表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

2

ベランダに両肘をついて重ねた手の甲に顎を乗せる。

熱帯夜に近い夜風がうねっているように頬に張り付いた。

瞼の上がじわっと汗ばむのが分かる。


僕は用意していた炭酸飲料の蓋を開けてチビチビと喉を湿らせた。一気にゴクゴク飲むよりも、こうやって少しずつ飲んだほうが美味しく感じるのは子供の頃から変わらない。少しずつ流れる炭酸が

暑い夜に心地好すぎる。


時折、空を見上げては見るのだが、少ない星の輝きはいつまで経っても増える気配はなかった。


それにしても今夜は珍しい。あれからパッタリと人の出入りが途絶えてしまったのだ。想定外の状況に脳は心を眠りへといざなう。


今夜はもういいか・・・・


僕は最後に店を一瞥すると部屋の中に移動しようと網戸を体一つがやっと通るくらいに開けて入ろうとした。


コンコン・・・・


「ん?」


僕はドアの方向に視線を移し、耳に意識を集中させて体の動きを止めた。



「誰?」


声を押し殺すようにして聞いてみた。



「・・・・」


「誰だよ?」


少し間が空くようにして声が聞こえてきた。


「私だよ」


一気に緊張の糸が切れた気がした。


「なんだよ」そう言いながらドアを開ける。


「何か用なの?」


「今から向かいの店に行こうよ」


「はあ?」


「どうせ、もう寝るだけなんでしょ?行こうよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ