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13.ラナ先生

「なんか寒っ!」


ラスティ君の先生は、私が身体に触れ終わった瞬間目を覚まし、いきなり身体を起こして腕をさすりラスティ君を指差し文句を言い始めた。


「ラス!ちょっと!女性は身体冷やしたらいけないって繊細なんだから丁寧に接しなさいって昔から教えたでしょ!ここ寒すぎじゃないの!」


その時、誰かよく分からないけど、よそ様の家に行くと聞き手ぶらも悪いので、ラスティ君に手土産にと庭から持ってきていた紫陽花のうちの数本をこの先生の家に持ち込み、横になっていた側に置いておいたままだった。それが、先生が腕を振り回すので石の床に落ちた。


「何これ?見ない花…いえ前に見たことがあるような。あら?あなた」


石の床に落ちた紫陽花から私へと視線が移り、綺麗なラスティ君と同じ色だけど、それよりも濃いラベンダー色の瞳とバッチリ目が合った。


…と思ったら。


「ラス!とうとう彼女が欲しくて異界から引っぱってきたの?!」

「「違います!!」」


初めてラスティ君と息が合った。


「えっ違うの?」

「…覚えてないのですか?」


ラスティ君が首を傾げている先生にさっきとはうってかわって低い小さな声で聞いた。


「あ~!」

「思い出しましたか?」

「ラスごときにやられたんだった!」

「…」


悔しいと腕を振る先生を見てラスティ君は、深く、とても深いため息をついた。


なんだかその姿は、とても16歳には見えず苦労しているようで可哀想になってくる。


「で、私の身体が完治しているっていうのは、まさかあなた?」

「えっ?みたいです…」


迫力美人に話を急にふられ、ついビクビクしてしまう。だって、言動はともかくラスティ君の先生は、波うつ金色の髪に二重のパッチリなそれは綺麗な人で同性でもドキドキしてしまう。


「え~可愛い子じゃない~!本当に喚びだしたんじゃないの?」

「違いますよ。っ!離して下さい!」


先生は、ラスティ君の肩に腕をかけて動けないようにして、グリグリと頭を撫でている。


チクチク


じゃれあう二人を眺めていてなんか嬉しくない。

…なんだろう。

このトゲトゲした気持ちは。


「しかし真面目な話、不味いわね~。じい様にまだ詳しく話してないでしょうね?」

「はい。でも時間の問題です」


なんか話は進んでいるようだけど、私にはよく分からない。


「よし。とりあえず上で考えるか」

「はい。ユイ?ユイ!」

「えっ?」


急に呼ばれてビクッと肩が自分でも大きく動いてしまったのに気付き恥ずかしくなる。


「大丈夫ですか?力を急に使い過ぎて疲れましたよね」


ラスティ君に心配そうな表情で顔を覗きこまれて、どぎまぎしてしまう。


「だ、大丈夫!」


ああ。美形のアップは、本当に心臓に悪い。

でも、この後もっと心臓によくない事が待ち受けていたのだ。


「ねぇ」


地下から上がり、広くはないけれど、とても綺麗で立派な応接室のこれまた高そうなソファーに座りお茶を頂くこと時間にして約20分くらいが経過した頃、向かえのソファーで目を閉じ1人ブツブツ呟いていた先生に話しかけられた。


「ユイと言ったわよね」

「はい」

「あなた、この世界、この国に骨を埋める気があるかしら?」

「…え?」


いきなり何?


「ラナ先生!」


私の隣に座っていたラスティ君が非難するように大きな声をあげた。


「ユイ、ラスと結婚しない?」

「先生!」


──私、なんかピンチかも…?













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