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現状把握 ・・

「なら俺は、別の世界から来たんだ。」



「・・・・ほぅ。それはとても興味深い」

俺の言葉にレアが反応する。信じてくれたのだろうか?


「レア様、失礼ながら危険だと思われます。あの森でただ運良く我々に助けられ、さらに異世界から来たなどととても信用がおけません。」


リヴェルが鋭く忠告をする。みんながみんな最初から信じてくれたらそれこそ不気味だ。真っ当な意見なんだろう。


「リヴェルはいつも硬いよな〜。たとえどっかからの刺客だったとして、私たちを傷つけられる奴が一体この世界に何人残ってるよ?」


こいつ魔力も少ねぇし、とこぼしながらクロエが言う。


「俺はクロエ様の意見に賛成だぜ。」

シュラもそれに首肯する。


「私は信用し過ぎるのはよろしくないと思います。ですが、レア様やクロエ様に勝る者がいるとも信じがたいです。」

今度はリアラがそう零す。


(なんというか信用というより小馬鹿にされてる感じがする・・・)


「だ、そうだが?」


「レア様がそうおっしゃるのならば、私から言うことはございません。ですが重々お気をつけて下さい」


なんとか丸く収まったようなのだが、ここの人達ってそんなに強いのか?


俺にも“魔力感知!”、みたいのがあったなら良かったのになぁ


「では改めて、その別世界について聞かせて貰おうか」


「ああ、まず俺がいたのは地球ってところで・・・・・」



◇◇◇

数時間後…


「ほうほう!つまりはその“ヒコウキ”というもので人間は空を飛んでるのか!」


「そうなんだ、他にもスマホといって遠く離れた人達と連絡を取り合うことが出来る便利な機械があったりするんだ!」


「魔術式も魔力も使わずにそんなことが!?」


俺が予想していたよりも食いつきが凄かった。

みんな興味津々といった様子で話しを聞いてくれた。


この世界では科学は未知のものらしい。

前の世界で少年少女が魔法やらモンスターやらに憧れるのと同じなのだろう。


思ったより長く話し込んでしまった。


「人助けするといいことがあるというのは本当のようだったようじゃな」

レアが何かを懐かしむようにそうこぼした。


「んで、話は面白かったが結局お前は地球とやらに帰りたいのか?」

意外な人物から質問が飛んできた。


食後のデザートをつまみながら気だるげにこちらに視線を向けるのはクロエだった。



正直言って全然聞いていないと思っていた


でもそんなことより、

「帰れるのか?」


異世界へ転生するラノベなら俺も読んだことある。

現実に帰れるやつなんてほとんど無かった。

世の中そんな甘く出来て無い事も知っている。


「ん〜、そうだなぁ。面倒くさい魔法陣ありったけ敷き詰めて、大量の魔導器と数百人の生贄集めさえすれば出来んじゃね。」


食後のデザートを頬張りながら平然とヤバイ事言ってのけた。


「いやいや、俺には無理だろ。スケールデカすぎる話だし」

帰りたい理由があるわけでも無いし、とボソッと付け足す。


「ふむ、つかぬことを聞くがケンスケに家族は?」


「いない。親は死んじまったし、兄弟もいなかったしな」


「それはすまないことを聞いた。」

レアは気まずそうに言う。


「ヘーキだよ。随分前の話だしな」


話に一区切りつき、置いてあった飲み物を口にした。

(これ紅茶かな?)

食事もそうだったがお茶までもかなり美味しい。



「まあ、あれだな。俺でも分かるように今のお前の状況を説明すると」

たっぷり一分程の沈黙の後、今まで黙っていたシュラが口を開いた。


「目が覚めたら知らない世界来ちゃってました」


シュラに続きリアラが、

「右も左もわからないうちに、魔物に襲われて死にかけてしまい」


「職も住まいも、私たち以外に知り合いさえもいない。」

さらにリヴァル


「無一文の大ピンチってやつか、お前面白いな」

最後にクロエが笑いながら言った。


「ゔっ」

グサグサグサッ、と俺の置かれている状況のヤバさについて指摘され反論出来ず机に突っ伏してしまった。

(とゆーか、笑い事じゃないんだよなぁ)


「どうしよう、何も考えて無かった」


「お前大変な目に遭ってんのに妙に落ち着いてると思ったら考えて無かっただけかよ・・」


呆れたような声が横から飛んできた。


「とゆうことはケンスケ、お前自分の変化にも気づいてないのか?」


「ん、変化?俺なんか変なとこでもあんのか?」


一応自分の身体を確認する。

痛むところも無いし、食事の前に見てみたが腕の傷も綺麗さっぱり消えている。


「おかげ様で五体満足でいるはずなんだが?」

本気でわからない。


「まぁ、鏡を見る機会もなかったししょうがないか」

くねくね動きながら身体の動きに異常がないか確かめてる俺にレアが助け船を出してくれた。


パチンッと指を鳴らすと例にもよって、何処からともなく鏡が現れた。


「どうやってんだ、それ?」


「いいから見てみるといい」


取り敢えず言われるがまま鏡を覗いて見る。


そこには地球でサラリーマンしてた時とは別の人間が写っていた。

(顔の輪郭などが変わっているのはこっちの世界に来たからだとして・・・)


「なんか、違う・・・?」

純粋な日本人だった頃の俺は黒目黒髪の筈だ。


しかし鏡の向こうに映る自分の顔は日本人のそれではあるが黒目黒髪ではなくなっていた。

髪は赤くメッシュが入り、瞳も分かりづらくはあるが少し紫が入ってるのではないだろうか。

森にいた時は顔こそ前世と変わってはいたが黒目黒髪であった。


(いやいや、んなことより)


「俺若返ってね!?」


もうすぐ三十路だったというのに鏡に映る自分は高校生くらいになっている。

仕事疲れも相まってちょっとずつ深くなっていたほうれい線も綺麗さっぱりだ。


(でもこの髪と眼の色、何処かで・・・)

疑問は一瞬で消えることになる。


何故かって?


向かい側の席で紅い髪の女の子が楽しそうにこちらを見て笑ってるからだよ。


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