09 フラグ
おそるおそる我が家に戻ってみたものの、特に何事も無し。
家出の件でのお説教は、それなりに。
今までアレな事件を起こしすぎた成果と言いますか、
積み重ねられてきた、信頼、でしょうかね。
呆れてモノも言えない、なのかもしれませんが……
「今回はゾディに一番迷惑をかけたこと、しっかと謝るように」
はい、でも今回は"ぽかり"無しなのですね、イリーシャさん。
「アランさんへのお仕置きと同様、頻度を上げすぎると効果が薄れるのは明白」
「つまりこれからは、ここぞという時にこそがっつりと」
楽しみにしております……
「私も『ロージー』を運転したいな」
えーと、運転席がスーミャの体格に合っていないので……
どっか行きたいとこがあるなら、遠慮無く言ってね。
「私もゾディと家出したいのっ」
イリーシャさんにちゃんと相談してから、ね……
『今度はボクと家出しようねっ、サイリパパ!』
ナルンが家出しちゃうとみんなが悲しむからダメッ。
『ゾディならいいの?』
ナルンみたいなお歳頃の娘さんは、家出禁止!
『今度行くときは、サイリパパの影に入っていくから』
それなら良いかな……
『フィナさんとフィグミさん、凄く心配なさってましたから、起きたらちゃんとお仕置きされてくださいね』
チュースさんにも心配させちゃって、すみませんでした。
『今度フィナさんたちと一緒に、『ロージー』に乗せてくださいね』
はい、『ロージー』にはちゃんと皆さんのお席も用意されておりますので、美味しい果物でも食べにお出かけしましょうね。
『ここに来てから楽しいことばかりで、困っちゃいます……』
これからもっと楽しくなるよう、がんばりましょ。
「ルシェリさんたちと、ちゃんと話し合ってくださいね」
僕からは特に何も無いのですが……
「……」
ぷっくりほっぺのプリナさんも可愛らしいですね。
「……もう、知りませんっ」
「戻ってきて早々、イチャつくで無い」
「このフラフラ不埒者め」
モルガナさんも甘えて良いのですよ。
ほら、ひざ枕でも太もも座布団でも、今ならなんと"サイリウム"食べ放題!
「むう、変な方向にばかり成長しおってからに」
「調子に乗りすぎるのは、シリアスの嵐に吹き飛ばされるフラグ」
そんなの慣れっこですっての。
なんなら"若仙人"と"導き手"のコンビで、『ロージー』に乗って世直しツアーにでも出かけましょうか。
「あーあ、がっつりフラグったよ、この子は」
「真のシリアスの怖さを知らぬとは」
「お調子者はドつぼにハマってどっぴんしゃんとはこのことなり……」
ふむ、フラグですか。
いよいよ名刺に新たな肩書き追加ですかね。
『S級フラグ建築士サイリ』
まあ、どっちかって言うと、建てるよりもブッ壊す方が得意なんですけどね。




