NO.4 願い事
日常回となります。
ーーそれで、何かしてほしいことはありますか?
泣き始めたソシエールをあやし、泣き止んだところで問いかけた。今回の戦いは彼女の勝ち。つまり僕が願いを聞くのだ。
正直、負けるとは思っていなかった。近接戦においては僕の方が上だ。しかし、彼女は私を近づけず、魔法の競り合いにも勝って見せた。まだまだ僕も修行不足なことを知った。
ソシエールはベッドに横たわりながら、顔をこちらに向けながら懇願するような顔で、こう言った。
「私に転移魔法を教えて」
やはり、か。大体予想はついていたが、僕にできてソシエールにできないこと、それは転移魔法だ。僕はこの館の転移システムを応用して魔法を構築、魔力を練り上げて魔法を発動させている。それはどの魔法も同じだ。僕はこう答える。
「いいですけど、難しいですよ」
と言いつつ、口元をにやけさせる。一瞬彼女の顔がひきつったが、首肯した。
「そうと決まれば練習です。転移魔法はなかなか難しいですよ」
「望むところよ」
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ーー4週間後
「ここまでできれば十分です。一度使ってみてください」
ソシエールが頷くと、魔法を行使。一瞬で10メートル離れた所への移動が成功した。
「まだまだ課題はありますが、基本は出来るようになりました」
彼女にはいろいろ驚かされた。吸収が早く、スポンジが水を吸い込む様に学習していく。流石は魔法使いとったところか。
「この魔法、凄いのね。どんなものでも移動できるし、応用もなかなか出来るわ」
質量の多さに比例して消費する魔力が増加するが、ソシエールの魔力量はなかなかのもので、そのくらいなら無視できる。
僕はそれを応用して、異空間をつくってそこを倉庫代わりにしている。まだまだ削れる所があるので研究が必要だ。時間は余るほどあるし、今度また研究しよう。
そんなことを考えていると、ソシエールがまたまた懇願するような顔で言う。
「今度また魔法教えてよ」
元々独り身だったため、いつも暇を持て余していた。そのせいか、することができるとすぐに試してみたくなる。その意味でこの一言はとても嬉しかった。
「僕も未だできない魔法もありますし、ソシエールに教えてもらいたいですね」
そう言いつつ、頭を斜めに傾けて訊く。すぐに返事が戻ってくる。
「もちろん!」
そうして、ソシエールと僕の魔法研究会が定期的に行われることになった。
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ーーよし、できた。
寝る前の日課である日記をつける。今日ソシエールが魔法を使えるようになったこと。僕とソシエールの魔法研究会が開かれることになったこと。
その日もそうして出来事があることを嬉しく思い、布団に入り、襲いかかってきた睡魔にその身を任せるのだった…
日常回…もうちょい増やそうかな?