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NO.3 家族

初めてのシリアス回。

ソシエール視点

わたしがこの館、蜃気楼殿に居候させてもらって早一年。2人でティータイムを楽しみながら、セヘルに聞いてみた。


「そう言えば貴方の親御さんはどうしているの?」


…と。すると彼は、


「…死にました」


と暗く言い放った。その顔はどこか自分への戒めすら感じる。悪いことを聞いてしまったと謝り、そしてしばしの沈黙が流れる。それを破ったのはセヘルだ。


「たまには魔法対決、してみません?」


だそうだ。空気が悪かったこともあり、私もあっさりと了承した。初のセヘルとの対戦である。


残りの紅茶を飲み終え、すぐに移動。セヘルの転移魔法で近場の草原へやって来た。


「なにか賭けます?」


「じゃあ勝った人は負けた人に出来ることなら何でもする、っていうのはどう?」


「いいですよ。俄然燃えますね」


と、言うことで勝った人は負けた人に命令できることになった。何を命令しようか考えながら、開戦の火蓋が切られる。


まずは小手調べで風魔法。小さな竜巻を発生させる。この魔法はそれなりの力があり、人間くらいなら触れただけで木端微塵になる。しかし、セヘルも鬼だ。力ずくで竜巻を掻き消してしまった。すごい怪力である。

流石に舐めていたなと反省し、本命の魔物を一気に5匹召喚する。現実的に魔力量を考えてこれが限界だ。流石のセヘルも手を打ちざるを得ず、あっちも魔物を召喚した。魔物だけではこちらが上。しかし、セヘルも参戦することにより戦力差を消し、此方へ襲いかかってきた。


魔法で距離を取り、範囲火魔法で焼き払う。セヘルも距離を取り、にらみ合いの様相を呈する。


「なかなかやりますね…」


「そっちもね。でも負けるわけには行かないわ」


と言い放ち、異次元から大量の槍や剣を召喚。セヘルに向けて飛ばした。彼は転移魔法で大きく避ける。彼に近づきそうな剣は彼の力で風を起し、吹き飛ばす。凄まじい力だ。


一旦距離を取り、次元魔法を行使する。今度は私も本気だ。ありったけの武器を召喚。再び飛ばす。セヘルは転移魔法で大きく避けようとする。だが、遅い。更に追加で武器を召喚。セヘルを取り囲んだ。


「まだ負けるわけにはいきませんよ!」


大量の魔力の放出とともに、彼の回りに魔力の盾が形成される。更にそれらを外に向けて飛ばすことで武器を弾き返した。再びにらみ合いとなる。

が、すでに私は魔力が底をつきかけている。対してセヘルは未だ余裕があるように見える。もう私に勝ち目はない。


「…私の負けよ」


自ら負けを宣告すると彼は、


「ここまで私を苦戦させた人は見たことがありません。それに、内容的には私の負けです」


と、言うと同時に盾を全て消し去った。両手を上げ、降伏の体をとる。私も武器を消し去る。かなりキツかったが、辛くも勝利したのである。


しかし、そこから後の私の記憶はなくなっていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目を覚ますとそこには見慣れた天井が視界に写る。これは蜃気楼殿の私にあてがわれた部屋だ。


すぐ横にはセヘルがいる。


「おはようございます。体調はどうですか?」


だそうだ。


「お陰様で大丈夫よ。ありがとう」


心の内には彼のありがたみが手に取るように分かる。魔女狩りに遭い、行き場のない私に居場所をくれた存在。セヘル・ミラー。彼にはいろいろ面倒を見てもらっている。そして、何より私にとって「家族」と思える存在だ。そんな彼にふと思ったことを問いかける。


「貴方は家族に対してどう思っている?」


そんな慈愛の心を持った彼の奥底には一体何があるのか。率直にそう思った。


「私にとって家族はかけがえのない存在です。それを守るためなら何だってする。今の私にとって貴女も家族ですよ」


と、上を見ながら呟くように語った。ティータイムの時のそれとは違い、どこか晴れ晴れしい顔だった。頬を温かい何かが伝う。手で掬い上げ、口に含む。


とてもとても、温かい味がした。

ソシエールの願い事は…?

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