テルマのその言葉を皮切りにみんながそれぞれの席で荷物をまとめ始めた。
「Sクラスの使う部屋は全部で7部屋。この1223号室月曜1時間目のクラスミーティングと金曜2時間目の語学の授業で使うよ。」
コウヤがそう説明してくれて部屋を出る。
「隣の1222号室は今の所使う授業は特になし。もしかしたら今後授業が増えたときに使うかもしれないけど、鍵が開いてるから使いたい時は自由に使っても良いって。」
そして1番奥突き当たりの部屋に着く。
「ここが1221号室。火曜日2時間目と木曜日3時間目の歴史の授業はここであるよ。」
この部屋は最初に試験で使ったので記憶に新しい。
1221号室と1222号室との間にある階段から一階に降りる。
「そしてこっちが1211号室。」
そう言いながら扉を開けてみんなで入る。
部屋の中は真ん中で2つの空間に分けられていて、手前には四角い大きな机に椅子が4脚綺麗に並びそれが4セット均等に配置されたスペース。
中央に柱とガラスの壁そして両端に扉を備えた先にはたくさんの本棚がある。まるで小さな図書館のような場所だった。
「ここは自習室。課題でわからないこととか大体はあっちにある本で調べられるよ。」
勉学に特化した簡易図書館といったところかな感じた。
「最後に1212号室と1213号室なんだけど。」
そういって1212号室の扉を開ける。
「この2部屋は男女別のラウンジ。」
「Sクラスは授業がない時間が多いけど、寮や外で過ごすくらいなら少しでも学校にいて欲しいってことらしいよ。」
先輩がそう言ってたとミチカが付け足す。
部屋の中はソファーにテーブル。
暖炉の前には大きなラグ。
奥には冷蔵庫と簡易的なキッチンにティーセットの揃った食器棚もある。
「飲み物はセルフでいつでも好きなだけ。お菓子とかパンも自由に食べて大丈夫。いつの間にか補充されてるから。それから昼食もここに時間になったら人数分運ばれてくる。」
「本当は女子は女子、男子は男子。それぞれの部屋で過ごした方がいいんだろうけど、ミチカは昼食持って男子ラウンジに来るよな。」
「だって1人で食べるの寂しいんだもん。」
「じゃあ、私も昼食は男子ラウンジにお邪魔させてもらうかな。」
「昼食だけじゃなくていつでもおいでー。」
楽しくワイワイと会話すると鐘の音が聞こえる。
「今が1時間目の終わりだね。とりあえず中に入っちゃおうか。」
ユウガがそういうと1212号室の中にみんなで入った。
この部屋だけで住めそうなくらい十分な設備が揃っていると感じてしまう。
「水でいい?それともジュース?」
「水。ありがとう。」
コナミが冷蔵庫の中から瓶の飲み物を出しみんなに手渡していく。
それぞれが適当に火のついてない暖炉の前に座った。
「このクラスに新しいのが来るのはコナミとテルマ以来か。」
「そうそう。僕とコナミは一日違いで、到着で寮の説明とか一緒に受けたよな。」
「俺はティーの能力が判明するまで少し時間があったから到着も少し遅かったんだ。」
「西の23だったよな。僕は東の29。」
ユウガが話をきりだしテルマとコナミの会話が始まった。
「私は北20出身。だから2人より半月くらい早かったわ。」
ミチカはティーの猫を撫でながら言う。
「俺はSクラス一番乗り。その後1週間くらいしてコウヤが来るまで1人で本当に寂しかった!」
本当に?と聞き返したくなるくらいユウガが元気に言った。
「ミリアの出身は?」
「私は東32。到着したのは先週の木曜日で今日からやっと授業参加します。よろしくお願いします。」
ペコっと頭を下げた。
「そんなに畏まらなくていいよ。」
「そうだね。先週の木曜日ってことは確か歴史の授業が中止になった日だよね。」
「そうそう。ほかのクラスもみんな中止になって昼過ぎにはみんな帰ってたから暇だったからみんなでボードゲームしてた日。」
「ミチカのティーが盤面に飛びかかって何が何だかわからなくなったやつね。」
ミチカの手の上でニャーと呑気な声で鳴きミチカは恥ずかしそうな顔をした。




