距離 中編
前回より細かく書きました。
少しだけど
私の高校では3年生になると、文理で全然違う授業になってしまうので、同じクラスでも一緒に受ける授業は体育と英語くらいだ。
そして今日は、体育がある日。そのうえ、瑞樹と同じ種目にしたので、一緒に体育が出来るのだ。
ウキウキしながら学校に行く。
だけど昨日からやっている『距離を置く』作戦はちゃんとやらないと。
ワクワクしながらまた机で寝たフリをする。
ガラガラと教室のドアが開く音。
ずっとしていたはずなのに、急に私の耳が反応する。
たくさんの足音があるはずなのに、ひとつだけ浮き立って聞こえる足音。
ほかの男子が「おはよう」と声をかける。
「おはよう」
瑞樹が答える。
私の挨拶に返事してくれたことあったっけ。
いつも挨拶しているのに、ちゃんとおはようって返してくれることなんてない。
瑞樹は男友達の前ではよく笑う。
せっかく朝浮き立っていた気分が、するすると萎んでいく。
机に突っ伏しながら、涙が出そうになる。
「おい。」
急に頭の上からずっと聞きたかった声が降ってくる。
「なに?」
あくまでも冷静に、ゆっくりと顔を上げながら答える。
「今日の体育第2体育館だって」
「わかった。」
その報告のためにわざわざ私のところに来たのか。
心がみるみるうちに膨らんでいくのがわかる。
なんて単純な女なんだ。私は。
「あと」
瑞樹が私の方をちょっと見ながら言った。
「ゲームでもやりすぎたんか。数学わかんなくなっても教えねぇからな」
朝よりも心がぎゅうぎゅうになった。
「わかってるよー」
私はもう我慢しきれなくて感情が少し漏れ出てしまう。
「ふっ。」と瑞樹は鼻で笑ってそのまま自分の席に戻っていく。
もう一度机に突っ伏すが、心臓の音がうるさくて眠くなんてならなかった。
最後まで読んでくれる人には感謝しかないです。




