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06 陰謀


『E7』


 エルサニア商業界の大物が集う、エルサニア経済の行く末を舵取りする会合。


 影響力の大きさの割には、なぜか世間の認知度は低い。


 それもそのはず、会合の時期も場所も議題も秘密主義。


 世間が知るのは、そこで決定された内容が必ず実行されてから。



 メンバーは、エルサニアの商業活動に深く携わる重鎮のみ。


 もちろん、あのシュマルセさんも在籍。



「シュマルセさんは、解任されたそうです」

「サイリさんと接触して、E7を危険に晒した責任を取らされて」


 はて、確かに一度だけお会いしましたが、解任については僕はなにもしていませんよ。


 いえ、僕と接触したこと自体が原因だとしたら、まさしく僕のせいなんでしょうけど。


 どうせルシェリさんたちも、そう思っているのでしょうね。



「陰謀、だったのです」

「シュマルセさんはノルセリエに関する案件からは絶対に逃げないことが分かっていて、ああするように仕向けられたのです」

「長年E7の重鎮として働いてきたシュマルセさんを排除するために仕組まれた……」


 いえいえ、悪いけど、それって僕と関係ありますか、ロミエスカさん。


 あの人が並々ならぬ信念を持って仕事に取り組んでいたことは、たった一度しかお会いしていない僕でも充分理解出来ましたよ。


 でも、お偉いさんたちの権力闘争なんて、それこそ僕とは一切関わりないことです。


 確かに僕の今の状況はこんな有り様ですけど、


 正直、家族友人に直接被害が及ばないなら、


 そんなドス黒いぐだぐだには絶対に巻き込まれたく無いです。



「シュマルセさんが若い頃から身を粉にして働いてきたのは、私利私欲でも権力のためでもありません」

「むしろそういう高みから見下して搾取する輩から労働者を守るために、自らをより高みに置こうと腐心なさってきたのです」

「E7という形で身を結んだその仕組みを、丸ごと奪い取って操ろうとしている者たちがいるのです」

「サイリさんのお力で、救ってはいただけませんでしょうか」

「理不尽な出来事のせいで、成すすべ無く倒れそうだった時の私のように……」


 ……ずるいですよ、リーサリアさん。



 でも、皆さん良くご存知でしょ。


 僕が首を突っ込んだらどういうことになるかって。


 そのE7とやらを乗っ取った連中を、僕の能力で皆殺しにしろってことなんですか?


 普段、ジェノサイドやらキレ仙人やら、散々な呼び名で煙たがっておいて、


 こんな時だけ都合よく助っ人させるなんて……




「……」×3




 ……なんだよ、もう、ズルいんだから。


 どうせ断れないって分かってたんでしょ。


 いいですよ、どうせどう転んだって、汚れ役は決まってますし。



 じゃあ、いつもみたいに好き勝手やらせてもらいますよ。


 後からこんなはずじゃ無かったって後悔しても、遅いですからね。



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