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午後の授業

「ではこれから午後の講義を行います」


眼鏡をかけ

何処かキリッとしたようなリアラが教鞭をての平にペチペチとさせている。


ここは屋敷の中の一室。

黒板らしきものが壁にあり俺は椅子に座って講義を聞く体勢になっている。

机にはペンとノートまで用意されていた。


レアとのダンジョン巡りの後美味しい昼食を食べ、今度は午後の講義となった。

今日の先生はリアラらしい。

いやにノリノリで普段とのギャップがすごい。


「講義を始める前に質問などあったらどうぞ」


「はい」

手を挙げたのは俺だ。


「なぜ講義の場所にシュラも座っているんだ?」


そう、何故か隣にはシュラが座っているのだ。


「ケンスケさんと一緒に講義を受けさせようと思いまして」


「俺は別にいいって言ったんだけどな」

と、シュラが文句のように言った。


「シュラ、貴方ももう少しここの場所以外の事を学ぶべきです。今回は良い機会だと私は思いますが?」

拒否するなんて許さないぞと言わんばかりの言圧でリアラが言う。

ちょっと怖い


「姉貴がそう言うなら俺はちゃんと受けるぞ」

理解できるかはわからないが、と付け足すが・・


「大丈夫です。この世界に来たばかりのケンスケさんでもわかるように細かく説明していくので必要事項があったら手元のノートに書き留めて下さい。何か気になるところがあったら質問も受け付けています」

リアラが親切に説明してくれた。


「ではまずどんな事から学びたいですか?」


「いきなりどんな事と言われても迷うが、一番気になるのはこの世界がどうなっているのかと魔力のことだな」

魔力についてはレアからも言われていると伝えておいた。


ちなみに何処でも出来るようにと植木鉢と種をレアに持たされた。


「では何もわからないままいきなり始めるのもなんですので、ケンスケさんの世界とこの世界の違いを軽く比較した話をしてから魔力の扱い方の講義をしましょうか」


「わかった」


「りょーかいっ」


俺たちの返事を聞いてリアラがゴソゴソと準備をし始める。


「では説明を始めましょう」

そう言って取り出したのは世界地図だ。

勿論だが地球のものとは違った。

だがどこか大陸などの構成は似ているようだ。


「一応聞いておきますがこの地図とケンスケさんの世界の地図は異なりますよね?」


「ああ、少し似てはいるが違うな」


「ではこの惑星の概要と世界の構成を少し説明しますね」


「ではシュラこの惑星のことについて知っている事を言ってみてください」

リアラがそう言ってシュラの方に話を振った。


「そのくらい言えるぞ。俺たちが今いるのは惑星クリスタという名前で、六つの大陸から出来てんだろ。あと魔界とか精霊界とか別世界層があるよな」

シュラが意外とスラスラ言えてて驚いた。

この世界のことを何も知らない俺と一緒に講義を受けるのだから本当に何もわからないと勝手に思っていたのだが・・


「そうです。正確には第七太陽(ソルガ)の周囲を公転している第一二惑星ですが」

なんかすごい細かいところにまで指摘を入れてきた。


「そんな細かいことにこだわってんの姉貴くらいだぜ」

シュラがボソッと言ったが黙殺された。


「ケンスケさん、惑星は先程シュラが言った通り六つの大陸から成っています。さらに言えば神の住まう天界、精霊が住まう精霊界、悪魔の住まう魔界など私たちが暮らす地上とは別の次元が存在します。このことについては後日詳しく説明することにします」


「了解だ。いきなりわけがわからなくなってきそうだったから助かる」

魔法の話が出てくると思えば、別世界的なのがあるらしい。相変わらず想像の斜め上をいく。


「ではでは今日は地上のことについてざっと説明するとしましょう」

そう言って教鞭で黒板を軽く叩いた。

黒板に白い線が走り先ほど見たこの世界の地図が描かれていった。

地図を見せた意味とは・・・


「それではまず今私たちが過ごしているこの大陸についてです。この大陸は世界最大の大陸であり様々な種族が暮らしています」


「はいっ!質問です。様々な種族ってなんですか?」

いきなり脳の許容量を超えそうな問題が発生した。他の種族ってなんだ!?まずまずそんなのいたのか!?


「ではメモしておいてください。この世界の地上だけで十を超える知恵を持つ種族が存在します。ケンスケさんはおそらく外見から人間に分類されますが人間以外にいくつもの種族からこの世界はなっています」

些か数が多い気がするが、本当にファンタジー世界の再現なんだな。


急いでメモを取った。


「この世界には魔力と精霊子があるのはレア様に聞きましたよね?」


「ああ」


「魔力、精霊子の適正によって種族の特徴が変わっていきます」


「その様子だと忘れているようなので伝えておきますが私達も人間ではないですよ?」


「ぇ、まじ・・?あ、二人ともそういえば角生えてるもんな」

完全に忘れてました。すんません


「いつもの姿はこれなんですが・・。シュラ、少しケンスケさんに見せてあげて下さい」


「オーケー」


シュラが席を立ち身体に力をいれる。


「なにをす・・」


「ハァ!」

一瞬でシュラの纏う空気が変わった。

おちゃらけた感じはなくなり威圧的で恐ろしい。


唇からは鋭く犬歯が伸び額の角は常時より長くなっていてどこか禍々しい。

鋭くなった眼光で見られるだけで本能的な恐怖を感じた。自分がただ狩られる側にいるということを強制的に理解させられた。


「と、まぁこんなもんだ・・。って、おい大丈夫か⁉︎」


思わず腰を抜かしてしまっていた。

椅子からずり落ちたところをシュラに引き上げてもらった。


「すみません。見たほうがわかりやすいと思ったのですが驚かしてしまいましたね」


「いや大丈夫だ。ちょっと怖かったけど・・・」

シュラは力を抜くように元に戻った。


「俺たちは鬼人という種族だ。一応な」

何か含むように言っていたがそこは聞かない方がいい気がした。


「今見てもらった通り様々な種族が存在し、共存しています。ケンスケさんの世界には他種族がいなかったのですね。私たちにとってはそちらの方が驚きです」

そりゃそうだな。

俺には当たり前のように周りには人間しかいなかった。

リアラやシュラには当然のように周りに他の種族がいた。どちらも驚くのは必然だ。


「一応俺の世界にもそういう概念だけはあったぞ。エルフとかドワーフとかだったかな?」


「その辺は一致しているのですね。エルフもドワーフもいますよ。彼らは亜精霊に分類されていますね」

なんだ亜精霊って…


「まぁこの辺の話は飛ばすことにして、とにかく地上がどのように構成されているかの話しをしていきます」


「ああ、遮ってすまなかったな」


「構いません、分からないことがあったらどんどん聞いてください」


そう言って俺が中断してしまったところから講義が再開された。


「まずこの地上には六つの大陸があります。今いるのはエヴァート大陸といって世界最大の大陸です。そしてこの農園を構えているのはモーティリッド王国内のベルヌッドリービ大迷樹林でございます」

教鞭で黒板の地図を指しかさながら現在地の説明をしてくれる。


「ベルヌ…リー?」


「ベルヌッドリービ、です」

ナゲーよ。あと言い辛いよ。


とりあえずメモを取る。

そこで疑問が生じた。


「なあ、レアは魔王なんだろ?」


「ええ、そうですが」


「それなのに王国の中に農園構えてて平気なのか?」

国の端っこにスイッチをなくした核爆弾を置いとくようなものだと思うんだが・・・


「王家承認の農園ですので問題ありません。たまに国王も来ますよ」


「まじかぁ〜」

王家直々に認めて貰っているとはあいも変わらず想像の斜め上をいく。

しかも国王様も来ちゃうのかよ。


「この世界の主に地上では魔力と精霊子が満ちていてその恩恵を受けて生命が暮らしています。先ほどシュラが言ったように地上以外にも生命が存在します。地上自体は六つの大陸から成っていて、それぞれに様々な種族が暮らしまた共存しています。ここエヴァート大陸では西と東でかなり暮らしている種族が異なり・・・(略)・・・となっており島々にもそれぞれ異なった種族が居を構えいたりしています。またサハルッザ大陸などでは・・・(略)・・・です。さらに終焉の大陸ウルゴスと呼ばれる場所では人々はほとんど暮らせず・・・(略)・・・。(略)(略)(略)。このように局所的には異なる場合がありますが魔力・精霊子ともに非常に安定し殆どの生命にとって過ごしやすいのが地上です」


大体一時間半くらいだったかな、リアラの講義が続いた。

細かく説明してくれていてとてもわかりやすかった。きちんとメモを取ったし、分からないところは質問した。


今回は世界の構成と大陸の特徴やそれぞれの魔力・精霊子の比較、そこに暮らす種族などを教えてもらった。

それぞれの細かいことは後日やるそうだ。


「今日は講義はこの辺で終わりにして、レア様からの宿題をやってみるとしますか」

手をパンっと鳴らしてリアラがそういった。


「課題はエイルの花を咲かせることで良かったですよね」


「ああ、三日で咲かせれば合格だそうだ」


「三日・・・?」

リアラが不思議そうに首を傾げた。


「何か問題あったか?」


「いえなんでもございません。では始めましょう」


いよいよ待ちに待った魔力の授業が始まるようだ。


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