三途の森
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
こんな夢を見たんですよ。
やっぱりまだ生きたかったそうです。
一家総出で□□を執り行って居た時の事である。催事を終えた和尚が、険しい顔をして此方に近付いて来た。
何か揉め事を起こしたただろうか? 呆然と考える私を他所に、和尚はただ静かに宣言した。
「今すぐにお祓いをします」
そう言うと和尚は私を置いて、お寺の内部にするりと引っ込んでしまった。
次に会った時には、何やら私が知らない仏具を持ちいて戻ったところだった。和尚は□□を終えたばかりの親族達に、事情を説明している。
説明をなされた親族達の顔は、この世の終わりの様な形相に変化しながら私を取り囲う。
準備が整ったのだろう。和尚は何か不思議な仏具を手首で振り回しながら、難しい呪文を延々と唱え続けている。時折私の首筋やら、背骨、腰などを指で力強く押す。すると体に何やら変化が訪れた。
気持ち悪い。物凄く気持ち悪い。吐き出さないと気が済まない。その場で真っ青になって、口元を抑えると、物凄く遺失な物が口から吐き出された。
口の中にブチブチと残る硬い食感。口周りにベッタリとこびり付いたそれは精米だった。突然の事に呆気に取られながら辺りを見る。足元には白い粒が大量に転がっていた。
全てが終わった後、私は和尚に尋ねた。
「墓参りには……」
和尚は悲しげに首を振った。
「着いてきて、しまうので、暫くは……」
私は何処か見知らぬ森林の中に居た。辺りには木々が生い茂り、先程まで共に居た家族達はそこには居なかった。夢でも見ている様だった。
すると、脳裏を叩き割る勢いで、人の声が反芻する。
――戻ってきて。お願い戻ってきて。
――突然倒れてしまって……。この子は一体……どうすれば……。
戻らなくてはならないと感じた。一刻も早く、“自分の体に”。けれども肉体を忘れた今の私は、意思に反して何かに吸い込まれていく。
「御免、爺ちゃん。一緒には行ってあげられない」
「御免、爺ちゃん。一緒には行ってあげられない」
目が覚めると、見慣れた自分の部屋の天井があった。自分の身を起こす程の大きな寝言を言った事に今気が付いた。母が慌てた顔で部屋に入ってくる。
これは一夜の夢。一夜の悪夢。三途の森を渡りかけた、私の夢。
昨夜の夢の話です。
どうにも寝言とは、あの世の言葉とも言うそうで。
けれども寝言で起きなかったら、今は幽世。
そう思うとなんとも感慨深いと思います。
宗教の話を書いたので、繋がりとして神様の話でも。
神様の願いの叶え方って非常に直接的なんですよ。
この“直接的”というのは、途中経過をすっ飛ばす事、自分の意思を介入させない事。
この二つを指します。
途中経過をすっ飛ばす。というのは、
願いを叶えてやるけれど、その過程は私が勝手に決めるからね。
君がどんな悲惨な目に会おうが、それは君が願った事なのだから、苦情は受け付けないよ。
と言うもの。
よくあるのは、縁結びの神様に、『結婚したいです』と宣言した場合。
とりあえずの出会い方は、道端でばったり会おうが、事故で死にかけ様が、それは神のみぞ知るということです。
次の自分の意思は介入させない。について。
相手がどれだけ自分の意思に反した願い事をしても、君が望んだ事なのだから、私はそれを尊重するよ。
という事。
勿論、願いの邪魔にならない程度なら、自らの意思を捩じ込みますよ。基本的に我を通す方々だと思ってるので。
神道って死は“穢れ”と扱うんですよ。
だから、“死にたい”という気持ちをあんまり汲みたくない。
けども君の望みならば、全力で殺してあげるよ。
ということ。
例え其れが本心からの願いじゃなくとも、神様からしたら、それだけが事実なんです。
言質とったからね? 二言はないよ? 言った事に責任とってね?
そんな人と一線を期すところが好きです。