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アニミ物語  作者: カボバ
間話 少し昔の話をしよう
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2





戦争という言葉で残っているが、正確な意味ではクーデターだ。



それは本来対立し合うほどの組織構造を持った集団同士の紛争ではなく、本来助け合い補い合うはずの組織内における小さな集団が起こしたことによるもの。




一方的なものであり、その終わりはいつどういうかたちだったかはっきりとしない。




始まりは25年前とされているが、背景を知るためにはもう少しだけ時を遡る必要がある。






11歳の夏、ティーを預かった子供たちはティーの扱い方を覚えるためにそれぞれの道へと進む。


多くの場合は適正のある学校に進学するが、弟子入りという方法を使い就職をする者も居る。




国の端から端まで真っ直ぐに縦断しようと思えば2年近く、外周をまわるためには約5年。



一般的な移動方法を使ってそれだけの年月がかかるこの大陸中にその教育システムが広まったのはほんの20数年前だ。





ではそれまではどうだったかといえば、その多くが本人の意思もしくは家族や周囲の意思で進学するかどうかを決めていた。


生活のほとんどを街の中で完結させ、生まれてから死ぬその瞬間まで一歩も外へ出ない。



そんなことが当たり前に続けられ、これからも続いていくと信じている人が多かった。




受け取ったティーに関係のない職に無理やり付けたり、ティーによる差別や迫害も今以上に多かった。



今ほど歪むという現象が広く認知されるほどではなかった時代。


その理由を挙げるなら、将来の選択肢という考えが無く当たり前として受け入れていたためだろうと言われている。





そんな時代の中でいつの頃からか生まれた団体がある。


親と違う、不気味などの理由で虐待を受け除け者にされた人物が集まり共同生活している。


複数の街の中間地点に拠点を構える場合もあれば、いつの間にか街の外れに居を構えていた。




あるものはいつの日か聞いた噂を頼りに門を叩き、またあるものは命からがら転がり込んだ。


その存在が周知された頃には親が子の手を引いて最後の別れもろくにせず放り込むこともあった。



そうやって次第に人を増やしていったが、不思議と無尽蔵に拡大するようなことはなかった。




「我々は成長の手助けと支援をし、自立するまでの手助けをしている。」




大人になれば自然と外に巣立つ者がほとんどで、留まる者は支援の適性があると志願したごく少数だけ。



出身者が自立した後、些細な支援を続けることで運営を行っている。




細く長く、しかし薄く広く大陸中に出身者のネットワークを作ることで除け者達の中でも類似するティーを持つものを集まらせるようになった。




家を出たもの親に捨てられたもの、未練はあれ後悔は無く街から街へ雑多な貨物と一緒に移動させられた。



ある街では受け入れがたいティーでも、ある街では歓迎される。


そう言ったことをもあり、手続きを行った上で名を変え知らない家族に迎えられた者も多かった。




そうやって居場所を見つけられた者は幸運と言うべきだろう。


それでも居場所がない者貨物の詰まる薄暗い荷台で移動を続ける。



幸運を掴んで降りた者以外が日に日に居場所を見つけたいと言う思いを煮詰まらせていく中で、最後に辿り着くのは保護と言う名の見せ物。




降りる場所を見つけられずに荷の積み下ろしを手伝い年月をかけ大陸中を移動し中央により近い場所に立ち寄る頃には、周囲が自分に向ける視線は見知らぬ他人に向けるものではない。



それでも最後に辿り着く場所では必ず受け入れられた。


何も知らない人々から見れば、そこは彼らにとって最後の砦。



癖なんて言葉では言い表せられないほどに、拗れた彼らを受け入れるという行為に人々は手を貸すことは無くとも忌避することもなかった。




教育と訓練、そして温かい食事と安心して眠れる場所。


言葉にするだけならごく普通の当たり前のことも、彼らにとっては一度知ってしまえば何があっても手放したくないと強く願う対象。


そうして煮詰め厳選し育ち歪めた中からはいくつもの化け物を生んだ。



どう拗れたか、それとも預けた神がそういう性質だったのか。




人の道を逸れようが徳を失う行為をしようが、彼らは笑っていた。


当たり前から少し外れているというだけで輪に入れなかった者たちが、必然的に自分たちだけの輪を作った。




この要因は大人たちの理解が行き渡るか、そもそもの教育を見直すことで後に対策をとることができた。



しかしそのためのきっかけは簡単には訪れず、結果として多くの者が痛みを負ってからやっと目を向けられる。


何が良くて何が悪いのかそう言ったことへの理解はものさしを持つ者によって変わる。




狂ったものさしが育てた化け物は、力を求め数を求め未来を求めた。



未来を求めた者は子を育てた。


数を求めた者は無限に作りだした。


力を求めた者は奪い取った。



誰かが上に立ち、誰かが欠けていた。




しかし偶然か必然か。


3人が揃った時、彼らは決断をする。



住むところが見つけられないなら、住める世界をつくればいい。




力を求めるものに協力し、都合の良い言葉で囲んで、ありきたりな未来を輝かせた。


彼らの目的は破壊と再構築。



どんなに歪な姿でも、立っている限り美しいとする世界。





これがひとつ目の要因。





結局どんなに新しくて素晴らしいルールができても、

照らす明かりが強くなって今まで見えなかったものが見えるようになるだけ。

 

っていうことを煮詰めて、今書けることをスパイスに混ぜて

できあがった文章です(お出しされた皿はアミューズです)

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