11 定職
というわけで、名刺の肩書きが増えました。
いえ、実際に名刺を持ってるわけじゃ無いのですが。
『ジェノサイドキレ仙人』
『無限ダメ出し監査アドバイザー』
『出張! なんでも『鑑定』若仙人』
『滅殺公人2号『リサイリー』』
そして、『ルロリーサよろず相談所 所長』
えーと、『S級フラグ建築士サイリ』は、保留中。
正直、以前からの4件は、前ほど忙しくは無いのです。
例の新生E7とやらのおかげで、"若仙人"封殺処分は解除されたようですが、
一度染み付いたヨゴレは、簡単には落ちないってことですかね。
まあ、僕は元々の評判からしてアレでしたし。
というわけで、今のメインのお仕事は、よろず相談所の所長さん。
なのですが、家族のウケが、なぜかとてもよろしいのですよ。
「内容を問わず、世のため人のために働く」
「実に誇らしい、まさに家長にふさわしい職務だな」
お褒めに預かり光栄です、イリーシャさん。
「ルシェリお姉さんたちといっしょのお仕事なら安心だよねっ」
確かに明るく楽しい職場ですよ、スーミャ。
『朝お出かけして夕方帰ってくるって、会社員みたいだよねっ、サイリパパ』
確かに、定時勤務はマイホームパパっぽいよね、ナルン。
「これぞまさに人間界のお仕事って感じだよ、サイリさん」
でも、またお昼寝出来なくなっちゃったのですよ、フィナさん。
『無理して残業とかしないでくださいね』
はい、決して無理はいたしませんよ、フィグミさん。
『一緒に通勤、したいのであります、マスターサイリ……』
えーと、基本『ゲートルーム』での通勤なので、『ロージー』はお留守番だよ。
なんかあったらすぐに『サイン』コールするから、その時はよろしくね、ゾディ。
『お手伝い出来ることがありましたら、いつでもお呼びくださいね』
ありがとうございます、チュースさん。
ただ、やはりエルサニア王都内は、チュースさんには危険すぎるかと。
「お弁当、あの量で足りてますでしょうか」
えーと、実は例の3人からおかず交換されまくってて、肝心のプリナさんのおかずを僕が食べられない状態なのです。
出来れば、もう少し大盛りでお願いしますね。
プリナさん、にっこり。
「どうしても"サイリウム"が不足した際は、遠慮無く事務所に突貫するので」
「その旨、しっかと乙女たちに伝えておくが良い」
「なんなら一緒に通勤してあげても良くってよ」
モルガナさんは通勤ラッシュで揉みくちゃにされるが良い。
いやマジで、朝の王都の混みっぷりはハンパじゃないですってば。
「いつも『Gふなずし』の『ナビ』に頼ってばかりだから」
「程良い抜け道にも気付けないのだよ、うつけ者め」
「文明の利器に頼りすぎな坊やは方向感覚まで軟弱極まれり」
そうですね、僕、まだまだ坊やですし。
モルガナさんと違って、経験不足な若い坊や、だもんね。
つねり
いてぇ!
これぞまさにサラリーマン家長の悲哀……




