12 お仕事
「おはようございます、所長」×3
はい、おはようございます。
ルロリーサよろず相談所、今日も元気に営業中。
なのですが、飛び込み依頼待ちの新規開設相談所に、お客さまが殺到するはずも無く。
むしろ、今わざわざ訪れるのはひと癖ありな輩ばかり。
でもご安心、
なんやかんやで戦力だけはやたらと充実している職場なのです……
リーサリアさんは、総合管理職な副所長、でしょうか。
依頼の取りまとめと仕事の割り振り。
後は、精神的まとめ役、みたいな。
一番のお姉さんですし。
「みんなの制服、考えませんと……」
確かに、皆さん素敵なキリリ系乙女ですし、制服、似合いそうですよね。
ルシェリさんは、外回り担当、ですね。
なにせ元巡回司法官の凄腕捜査官ですので、荒ごとなんかもお手のもの。
むしろ、普通に歩いてるだけで荒くれ者が寄って来てしまうという、
ある意味、ヒャッハー野郎どもホイホイ状態……
「手加減が難しいのです……」
モルガナさんみたいな高隠蔽付与フードが必要かも。
ルシェリさん、本当に綺麗すぎるし。
ロミエスカさんは、内勤担当。
事務も経理もお手のもの。
もちろん、来客対応はお任せ。
なのですが、商業ギルドの頃から付き纏っている人まで寄って来ちゃったりして。
「商業ギルドの頃と違って、ここでなら遠慮無く実力行使で対応出来ますね」
遠慮無く……
「事務所を汚さないよう、ちゃんと手加減しますから、ね」
手加減……
そして僕、所長イシン サイリ。
なのですが、えーと、基本は何でも屋。
遠方依頼の際の『ロージー』での送り迎えとか、
みんなとは会わせたくない変質者系不審者への対応とか、
そのほかにも、今までフナエさんが弾いてくれていたような依頼も直接来ちゃうわけで、
つまり、閑中忙あり、なのですよ。
主に僕のせいで……
「だからこそのお手伝い、なのですよ」
僕はあまり表に出ない方が良さそうですね。
たぶんこのままだと、ルシェリさんたちが望んでいたお仕事とは違う方向に行っちゃいますよ。
「いいえ、サイリさんがやりたいことをお手伝いするのが、私どもの望みなのです」
僕がやりたいのは、以前と変わらず家族友人が平穏に過ごせるよう自分なりにがんばること、です。
「末永く、お手伝い、させてくださいね」
……よろしくお願いします、リーサリアさん、皆さん。
むう、なんだかちょっと、以前とは違う心持ち、なのです。
ひとりで突っ走れないもどかしさと言いますか……
イシン サイリ、お仕事について、少々お悩み中。




