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アニミ物語  作者: カボバ
世継榾編
133/276

23





「ねーさん!」


元気な声でそう言ってテーブルにやってきた人物に見覚えがあった。



「新入生をいつまでも独占しないでこっちにも回してくださいよ。」


「シンさん、お久しぶりです。」


姉さんと同じ寮の弓使い、シンが居た。




「あら、知り合い?」


「俺と同じ寮の奴がこの子のブーケットなんですよ。」


シンが簡単に説明してくれる。




「そう言うわけで、この子借りていきますね。ねーさんたちも楽しんで!」


そう言ってシンが手を引っ張る。


正直この尋問から抜けられるならありがたいと思い、軽く頭を下げついて行った。




「危なかったな。」


ある程度テーブルを離れたところでシンが言った。



「あのままいろいろ聞かれても答えられなくて居づらくなるだけだっただろ?俺たちアズハと同じ寮の奴らはアズハからおおよそのことは聞いてるから。」


引っ張られて行ったテーブルにはもう1人見たことのある男子生徒が座っていた。



「エイタさん、久しぶりです。」


「やぁ、久しぶり。いつかの移動で一緒になって以来だね。」


肩に乗せた白いフクロウのティーが忙しなくあたりを見回しているがエイタは気にする様子なくこちらに挨拶をする。




「エイタさんもハンターなんですね。」


「そうだよ。俺は飛行士とハンターとトランプの三重苦。」


「罪の量みたいに言うなよ。」


三重苦という言葉にすかさずシンがツッコミを入れる。



フクロウだから飛行士なのは予想できたし、トランプであることは姉さんから聞いた。



「フクロウは夜の森では敵なしの一流ハンターだよ。」


こちらの疑問を表情から汲み取ったかのように適切な言葉が来た。



「それにしても大変だったみたいだね。」


「俺たちはだいたいアズハから聞いてるし、同じクラスだからなんとなく自体を察してたけどな…。」


2人で何かうんうんと頷きだした。





「アズハがあんなに鈍感野郎だったとは…。」


「時々ないわーって思うことはあったけど、全く相手からの好意に気がついていないとは予想外だった…。」



周りから見れば好意が一目瞭然でも、当の本人が一切気がついていなかった事実を2人を含め同じ寮のメンバーは話をする中で初めて知ったらしい。





「ミリアも巻き込まれて大変だったな。」


「ミリアはアズハを殴っても俺たちが許すよ。」


「とりあえず、暴力に出る予定は今の所ないので…。」


呆れを通り越して怒りに突入しかけている2人を宥める。




「それで、療養だっけ。順調?」


療養に順調も何もあったものかと思うが、だからと言って何が正解なのかはわからない。



「環境が変わって新しい友人もできて少しは落ち着いたと思います。」


「なんの話?俺も混ぜて。」


そう言って飲み物片手にやってきたのはスオウだ。




「スオウさん、もう他の先輩たちのところはいいんですか?」


「アラニねーさんが参加してない時点で大した話はしてないからいいんだよ。」


聞けばスオウはシンやエイタの1つ歳上だそうだ。




「今いる中で1番歳上なのがアラニさん。ここにきて最初に声をかけてくれた人ね。」


そう言って先ほどまで居たテーブルを指差すスオウ。


そちらを見ればすでに話の話題は別のところに移っているのか笑いながら話す女子グループが見えた。




「困ったことがあったら俺たちよりねーさんを頼ったらいいよ。」


「言えてる。特に女子同士のいざこざはねーさんを頼ったらすぐ解決できるぜ。」


その言葉に3人が笑う。




(もう少し早く出会ってれば花園の件も違う解決があったのかな…。)


今更なことを考えればそれが顔に出ていたようだ。





「まぁ、なんだ。終わったことをあれやこれや言いたくも考えたくもないけど、後悔のない解決はなかったと思う。」


そう言ったエイタは深くため息をついた。



「最善でもないけど最悪にはならなかった。その幸運に今は感謝すべきだね。」


スオウの言葉には同意する。






少なくとも誰も死んでいない。


たとえそれが意思疎通もままならない状態になったとしても、生きてはいる。




「ところで明日からなんだけどさ。」


急にエイタが明るい声で話題を変える。



「誰が次に到着すると思う?」


今この街にいるトランプはここにいる3人。


あと1週間の間に誰が次に来るだろうという話になった。




「大人たちはいつも通りギリギリになるだろうね。」


「それでもみんな前日までには必ず揃うんだからすごいよな。」


「オベロさんは自力で移動するのかな?」


「あの人はするだろうさ。なんせ陸路より断然速いんだから。」


聞けばオベロのティーはその気になれば学園からこの街まで丸1日あれば飛んで来れるらしい。




「今年もユイトと一緒に来るのかな?」


「それは無いと思う。昨年あれだけ大ごとになったし…。」


兄をわずらわしく思ったユイトはオベロに頼んで同乗させて貰ったらしい。


しかし短時間短距離ならいざ知らず、丸1日休みもなく雪の降る空を飛び続けるのは心身ともに負担が大きかったようだ。



「今年も自分の足で歩けず入城は避けたいだろうさ。」


昨年も帰りは諦めてたしと笑いながらいうスオウ。




「あとは自由な大人たちだな。」


自由がどう言った意味なのかはいまいちわからない。




「変わり者というか、まぁ本当に自由な人たちも中には居てね…。」


「新しい子が来たと知ったらすぐにちょっかいをかけたくなるような人たちがいるんだよ…。」



「特に見た目でわからないからどうしようもないけど、7の数字を持った4人には気をつけるんだよ。」





 

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