桜重ね
桜重ね
散った
花びら
風に
遊ばれ
すべて
日だまり
雨だまりに
落つ
年をまたぎ またひとつ 歳月の歩みを感じるうち 衰えや記憶の喪失に やじろべえのような 不安定さ どうやって進むべきか 迷いのあるうちに 人の言葉に惑わされ 人の言葉に励まされ 本を読んでは戸惑い 新聞はぐちゃぐちゃにし 桜の花がひと粒 人ごとのように なんの感動もなく 感情もなく咲き それでももうひと粒 またひと粒 花を咲かせるのが 宿命で当たり前と 澄まし顔でなんなく 私に待ったをかけてくる
生きることは ただ咲くことなのだと 腑に落ちた瞬間
散った
花びら
風に
遊ばず
すべて
日だまり
雨だまりに
浮かぶ
生きることは ただ咲くことなのだと 腑に落ちたその瞬間に
ひと粒
ひと粒と
たくさん集め
ふわりと重ねてみる
ちっぽけな自分の
手の中にある
たくさんの小さきひと粒が
己のすべてと
悟ることができた
桜重ねの
春