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【BOX_00】プロローグ1

綴字つづりじみかなと申します。

初めましての方は初めまして。前作を読んでくれた方はどうもありがとうございます。


この度、Battle Order Xaxis 《バトルオーダーザクシズ》という

VRロボットモノの小説を書き始めることにしました。


前作【サキュバスだって純愛できるっ】とはだいぶ毛色が異なりますが、

ロボット作品が好きな者として、精一杯書いてみたいと思います。

1980年~2000年代のロボット作品が好きな方はこんにちは。

そうでない方も、エンターテインメントとして面白いと思えるものを書けるように

頑張りますのでよろしくお願いいたします。


※※こちらは不定期更新になります※※



2048年。日本。


一家に一台。いや一人に一台という時代がやってきた。


《Battle Order Xaxis》

バトル オーダー ザクシズ


通称BOXと呼ばれるそれは、

男の子なら誰もが憧れるであろうコクピットを自室に持つことの出来るゲームだった。


全長2メートルの黒塗りの立方体の箱に入り、アーム(フランス語で魂、英語で腕、と2つの意味をかけているらしい)と呼ばれる人型ロボットを操縦する体感型ゲーム。


両手で操縦桿を握り、両足でペダルを踏む。

左右には様々な計器が付いていて、視界は全方位見渡せる全天モニター。


そんな夢のような機械を自宅に置いて、いつでも気軽にプレイできるのだ。

もう、わざわざゲームセンターに行ってやる必要はない。


一昔前の高級パソコンを買うくらいの値段でこのBOXは手に入る。


発売から1月で、このBOXは瞬く間に情報が広がり飛ぶように売れた。

誰しもが、自分の部屋の中に自分だけの空間を創り、世界に没頭した。


これは、そのゲームにハマった者達【箱乗り】に起きた、実に摩訶不思議で奇妙な物語である────。





2050年 9月21日 23時55分


短髪の茶色髪、騎士服のような真っ青な衣装に身を纏った少年、神名万丈かんなばんじょうは1ルーム8畳の自分の部屋でストレッチをしていた。部屋には真っ黒い箱が堂々と鎮座している。

部屋に箱があるのではない。“箱のために”部屋があるのだ。


ファンタジーのゲームにありそうなお偉い将軍が着る軍服に似た衣装。

青と白を基調にした由緒正しそうなデザイン。

腰には短剣と長剣(もちろん模造刀)を差す。

生地はそれなりにしっかりしていて、伸び縮みもする。

オーダーメイド製なのだから体にぴったりなのは当然だった。


万丈は鏡の前でそれを何回も確認し、にんまりすると黒塗りの箱のハッチを開けて操縦席に飛び込んだ。



深夜0時。



これから《Battle Order Xaxis》

通称BOXの全国一斉イベントが始まる。

発売から2年経つが、いまだ人気の衰える気配はなくユーザー数は増える一方だ。


全国対人戦や、共闘といった遊び方も選択することが出来るおかげで、ユーザーも積極的に戦いを楽しむものとロボットを操縦できることを楽しむものに分かれていた。


万丈はその中でも取り分け共闘の全国対戦に精を出していた。

齢15歳にして、共闘全国ランキング3位に入る実力者。


愛機【キュアノエーデス(ギリシャ語で青を意味する)】を駆り、戦場を縦横無尽に駆け巡る若き箱乗り。


ついたあだ名が【蒼き炎(エーデスプロクス。プロクスもギリシャ語で炎を示す)】

機動性の高い動きとその闘い方から、「青い機体には注意しろ」とネットのスレッドによく書かれるほどだった。


BOXを遊ぶユーザー達は、そのゲームツールから箱に乗って遊ぶ人=箱乗りと呼ばれている。

箱乗りは今の若者にとってステータスであり、コミュニケーションの手段でもあった。


特に学生の間では、このBOXをもっている、もっていない、でクラスの除け者にされることもあったくらいなのだ。


「さぁて、始めますか」


万丈は拳と拳をつき合わせると、ハッチを閉めて右斜め上に付いているスイッチをパチン、パチンと弾き始めた。


ウィンウィンウィン。


起動音が鳴り始め、正面、左右、上、後ろとモニターが付き、文字の羅列が並び始める。

一通り文字が出終わると、真正面に


《Battle Order Xaxis》


の文字が青白く浮かび上がって消える。

ゲームが起動し終わると、万丈はキュアノエーデスに乗り込み、スタンバイ状態に入った───。




このゲームの世界は、惑星ルナリスと呼ばれる星が舞台だ。

突如、他の星から複数の未確認不明の物体が飛来。

巨大な5つの物体は世界に根ざし大きな要塞と壁を築き上げ、世界を5つに分断してしまった。


要塞からは無人の機械が溢れ出し、大陸を侵略するため侵攻を開始した。


プレイヤーは惑星ルナリスの救世主となって、アームを駆り侵略者との闘いを繰り広げる───

というストーリーである。


侵略者はクラッシャーと呼称され、人や物を問わず蹂躙の限りを尽くす、まさに惑星にとって

悪の権化。共闘は、全国の仲間達と力を合わせてそのクラッシャーを倒すイベントのことを指している。




時計の針は0時を指し、モニターにミッション内容が映る。



『フロア3にてガデオン軍と共闘しクラッシャーを排除せよ』



“フロア3”は5つに分断された大陸の名称の1つ。

フロア1から5まであり、番号が増えるほど浸食の度合いは大きく、クラッシャーも強い。


ガデオン軍は惑星ルナリスに昔からいるガデオン王国の機動部隊だ。

彼らがやられないようにクラッシャーを倒していくのが今回の任務となる。


「今回はフロア3か。ならやれそうだな」


万丈は操縦桿を握り、右のボタンを人差しで軽く叩く。

画面が変わり、


《Fulfill a mission》


の文字が浮かび上がる。


出撃の時に必ず出る言葉だ。

前に調べてみたら「使命を果たせ」という意味らしい。


ゴゥンゴゥンゴゥン。


揺れるコクピット内部。

箱には震動装置も付いていて、しっかり臨場感を出してくれる。


ホバートレイルと呼ばれる空中輸送艦からの出撃。

リフトに載せられ発進位置まで移動していく。


「キュアノエーデス、発進どうぞ。ご武運を」


NPC通信手からの聞き慣れた音声。


「了解。それじゃ、行くか!!」


操縦桿を握り、思いきりアクセルを踏む。


キュアノエーデスは前傾姿勢をとり、そのまま勢い良く戦場へと飛び出した。


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