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同窓会での話

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 同窓会に出た。新卒で入った会社にそのまま居た奴はほとんどいなくて、会社が社名変えて合併していたり、転職していたり、酷いのになると、明後日の職種に就いて、失敗や成功している奴もいて盛り上がった。


 中に世界一周してきたという奴がいた。ビール片手に話を聞く。


「不思議な体験をしたよ。船に乗ってたときに、デッキで進行方向を見てたんだよ。月がキレイでね。そしたら向こうから明かりが近寄ってくるのが見える。どうやら大型の船らしい。向こうもこっちも、船員が見えてないのか汽笛を鳴らさないんだよね。まっすぐ正面からぶつかるっと思って身構えたら、そのまま素通りしちゃったんだ。幽霊船。あれはビックリした」


「船員は気づかなかったの?」

「そうみたい。訊いたら『冗談でしょう』って一笑に付されたよ」

「幽霊船で良かった。飛行機も怖いけど、船も事故が結構あるからなぁ」

「船長が先に逃げ出した例もあるな」


 そういうの複数の例がある。船と一緒に運命を共にする話は昔の話らしい。


 まあ、そういう体験するために世界一周してきたそうだから、楽しかったんじゃないかと。


 彼に今、何の仕事をしているか訊いたら富裕層向けに「ネットでツアーガイド」していると言う。いつの間にか16カ国語をマスターしていて、世界の旅行者からの相談を受けてるらしい。尤も日本の観光の相談が大半らしいけど。


 ちょっと待って。文学部の同窓会じゃなくて工学部の同窓会なんですけど、進路が変わりすぎてない? 彼は確か、大手電機メーカーに就職したはず。


 話を聞くと、アフターフォローが大切で、ちょっとした土地の小物贈ったり、好みに合った耳寄りな話をメールすることでリピーターを増やしているらしい。バックパッカーは歳取ったら大変と聞いたことあるけど、ネット時代になると経験が十分な強みになる。


 船の話に戻るけど、若くて金のない時代で節約しながら旅行していたから格安航路使っていて、事故が起きないよう十分対策しているか、以後安全面を十分検討してから乗船するようになったそうだ。お客さんにもその旨伝えて乗り物とかを選定する。まさにプロのツアーリストになっていて、名刺を交換して、ウチの社内チャットの雑談チャンネルで宣伝してやることにした。

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