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意外な才能

***

とある世界のとある国のとある屋敷。

その屋敷の一室ではとても不思議な光景が広がっていた。


まず一人の男が真剣に花と向き合っていました。


さらに角の生えた男女が呆然として突っ立っていました。



さてさてここで問題です!

男女のうちの女性の方はついに言葉が紡ぐことが出来ず今にも灰になってしまいそうです。


男性の方はもはや意識すら手放してしまったらしく立ったまま気絶してしまっています。


なぜだと思いますか?


・・・ ・・・


・・・ ・・・



はいっ!

正解はですね。


とある男の待っている花が虹色に輝き出してしまったからなのです!



◇◇◇


(いや、マテマテ。これ俺が悪いか?俺言われた通りに花に魔力流してみただけだぞ?)


今手元には眩いくらいに虹色に輝く花がある。

先程まで真っ白だったメレスアの花だ。

それが魔力を流した途端、輝きだしてさらに虹色に変わっただけである。


弁解しておこう!

俺は悪くない。決して悪くないのだ!




・・・・・・


「・・あ、あの何かダメなとこありました?」

いつまでたっても二人の硬直が解けないので声をかけてみた。


「ぇ?あ、いや大丈夫、大丈夫です。ちょっと、いやかなり驚いただけで・・」


「いや待て待て待て、あり得ないだろ。メレスアの花が虹色に変わるなんて何万分の一の確率だよ!」


ようやく石化から復活したらしいリアラとシュラが捲くし立てる。


「俺は悪くないぞ⁉︎言われた通りに花に魔力流しただけだからな!勝手に虹色になったんだ」


そういえば虹色じゃどの属性が適正かわかんないな


「いや、あのケンスケさん・・・。これとても凄いことなんですよ。虹色に輝くという事は・・・全ての魔力に適正を持つという事なのです。これは十万分・・いや百万分の一程の者にしか発現しません」


「ふぇっ・・・?百万分の一⁉︎なんで俺が⁉︎そんなにこれ凄い事なのか?」


驚きのあまり花の鉢を落とすところだった。


「いいか、よく聞けケンスケ。魔力には生まれ持った適正と修行などで発現した適正があんだ。ケンスケはなにもしていない状態でその花に触れたわけだから、それは生まれ持った適正ということになる。最初っから全属性の適正を持つ奴なんて色んな種族があるけどそうそういねぇぞ」


シュラが凄い勢いで教えてくれる。


だが

「ちょっと待て、魔力適正って修行で発現するものなのか?」


俺にはそっちの方が驚きだ。


「そっちかよ!そりゃまぁ大体の奴がそんな感じで使える属性増やしていってるぞ」


かくゆう俺も半分以上は修行して増やしたぞと、シュラが言う。


「それはそうなのですが、修行で得た適正よりも生まれ持った適正の方が圧倒的に魔力の効率や威力が高いです。一概にはそうとは言えないのですが一般的には生まれ持っての魔力の適正の多いものが魔術師としての才能があると言われます」


「てことは、俺すごい才能があるってことか?」

いまいち実感ないんだけどな。


「もちろんですよ。魔力操作の精度の高さといい、魔力適正といい規格外の才能と言えるでしょう」


リアラがとても褒めてくれた。



だが、と俺は思う。

適正が高かったのには少し思い当たる節がある。


(この世界に来る直前、確かに不思議なエネルギーのようなものが俺の中に入っていったはずだ)


そして恐らくその力が解き放たれた原因はレアの血だろう。

あの時俺がみていたのは夢ではなかったのかもしれない・・・



◇◇◇

同時刻…


「なぁレアどうしてあの人間を助けたんだ?」


ここはスティア農園第八五階層。

危険なものや特殊環境でしか育たない植物を生育している、ダンジョン内でもかなりの深層だ。

ここにある植物は生育に困難を極める。レアでも成長させるのが難しい草花がある場所なのである。


そんな場所で必死に農作業をしているレアに話しかけるのは、空中に浮いて胡座をかき美味しそうにおやつを頬張っているクロエだ。


「言っただろう。ただの人助けに過ぎない」

レアは植物に込める魔力の調整や、与える栄養の増減など繊細な作業をしながら淡々とそう答えた。


「嘘だな」

しかしクロエは一転、眼光を鋭くしそう即答した。


レアの作業する手が一瞬止まった。

「・・・なぜそう思う?」


「ただ助ける為ならわざわざお前の血を飲ませることもなかったはずだ。後遺症さえ気にしなければゆっくりと治癒されていく方法はいくらでもあっただろう」


なにより、と

「お前の言葉は嘘の匂いがする。いつものレアなら絶対にないはずの匂いだ」


レアは黙ったまま動かない。


クロエは淡々と続けていく

「ならなぜお前はあいつを助けたのか?ただのきまぐれでなんかじゃないはずだ。あいつが異世界から来たからか?それとも・・・」


「予感があったんだよ」

レアがそう口を開く。



「予感?」


「ああ、もうすぐ災厄がやってくる。あいつは多かれ少なかれそれに巻き込まれることになるだろう。そんな気がしたから力を分け与える意味も込めて助けたんだ」


「なんであの人間がそれに巻き込まれると?それよりも災厄ってお前の・・・」


「言っただろう、ただの予感だと」


クロエの言葉を遮るようにレアがそう言う。


ただただ重い沈黙だけがその場に残った。

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