王都は大変ですがいちゃいちゃ
あれから両親は慌ただしく王都へ旅立って行った。
私はエイトの部屋に行き、寝ている顔を見る。
「エイト、この国どうなるかしら」
私はエイトの髪をすいた。癖がないプラチナブロンドはひんやりしていて気持ちいい。
「ん…、アデル」
エイトが寝ぼけ眼で私の手をつかむ。
「きゃっ!」
私は引き寄せられ、エイトの胸の中にいた。
エイトは照れ屋なので、普段はこんなに密着することはない。
私はさすがに羞恥心を覚えた。
エイトの腕が私をぎゅうぎゅう締め付ける。
「く、苦しい…」
私がうめくと腕がゆるんだ。
「ごめん、アデル」
エイトは少しあわて、宝物を扱うようにやさしく抱きしめ直した。
「僕、キスしたい」
群青の瞳が私を見つめる。
エイトの指が私の唇にふれる。
「キスしていい?アデル。いいね?」
私が返事をする前に、エイトの顔が近づいた、と思ったらふわっと柔らかい唇の感触がした。
「ン…」
そのまま深く口づけられる。
私はエイトに言わせると『キス魔』だそうで、いつもエイトの頬や額に隙あらばキスしているが、唇ははじめてだ。
体の奥がじん…として熱くなる。
気持ちよくて、頭がとろんとしてもう何も考えられない。
「そんな顔されちゃ止まらないよ、アデル…」
エイトは私の耳や肩に口をつける。
「綺麗」
エイトは艶かしく微笑んだ。
その顔はもう少年ではなく、一人の男性だった。
「ねえ、アデル。僕の番になって。お願い」
エイトがもう一度私をやさしく抱きしめる
「そうしたら、悠久の年を僕と生きることになるけど、必ず君を世界一幸せにするよ」
私は迷いなくうなずいた。
「もちろんよ、エイト」
私たちはもう一度深く口づけ、そのまま眠ってしまった。