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アニミ物語  作者: カボバ
世継榾編
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全部理解できない言葉に一瞬考えを放棄してやろうかとすら考えた。




「ミリア、あんまり難しく考えるな。色々情報を持ってる、騎士団とトランプ以外で捜査逮捕をできる人だ。」


「先輩的に信用できる人っていうことでいいですか?」



「人としては絶対信用しちゃいけないけど、情報と捜査に関しては頼っていい人だ。」


「タモン、言い方なんとかならなかったわけ?」


ルミスの言葉にティーが長く鳴く。




「トランプは都市規模の大きな事件をその中心に立って、時に話し合いで時に武力で解決する。騎士団は個人や少人数同士の争いの抑制と解決のため。そのどちらからも取り落とされた件を解決するために私たち国際捜査員は存在するの。」


いくらかはすんなり入ってきた。




「冬祭りの件は学園の管轄だけど、学園外で襲われて予告までされてるなら問題は学園内だけに収まらない。」


ユイトの言葉に他の2人がうなずく。



「だから、教えてちょうだい。何があったのかを。」



ふうと一息吐き緊張で冷え切った指先を少し摩って温める。




「まず最初にあったのは…。」



冬祭りのこと、あの日バラ殿で起こったこと。そしてつい先日の出来事を順番に話した。


先日の件についてはユイトには言っていなかったのでずいぶんと心配そうな顔をされた。





「うーん、無駄だと思うけど1度お祓い行く?」


話が終わって最初の出てきた感想がそれか、とはなったがギリギリで口には出さなかった。




「全然別件でもう2つくらい出せますよ。」


「これ以上踏み入れたくないから、その話は遠慮しておく。」


一応解決済みとはいえど簡単に話していい内容でもなかったので諦めてもらってよかったとないしんほっとする。




「情報料の方は足りましたか?」


「ええ、十分すぎるくらいもらったわ。ジョーカーの件、時間はかかるだろうけど必ず調べ上げるわよ。」


それにしてもとルミスが続ける。




「あなたも十分に奇妙なのに、またとびっきり奇妙な子を手懐けたのね。」


ルミスがタモンに向かってそう言う。



「何を持って奇妙かは聞かないでおきますけど、手懐けたのは俺じゃないですよ。」


「ただでさえ希少なティーの持ち主の中でも、異形と言われる部類の子供達が一緒にいるなんてね。噛まれないように注意しなさいね。」


「言われなくても…。」


そう言ってタモンは立ち上がる。




「それじゃあ、俺たちはこれで。」


「あら、もう帰るの?」



「明日は早いんでゆっくりしてられないんですよ。」


「それもそうね。」


ルミスはそう言ってティーを抱える。



「また機会があったら、会いましょう。」




『その時はもっと魅力的なお話、聞かせてね…。』



言葉の後半は部屋の中で響くように、いつの間にかルミスの姿はなかった。






「俺たちも帰ろう…。その前に昼だな。」


この喫茶は街の中にある雑居ビルの4階にある一室だったようで、部屋を出て階段を降り2階にある店に入った。


ここしばらくずっとホテル内で食事をしていたため塩味の少し濃いいわゆる定食というものが久しぶりだった。



「そういえば、先輩はいつこちらに?」


「今朝。2人を拾う少し前に到着した。」



「本当にギリギリの到着ですね。」


ユイトの言葉にタモンが苦笑いする。



「アズハのところに寄ってきたからな、最悪今日の夜までに着けばよかったから早めに着いてルミスさんのところに行けてよかった。」


「姉さんは元気でしたか?」


もう別れてから10日以上経っていたので心配になり聞いてみた。



「めちゃくちゃしごかれてたぞ。あそこの家族は容赦がないというか、いやまぁ忙しくさせて落ち込む暇を与えないというか。とにかく元気にしてた。」


「それはよかったです。」



あの母親にしてそうそう簡単に気落ちさせられることもないだろうと想像していたが、忙しく働かされている姉さん想像に容易くホッとした。



「ミリアのことをずっと心配してた。また余計なことに巻き込まれてないか、首を突っ込んでないか。」


「あはは…。」


「何かあったか?」



「別に事件ってことではないでしょ。」


宙を泳ぐティーを捕まえながらユイトが言った。




「暇だから友達をつくったら、僕のティー好みの子だったってだけ。」


「うん、普通じゃないな。」


「たまたまですよ。」



ユイトがなんとかしたならあまり深くは聞かないと言われ、ホッとする。




「というか、さっきの話は俺も聞いてよかったんですか?」


ユイトは少し話を遡ってタモンに聞いた。



「ユイトに合わせても別に害はないと思ったし、兄弟以外の情報源と繋がりを持ってて損ってことはないだろ。」


「その情報源が夕暮れ様ってところがもう綱渡り確定なんですよ。」


「うまく渡れ、使いこなせばこれ以上に有益な縁もないはずだ。」



「その夕暮れ様ってなんですか?」


ユイトがルミスの名前を聞いてポツリと漏らした別称であろう名前。




「まぁ、入学したばっかりのミリアじゃあ学園の都市伝説も知らないよね。」


「あの人たちが学生だったのなんて俺が入学した頃の話だしな。」


「まぁ、そのくらい昔にあった事件の話だよ。春の日に空が4つに割れたんだ。」



「空が?」


思わず聞き返した。



「正確には学園中心から4方向それぞれに4種類の空が同時に現れた。北の空は昼、南の空は夜。西の空は明け方、東の空は夕方ってな感じに。」


確かにそれは空を割るという表現になっても不思議ではない。



「それを起こしたのがルミスさんだったと。」


「正確にはルミスさんと他3人が首謀者になって一部の学生を巻き込んだ一天衆って呼ばれる非公認の団体だ。」



「でも、なんでそんなことを?」




 

一天衆

10年以上前、TRPGシナリオ書いてた頃に登場させた団体に友情出演してもらいました

たぶん本編で2度と出てこないと思うので首謀者の名前だけ書いておくと

朝日様・宵闇様・夕暮れ様・碧天様 です

ティーは

ワニ・イヌ・ネコ・タカ

エジプト神話から着想を得た、それなりにホラーなシナリオです

(実際空割った話も昔のことだから笑えてるだけで、当時は準備段階から相当ホラーだったと思う)

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