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『ルロリーサよろず相談所』
えーと、フナエさんオススメの指名依頼ということで来てみれば、なんでしょうね、ここ。
場所はエルサニア王都、
モノカ邸とカミス邸のちょうど中間地点くらいにある、
街中にある小綺麗な事務所、って言うかお宅ですが……
「いらっしゃいませ、サイリさん」
おや、こんにちは、ルシェリさん。
なんですか、ここ?
「私たちで始めた、よろず屋さん、ですよ」
えーと、こんにちは、ロミエスカさん。
なんだか漠然としてますが、よろず屋さんって。
「今までとは違う形で、世のため人のためになるお仕事をやりましょう、と」
……こんにちは、リーサリアさん。
ちょっと分かりかねますね、世のため人のためと言われましても。
組織のしがらみに縛られないお仕事がしたい、と悩んでいたルシェリさんとロミエスカさん。
リーサリアさんをリーダーに3人で始めた仕事が、よろず屋さん、だそうですよ。
「看板でお気付きになられましたか?」
?
「みんなの頭文字なのですよ」
ルシェリさん、ロミエスカさん、リーサリアさん。
なるほど、"ルロリーサ"
えーと、なんで僕を見つめるのかな、3人とも……
「"サ"はサイリさんの"サ"、ですよ。
はい?
「サイリさんのお仕事のお手伝いをしようって、みんなで決めたんです」
ほえ?
「私たち、結構お役に立てますよ」
いや、ロミエスカさんだけじゃなく、皆さんが優秀な才媛揃いだってことは百も承知なのですが。
なんで僕?
「今までおひとりでどんなことでも出来てしまったサイリさんだからこそ、サポートの必要性を理解なさっているはず」
あー、言いたいことはなんとなく分かりますよ、リーサリアさん。
でも、突然すぎやしませんか。
しかも3人で。
「この3人だからこそ、ですよ」
……これまでのあれこれを気にしているのなら、お門違いですからね、ルシェリさん。
見返りがほしくてあれこれしてきたわけじゃ無いのです。
「つまり、見返り無しの善意のお手伝いは成立するってことですよね」
むう、ロミエスカさんの返しの鋭さは相変わらず。
「というわけで、サイリさんのお墨付きも得られましたし、これからよろしくお願いしますね、所長さん」
危ないことだけはナシですよ、リーサリアさん。
って、所長?
「女性だけだと何かと大変、と心配してくださった、高名なイシン サイリさんという方が所長さんをしてくださるとか」
……うちのみんなへの説明は、お任せしますからね。
絶対に誤解も曲解も無いよう、お願いしますよ。
「もちろんですとも」
「サイリ所長のお世話はもちろん」
「迷子の捜索から失せ物探し、恋のキューピッドまで、何でもお任せ、ですよ」
えーと、恋のキューピッドは大変結構なのですが、ちなみに皆さん、現在恋人は。
「……」×3
誠に申し訳ございませんでした……




