距離 前編
恋愛モノです。
よろしくお願いします。
「おはよー!」
瑞樹が教室に入る瞬間に挨拶をする。
これが日課だ。
「おう。」
でも瑞樹は素っ気ない。
「今日は朝からさむいね!!」
「お前は朝からうるせぇ」
私のことを押し退けながら自分の席に向かう瑞樹。
その後ろをついていく。
「今日の数学の宿題やった?」
「もう終わってるわ。」
「じゃあ見せてよ!」
「やだよ。なんで見せなきゃなんないの」
瑞樹は怠そうに私を払い除けると、机に突っ伏して寝始めた。
「ちぇ!瑞樹のケチ!」
寝ている瑞樹の後頭部にデコピンを1発かましてから、自分の席に戻る。
「もう朝からイチャイチャしすぎ」
近くの席の祐香が私に話しかけてきた。
「あれのどこがイチャイチャなの!ただ私が無視されてるだけだよ!」
「そーゆーとこよ」
祐香はくすくすと笑って、読んでいた本に目を落とした。
「なんの本読んでるの?」
「『初めての恋のはじめ方』」
「この前映画化決定したやつだ!」
「そうだよー!好きな俳優さんが出るから予習」
「えらいー!」
私は祐香をなでなでしながら本を見る。
「『好きな人から少し距離をおく。こういうのも大事だよ』…?」
「そうそう。光一先生のセリフなんだけど。これを山谷君が言うのかって思うともう...どんなセリフでも耳が昇天。」
「山谷君カッコイイよね!!」
瑞樹が朝教室に入ってきた。
今日は声をかけず、自分の席で寝たフリをする。
寝たフリをしていても、このドアの開け方、足音。
瑞樹のものって簡単に分かっちゃう。
自分の席について、荷物を下ろして、今日の準備をする。
そして物音がしなくなったらきっと寝ているんだろうな。
そう思って顔を上げる。
瑞樹と目が合った。
「うっ...あ...」
ビックリしすぎてよくわかんない声が出た。
恥ずかしくて、目を逸らす。
もう一度瑞樹の方を見るともうこっちを見ていなかった。
勘違いしたのかな...?
それとも私の事見てたのかな...?
その日の授業はどれも頭に入ってこなかった。
最後まで読んでくれる人には感謝しかないです。
本当にありがとうございます




