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アニミ物語  作者: カボバ
冬祭り編
106/276

34




「ところで今日、やけに来場者多くないですか?」


現在朝の10時をすぎたところだが、敷地内はみょうに賑やかだ。




「そりゃあそうよ。」


「飾りがすごいって噂になってるもの。」


やってきたのはシモミとチヨミの2人だった。



「いつまでも遊びに来てくれないからこっちから来ちゃった。」


「噂に聞いた輝く傘を見に来ちゃった。」


そういえば、キクの神殿に遊びにおいでと言われていたような気もするがいろいろとあって忘れていた。




「ここで話すのもアレなので良かったらこちらにどうぞ。」


そう言って来場者の対応を3人に任せてから姉さんと双子を裏のテントまで誘導する。





「それで、噂っていうのは?」


今日も余分に用意したお菓子を出しながら聞く。



「雨が降ってるのに星が見えるって。」


「夜のような空間に百合の花が美しいって。」


それで朝からこの人の多さかと心の中でため息をつく。



「1度来た人もまた来てるのはそういうことだったのね。」


見たことのある人や、声をかけた時にもう貰ってるなどの返事があった人もいた。


誰から聞いたのか外の天気の違いで見え方がまた違うためか、わざわざもう1度来ようと思えるくらいに噂になっているらしい。




「たくさん人が来てくれるのはいいことね。」


「賑やかなのはいいことよ。」


確かにその通りではある。




「まぁ、もうしばらくすれば落ち着くと思うよ。」


「そうね。祭りも終盤だもの。」


「2人はこれから冬の買い物?」


「そうだよ。」


「冬は長いからしっかり準備しておかないとね。」


そういえば何もしてないけど大丈夫だろうかと今更なことを考える。




「あなたたちが買うのはどうせインテリアばっかりでしょ。」


「こういう時に買わないとね。」


「寮の部屋とクラブハウスに置く分といっぱい買わないとね。」


「ほどほどにしておきなさいね。」


わいわいと話している姉さんと双子。




「ミリア、大丈夫?」


「無理してない?」


「してないですよ。ちゃんとご飯食べて、睡眠も取ってます。」



「「それはいつの話?」」


その言葉にドキッとした。




つまりそうでない日があったことを知っているとわかりやすく教えてくれている。



「私たちが聞いた話。」


「嘘か本当かわからない話。」


2人がお互いを見つめ合いながら話を始める。




「ミリアを襲ったり、ユリ殿に襲撃を仕掛けた生徒たちは1人をのぞいて誰も戻ってきてない。」


「調べても何もわからないから返すわけにはいかない状態。」


「最後の襲撃者は両腕に酷い怪我をしていたらしい。」


「怪我が治ってもこれまで通りの生活を送るのは難しいらしい。」


「そうまでして何をしたいのか。」


「欲しいのは宝か夢か。」


「誰に何の徳があるのか。」


「ただの嫌がらせか。」


「たくさん持っているように見えない新入生を襲って何が得られるのか。」


「犯人は一体何がしたいのか。」


そこまで言って2人とも目を閉じる。




「噂も随分と拗れてますね。」


「襲撃者が特定のクラスやグループじゃないから余計にいろんな話が出てるんでしょうね。」


うーんと姉さんと2人で頭を抱える。




「こういう拗れに拗れた噂は大好きよ。」


「根も葉もない話が出始めてからが本番よ。」


火中でなければこうも楽しめるのかと感心する。




「それにしても、プレパートリーの人が普通に来てたので他の人たちもそうなんだと思ってました。」


ホオリは特例だということだろうか。




「多分その子は例外的に戻されたんだろうね。」


「いろんな方法があるけど記憶や精神を覗き見るのって見られる側にすっごく負担がかかるから。」


「真相がわからないから帰ってこないのか、わかった上で帰ってこないのか…。」


早々に大人たちが解決してくれるならそれが1番だが、今現在そうなっていないということはそういうことなのだろう。



「いろいろお話しありがとうございます。」


「どういたしまして。お菓子おいしかったわ。」


「私たちも噂の夜空を見れて良かったわ。」


そう言って双子は帰って行った。




「さて、人も減ってきましたね。」


午後に差し掛かり、来場者も少なくなってきた。


あくまで噂好きな一部の人たちが興味本位で来ていたというのは本当にそうらしい。




「3人にももし冬支度で買い物に行きたいとかがあるようなら、時間を相談して交代で出かけるようにしてもらってください。」


1人居てくれたら困らない程度には来場者も少なくなっていると思い姉さんにそう伝えてもらった。


その結果午後からは隣の街に順番に買い物に行くようにしたとのこと。




「何か面白物があったら買ってくるって言いながら出かけて行ったわ。」


「姉さんは行かなくても大丈夫ですか?」


「私はいいのよ。別に今急いで買わなきゃいけない物があるわけでもないし、何よりミリアを置いて行けるわけないじゃない。」


今1番危険な時って自覚ある?と言われてしまう。




「今日も大丈夫な気がするんですけどねー。」


「根拠は?」


「…直感。」


少し悩んだ末に答えると小突かれた。



こうして1番襲撃の危険があるかもと思っていた2日は襲撃未遂のみで呆気なく終わった。



(まぁ、そうそう思い通りには行かないよね…。)




 

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