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魔力適正

「それでは魔力の扱い方についてこれからレクチャーするわけですが、その際ケンスケさんの魔力適正を知っている必要があります」

午後の授業後半が始まり開口一番にリアラはまた俺のよくわからない単語をこぼす。


「魔力適正ってどんなものなんだ?」


「簡単に説明しますとその人に合った魔力の属性を調べることですね」


「属性っていくつもあるものなのか?」


「ええ、基本の火、水、風、土、雷の五属性と光と闇の二属性が主ですね。これらの上位属性も存在しますが、まずは今あげた七つの魔力の適正を調べます」

結構いろんな種類があるんだな。

割と応用が利きそうで便利そうだ。


「それで、その魔力適正ってどうやっても調べればいいんだ?」


「本来なら正式な機械などを使用するのですがここには置いていないのでこの花を使います」


「花?」

リアラがどこからともなく取り出したのは花弁が真っ白な小さな花だった。

白い以外にはなんの変哲も無い花だ。


「ええ。これはメレスアの花というもので触れた魔力によって色を変えるという性質を持った特殊な花です。簡易な魔力測定にも使用されます」


随分と便利な花があるものだな。


「それでこれでどうやって調べるんだ?触るだけで平気なのか?」


「いえ、魔力を流してもらいます」


「でも俺は魔力の使い方なんて知らないぞ?」

そも魔法が使えていればあの森で死にかけることもなかっただろう。


「それはそこまで時間はかからないので今から教えます」

そんなに難しくなく出来るらしい


とりあえず立てと言われたので椅子から立ち上がる。シュラにも手伝ってもらい行うらしい。


「魔力は身体を巡るエネルギーで血液と同じような周期で循環していて魔力を扱うには自分の体に魔力があることを自覚し、自由に動かせる必要があります。まずは目を瞑り血液が流れているところをイメージして下さい」


「イメージだけでいいのか?」


リアラが首肯したので俺は目を瞑り血液が流れているところを頭の中に浮かべてみた。


「イメージ出来ましたら今度は血液と一緒に流れているエネルギーを感じることは出来ませんか?」


そう言われて身体の中にエネルギーが張り巡らされているところをイメージし感じてみようとしてみた。


してはみたのだが・・・

「全然わかんないや」

数分格闘したのだが魔力など一切感じ取れない。


「ケンスケさんの世界には魔力という概念が存在しなかったのでそれはしょうがないでしょう。最初はシュラに手伝ってもらってやってみることにしますか」


「それは全然いいんだが手伝うってどうやってやるんだ?」


それはですね、と

「シュラからケンスケさんに魔力を流してもらい魔力がどのようなものか感じ取ってもらいます。これで大体の人は魔力を感じることが出来るようになります」


「それって痛かったりしないよな・・・?」

ちょっと怯えた気持ちでそう尋ねた。


「大丈夫ですよ。少し違和感を感じる程度です。他人の魔力が入ってくるので圧迫感はありますけれど」


よかったと内心息をつきながら差し出されたシュラの手を取った。


「じゃ、流すからな。覚悟はいいか?」


「オーケーだ」


俺が答えるとシュラが握っている俺の手首から違和感が生じる。

なんというか水が体の中に入ってきているような、肌の下をミミズに這われているようなとても変な気分になった。

けれど次第に手首だけでなく体全体でエネルギーの流れがあることが感じられてきた。

シュラに動かされている状態なので、やはり圧迫感というかなんというか息が詰まる感じがした。


「どうですか?感覚を掴めたでしょうか?」


「なんとなくだけど動いてる感じはわかる」

決して動きは速くないのだが今もじわじわと体を巡っている。


「それが出来たら今度は自分で動かしてみてください」


「動かす時は流している方向と同じ方にな。逆に流すと激痛が走るぞ」

怖えーな。痛いのはゴメンなので頑張ってやるしかないようである


「こうか?」

恐る恐る、だがなんとなく感じている魔力という曖昧なものを動かすイメージでやってみた。


ゆっくりとシュラが流す魔力に沿って身体を巡らす。じわりじわりと流れが速くなってきている気がした。


「おぉ、一回目で出来るなんて優秀だな。これ結構難しいぜ」


シュラが褒めてくれてはいるが俺はそれどころではない。

制御が思ったより難しく脂汗を額に滲ませながら必死に体の中に魔力を巡らしている。

気を抜くと魔力に波が立つような感じでとても気持ち悪くなる。一度動かし始めてしまった手前止めることもできず引くに引けない状況に陥ってしまった。何というか穴の空いた器に入っている水を必死に抑えこんで零さないようにした感じだ。


「まさかここまで出来るとは・・・。もう次の段階に移って問題なさそうですね。シュラ、手を離してみて下さい」


「ぇ、あ、ちょっと待っ・・・・」

今離されたらやばい、と言おうとしたが間に合わなかった。


シュラの手が離れる。

それだけで制御する魔力量がコップの水程度からプールの水レベルまで跳ね上がった。


イメージ的には流れるプールの勢いに乗った水流を自分の思うがままに制御しようとしているもんだ。


当然制御しきれるはずもなく魔力は溢れ、溢れるたびに視界がぐらつき頭がガンガンする。


だが一応ではあるが体の中で魔力を巡らせられるようになったみたいだ。プール並みの大容量の水、もとい魔力が体の内側で少し荒れてはいるがだんだんとそれも落ち着いてきた。


「こ、これ止めらんないんだけど、どうすればいい?」

立ったままの姿勢から微動だにも出来ず首だけギリギリと動かして問いかける。魔力の制御で体を動かすどころではない。


「はい、今止めます。最初からここまで出来ればレア様からの課題もすぐに終わりそうですね」


リアラがそう言って俺に触れた。

魔力の荒波が一瞬で消えた。まるで最初からなかったような気すらしてくる。


「はぁはぁ、疲れるわこれ」

魔力制御から解放された途端体に力が入らなくなり膝から崩れ落ちた。

床に手足をつきなんとか肩で荒く呼吸する。


「すごいですよ。普通、魔力の制御を行うには魔力を感じ取れるようになってから数日以上かかるものなのですが、ケンスケさんはかなりセンスがいいですね」

なんかすごい褒められてしまった。

いや、出来たといってもめっちゃ大変だったんだよアレ。行けそうだからといっていきなり最後までやらせるのもどうかと思うが・・・


「少し休憩しますか。一五分程で再開するので今の感覚を忘れないでおいて下さい」


「わかった」

休憩のお許しが出たので、即部屋に備え付けてあったソファーに座り込んだ。


クッションが優しく包み込んでくれているようでとても良い。


微睡みが俺を包み込み眠りへと誘って行った。


◇◇◇


「ケンスケさん、ケンスケさん、起きてください」


俺を眠りから引きずり出す声が響いた。

どうやらリアラが俺を揺すって起こしているようだ。


「ん〜・・・・、どんくらい寝てた?」


まだ寝たい気持ちは強いがなんとか起き上がる。


「三十分くらいですけど、寝ていたらいつまでも魔力操作がマスター出来ません」

十五分と言われたのに三十分も寝てしまったらしい。


とゆうかスパルタかよ


わかったと言い立ち上がって伸びをした。

スゥッと眠気が引いて思考が澄み渡っていく。


「なんか、魔力動かすのやってたんだよな?次どうすればいいんだ?」


「一人で魔力を動かしてみて欲しいのですが、出来ますでしょうか?先程は動かせていたのでその感覚でやってもらえば問題ないのですが」


「ん、わかった。やってみるよ」


ちょっと難しい気もしたがさっきの感覚はまだ体に残っている。頑張れば少しくらい動かせるかもしれない。


「では先程と同じように体に流れている魔力と同じ方向に少しでいいので加速させてみて下さい」


そう言われ、さっきと同じように部屋の真ん中に立って目を瞑った。


意識を集中させ、魔力が体の中を巡っていることを意識する。

おぼろげだが感じ取れる。今までは感じ取ることが無かったその感覚は確かに体の中にある。


先程シュラと行った時のように魔力を加速させるイメージで動かしてみた。

俺的な感想なのだが魔力は力任せに動かすのではなく、向かう方向性を決めそこに辿り着くように道を作ってやるような感じだ。

おそらく魔術とは魔力に指向性を持たせ行使するものなのだろう。

今回の場合は体内に作るべき道はあるので、速くなれと念じるだけでも動かすことは可能なはずだ。


てことでやってみた。

体の中に電車が走っていると思い浮かべてやってみた。


思いの外、いや結構簡単に出来ちゃった・・・


「・・・ケンスケさん、なんというか魔術の才能に満ち溢れていますね」


「いくらなんでも早すぎだろ。教えることねぇよ」


リアラとシュラの感心とも呆れともつかぬ声が横から聞こえた。


「それは褒めてんのか?それとも貶されてるのか?」


「いや、褒めてますよ。ただ上達がとても早いので驚いてしまっただけで」


俺的にはそんな速いとは全然思っていなかったんだがな・・・

これでよかったなら安心だ。


「ケンスケさん、今操作した魔力を別の向きに動かしたり体のどこか一点に集中させることは出来」


出来ないだろうかと問おうとしたのだろう。

だがリアラがその問いを発することはなかった。


なぜって?

俺が体の魔力の流れを逆流させ、さらに両手にまで魔力を集め不規則に回転するように動かして見せたからである!


リアラは口を半開きにしたまま硬直し、シュラは遠い目でどこかを見ていた。


そんな二人をいいことに俺はお腹のあたりで魔力を集め伸ばしたり縮ませたり、はたまたそれを凝縮させ全身へと一気に拡散させたりして遊んでた。


コツを掴めばこっちのもんだ


「・・・もう十分わかりましたので止めていただけますか」


リアラが頭を抱えそうな勢いでそう零した。


「これで合格出来たか?」


「完璧です。いや出来すぎというべきでしょうか。通常一流と呼ばれる者たちですら魔力を知覚してから完璧な操作に至るまで数日から一週間かかります。私はもう少し時間をかけて練習をしようと思っていたのですが不要だったようですね」


どうしよう。めっちゃ褒められた。こんなこと言われるのはいつ振りだろうか?

魔力の操作だけなら俺はめっちゃ凄いらしい


「てことは、これでもう魔力適正調べられるんだな」

どうしよう。ちょっとテンション上がってきた。

魔力操作もうまく出来たし、なんか童心に返って魔術とか使いたい。


「ええ、早速始めましょうか。本当は軽い操作さえ出来れば問題無かったのですが、予想以上でしたからつい驚いてしまっていました」


それではと、

「ではこの花に魔力を流してください。その色で大体の適正が決まります」



俺がどんな魔法を使えるかどうかがこれで決まるっ・・・!


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