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7.花の香る庭で

「おはようございます!」

「…おはようございます」


今日でラスティ君と会うのは、ラグナスさんに連れられた時のを数にいれて4回目。


なんか…。


この、なつかない気位が高い猫のような彼を変えてみたいと思い始めている私は変なのだろうか?会話も一方的でキャッチボールには程遠い感じだしなぁ。そんな時、ひょっこりと現れたダリアちゃんが提案をしてくれた。


「今日はお天気もよいのでお庭でお茶に致しましょうか?」

「はい!」

「…」


正直男の子と何を話していいのかわからないし、ずっと部屋にいるのも息がつまっていた私は、ラスティ君が何か言うまえに賛成の声をあげた。


世の中早い者勝ちなのよ。


「広い」


案内されたお庭は、とても広かった。

もう庭じゃない。

これは植物園だ。


「まるでお伽噺ときばなしにでてきそうな景色」


少し歩いた先にはドーム状の屋根がついたベンチがある。色はクリーム一色で何本かの柱には蔦がからまり元気な葉の緑との色合いが素敵。

そして周りを見渡せば、薄いピンクの花が満開だ。少し大きいけれど、形と香りがフリージアそっくりで風が吹くと香りが広がり、その甘すぎない匂いを、私はおもいっきり吸い込んだ。


いけない、一瞬この雰囲気に興奮して忘れてた。


ちらっと後ろを振り向けば小さなバスケットを持ったラスティ君が無表情で立っている。

私は、ラスティ君にあの屋根つきのベンチで休憩しようと彼に言うために駆け寄り話しかけようとした時。


「…やめろ」

「ラスティ君?」

「…止まれ!」


明らかに様子が変だ。

それもどんどん悪くなってる?!


「っあ!」


頭を抱え膝をついたラスティ君の周囲が急に真っ赤になった。

まるで火が噴き出したように。


「ラナ先生っ近寄らないで下さい!!」

「ラスティ君!」


身体を激しく揺らし始めたラスティ君に私は飛び付いた。


「つっ!」


熱いっ!

これ死ぬかも?!

でも!


「ラスティ君、大丈夫」


何がそんなに辛いの?苦しいの?


「怖くないよ。絶対大丈夫」


強くラスティ君を抱きしめた。

ラスティ君の方がもちろん大きくて私の腕だと届かないから、頭を抱え込むように。耳元で、できるだけ落ち着いた口調で話しかけた。何がなんだか分からないけれど、一つだけは確かだ。


今、ラスティ君はすごい恐怖心と戦っている。


しばらくすると、彼から噴き出す様にでていた透明な不思議な炎は小さくなり、最後は消えた。


私が意識が途切れる直前に聞いたのは。


「貴方はっ! なんでこんな無謀な事をしたんだ!?」


プラチナブロンドに紫の、それはそれは美しい青年から発せられたとは到底信じがたい怒鳴り声だった。






読んで頂きありがとうございます。

短いのでもう一話頑張ります。

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