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ss 魔女の料理はなんの味

モチベーション的に番外編を書いてみました。

見なくてもストーリーには関わりありませんので大丈夫です。

暇な人や気になる人にどうぞ。

それはある日のことであった。いつものようにソシエールと食卓を囲み、談笑しながら料理を口に運んだときだった。


「私、料理するわ」


…え?今なんて言った?料理?バカな。ソシエールは生粋の魔女だ。料理を作るなどあり得ない。

危うく吹き出しそうになった口を強引に閉ざし、笑顔を浮かべておく。


「今なんか失礼なこと考えなかった?」


心を読まれた…だと…


「そんなわけないですよ。それよりもどんな料理を作るんですか?」


話題を変えてなかったことにする。勘がきくようだ。

あまりこういうことは考えないようにしておこう。

まぁソシエールのことだ。魔法のように完璧に作るに違いない。それに彼女は魔法使いとは言え女性だ。きっと僕よりうまい料理を作るはずだ。


「そうね…パフェとかどう?イチゴパフェとか」


「それがいいですね。楽しみにしていますよ」


その後彼女と詳細を取り決め、材料は僕が買ってくることになった。

どうも彼女にも用意があるので買いには行けないそうだ。

―――――――――――――――――――――――

町を歩きながら彼女に渡された買ってくるもののメモに目を通す。

生クリームの材料やイチゴなとが記入されている。はてさて、どんなストロベリーパフェが出来るのかな?

ソシエールの作るパフェに想いを馳せながら、近くの商店街をぶらぶら歩く。


「おかえり」


帰ってくるなりソシエールがそう声をかけた。

今では大丈夫だが最初の方は慣れていなかったので吃驚したものだ。

ただいま戻りましたと返しつつ進捗を聞いてみると胸を張っていた。多分大丈夫だろう。

材料を渡し、


「美味しいパフェをお願いしますね」


と頼んでおいた。


「楽しみにしておきなさい」


と、言っていた。

トントントントン…ジュー…ボッコン…


「ん?なにか聞こえましたかね?そんなことないか」

―――――――――――――――――――――――

「さあ、出来たわよ、召し上がれ!」


そうソシエールが自慢げに言い、席に着いているセヘルの前にパフェ(?)を出す。

……なんだ…この物体…

セヘルの前には灰色のコンクリートのような物体があった。

ゴクリ…

僕の額を一筋の汗が走る。


「どうしたの?早くしないと温くなっちゃうわよ?」


ソシエールが声をかけたような気がしたが今はそれどころではない。さて、どうする?

食べた振りをして口のなかで転移させるか?いや、そんな精密なものを詠唱もなしに発動はできない。

下手をすれば空間に歪みが生じ、時空がごちゃ混ぜになってしまう。

そんなことを考えているうちにも段々と時間は過ぎて行く。

まさかここで食べれません何て言ってみろ。恐ろしいことになる。昔理由は忘れてしまったが次元魔術師の逆鱗に触れてしまった輩がいたらしいが、異次元転移で異次元に送り込まれてしまったらしい。

因みにソイツは未だ発見されていないらしい……

ソシエールがその魔法を使えるのかは分からないが怒らせない方がいいだろう。


「そ…そうですね、いただきます」


スプーンをその物体に突き刺す。グニュという音がする。こんなものは買ってきていない。

生理的嫌悪感が僕を襲う。人間ならばこの時点で臭いと触感で失神しているか発狂するところだが鬼としてのプライドと精神力でそれを押し殺す。

見た目だけかもしれない。美味しいかもしれない。頑張れセヘル・ミラー!!!そう自分を激励し、彼は意を決して口へソレを放り込む。


瞬間、彼の意識は遠い遠い彼方へと飛んでいくのだった……

セヘルが最後に感じたその味はどんな拷問よりも辛く感じたのだった。

……拷問されたことないけど。

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