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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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11歳の夏に『ティー』を神から預かる。


八百万の神たちは子供の才能を見抜き、自身の一部をほんのひと時の間だけ貸し与える。


ティーは必ずしも未来を決めるものではない。


才能に抗う努力を行うわずかな者の中には剣を佩いた文豪もいれば鎧にペーパーウエイトを飾る剣士もいる。



死を合図に返却されるその時まで、人生を共にするティーを裏切ることなかれ。


多くのティーは意思を伝えるかたちをしていないかもしれないが、借りているその力は神の目と言っても過言ではないのだから。


ごく稀にティーが意思を伝えることを可能とするかたちをしていた場合大切にしなさい。それは人の力を超えた才能をもたらしてくれるであろう。
















「…ということで、君たちは明日ティーを受け取る日を迎えます。」

 

教会に集められた子供たちはこの街で今年11歳の儀式を明日に控えた子供達。

 

「明日の手順は事前にお家の方に手紙が届いていると思いますが、今日中にもう一度しっかり親御さんと確認をしておくようにお願いします。」

 

みんなの前で話しているのはこの教会の管理を任されている神父のような役割をしている人であり、併設された幼等学校の先生である。

なぜ神父と断見して言わないかと言うと、先生のティーは『笏』であるためである。

確かに仕える神によっては持っていて何も間違えはないのだが、教会という場所ではかなり異質と言わざる得ない。

しかし、先生は生まれた東の街に貢献できる人でありたいと努力し現在は管理者兼講師ということで折り合いをつけているとの事だった。

 

「明日は何をもらえるかなぁ。」


帰路では誰かが誘うでもなく数人でかたまりながら帰るのが自然の流れだ。

そしてその中での話題はもちろん誰も彼も同じような内容になる。

 

「私はおかあさんと同じハサミがいいなぁ。」

「ブラシやサジでもいいけど、剣も憧れるよね。」

 

ティーは多くの場合は遺伝する。

親がどちらも料理に関わるティーならば、その子供もほとんどが料理に関わるティーになる場合が多い。

 

「私はできれば親と違うのがいいなぁ。できればもっと上の学校で勉強できるようなペンとかメガネとか…。」

 

しかし、遺伝しない場合も少なくない。


剣士の夫婦の子がポットのティーを受け取って両親を驚かせたり、鍛冶屋の子が武器系のティーを受け取って翌日には冒険に出発してしまったという本当か嘘かわからない話まである。だいたい毎年二割程度が両親親族と関係のないティーを受け取ると言われている。

 


何より重要なのはティーを受け取るのは9月からの進路を決めるということだ。


 この世界は中央に天にも届く大きな山からのびる山脈によって東西南北に区切られている。そして山頂に近い場所から1から80に分けられ、80は外海と接する。


1から5は神の土地。5から8は神を支える者たちの土地。8から14は神の言葉を伝える街14から25は才能を育てる街…。


などと80までそれぞれ街のあり方を示す言葉があるが、下に行けば行くほどその役割は混ざり特に気にすることもなくなる。


数字を1つ分移動するのに大人の足で歩いてだいたい3日、馬なら10移動しようととするのに20日程度、馬車なら30日程度。


もちろん世界の形の関係上、数字が上がればその距離は短くなるのであくまで目安だ。



 

この街は[東32]


中央にだいぶ近いが海を目指すには遠すぎる街。


9月からの進路にもよるが大体の学問はこの街でも間に合うし、ほとんどの職人に弟子入りするのもかなり容易い位置である。

 


しかし、将来の才能を認められそれを臨んだ場合この町を出てものすごく数字の若い場所へ勉強に出向く事もできる。


それは神に仕えるものや、神を支えるもの。もしくは神の声を伝えるものだと言われているが、具体的なことはその日になるまで子供たちは知らされていない。



多くの子どもたちは9月からもこの街で学ぶことになるだろう。

両の手で数えられるほどの人数が弟子入りのため進学せず、片手の数ほどがなんらかの理由で街を出ることになるだろうが、それ以上の数の子供達がこの街の学校に新たに通うため新たにやってくる。



だから、明日が終わってほんの少し準備のための休みがあった後はまた変わらない日常が成人するその日まで続く事を子供達の誰も疑っていなかった。

 




8月10日から18日まで毎日更新予定。

20時前後の更新を予定しています(その後はどうするか検討中)

 

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