17 なんぞや
キルミネウスさんとシュマルセさん、
おふたりのご希望は、寄り添って静かに暮らせる場所。
で、どっかのお節介さんがべったりお節介したみたいで、
今は、どっかのよろず相談所の隣に突然運ばれてきた小さな平家の一軒家で静かに暮らしているそうですよ。
めでたしめでたし。
「すごいですよね、アリシエラさんの『転送』技術」
「本当ですね、いつの間にか隣の林が更地になったと思ったら、今度はおうちが丸ごと『転送』されてくるのですもの」
「はい、皆さん。 新婚さんのご家庭を不躾に見つめてはいけませんよ」
「「はーい」」
えーと、やっぱり基本何でもアリですよね、この異世界。
……
そんな感じの『ルロリーサよろず相談所』
結局今日も、朝から来客は無し。
そして仕事は何も無くても、午後の休憩の時間はやってくる。
で、みんなでお茶はよろしいのですが、
なんで居るんですか、モルガナさん。
「良い"サイリウム"日和だねえ」
そうやって日当たり良いところでお茶を啜ってる枯れた姿がとても良くお似合い、
つねり
いてぇ!
なんだよもう、これじゃ家にいる時となんも変わらんっての。
おっと、忘れるとこだったよ。
そもそも、僕が"仕事とはなんぞや"で悩んでいたのを"導き手"としてなんとかしてくれるってことが事の発端でしたよね。
「だから"導いた"のです」
?
「あのおふたりをチラ見でもすれば分かる通り」
「"らぶらぶ"の前には"仕事"なんてくそザコなめくじも同然」
「らぶらぶ候補生に囲まれまくっているサイリさんが仕事に悩むなんざ」
「ちゃんちゃらおかしくて、へそで茶を沸かして熱湯消毒されるレベル」
「つまりは、"サイリウム"放出量安定化のため」
「黙って大人しくらぶらぶしてろって言うオチなのさ」
……ほう。
じゃあ、そのらぶらぶ候補生には、
がりがり痩せっこ"占い師"も入っている、と。
「えっちっち"若仙人"には」
「そこのピッチピチ3人娘がお似合いなり」
「こう見えて結構ピッチピチですよ」
「ルシェリさんほどでは無いけれど、私もまだまだピッチピチです」
「お薬でドーピングした身体ですけど、それなりにピッチピチでしょうか」
……あまり構いすぎると、引きこもって出社拒否しちゃいますからね。
なんだよ、この状況。
これじゃまるで、チョコ工場じゃない方のチャーリーが運営する探偵事務所じゃん。
僕はどっちかっていうと、蒼月探偵社の方が好きだったんだけどな。
いや、うちの家系はみんなフサフサだったので、そっちの心配は御無用。
くすり
…‥モルガナさん、
今なんか予見したでしょ。
何が見えたのか、後でこっそり詳しく!
あとがき
脳内でネタを釣り上げようと、
のんびりウキを眺めていたら、
喰いついたネタが変な勢いで暴れまわって、
おかげでこんな、いつも以上にワヤな感じに。
つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。




