NO.1 それはとても唐突に
書き溜めていた分です。
夜。何かの気配を感じ飛び起きた。2、3人ほどだろうか、館へ近づいてくる。
夜中とは言え正門へ近づくので客であっては困ると魔法を行使。門の手前へ転移するとすぐに門がゆっくり開いた。
「蜃気楼殿へようこそ」
挨拶をしたつもりだったのだが入ってきた2人組の男は酷くビックリしたようで
「……!」
無言である。
「どうぞ中へ」
手を門の奥へ向けると一人の男が
「貴様に用はない。「秘宝」はどこだ」
と低い声で言い放ち、懐から短剣をとりだし突きつけてきた。薄汚れたなりからして盗賊か何かだろう。仕方ない。
「「秘宝」?そんなもの、知りませんよ」
と焦らしてみると怒ったのか
「いいから出せ!」
と大声で言った。幸い彼らは見たところ私には敵わなそうだった。
「だったら力ずくで奪って見せなさい」
と言い放つとと一人の男が出てきた。
こんなやつ、俺一人で十分だとでも言うような顔で襲いかかってきた。実際僕は身長も低く、男よりも小柄なので勝てると思ったのだろう。
「おらぁぁぁ!!」
短剣を振りかぶり切りつけようとしたところで魔法を行使。男の背後へ回り込むと蹴りを脇腹へお見舞いした。
「が…は…」
口から血を流し倒れる男を信じられないような目で見るもう一人の男。
「こんなものですか?」
更に倒れる男に先程彼が持っていた短剣を突き立てた。周囲に血飛沫が飛ぶ。
「ぶふぉう…」
それきり彼は何も言わなくなり、口を動かすのみだった。
呆気なく戦いは終わりを告げたのである。
「ひぃぃぃ!」
倒れる男を放って逃げ去るのを見届けた後、倒れている男に止めの一撃を放った。
グチャ
紅い液体で水溜まりができ、その中心にはもとは何だったのか分からない程に原型をとどめていない肉塊があった。
魔法を行使してこれを片付け、一仕事終えたようにため息し、
「もうここには居られなくなりましたね」
そう宵闇に言い放つとそれは暫く空を切り、そして消えていくのだった…
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それから暫くして転移の時がやって来た。
「今度は山のなかですか。」
毎回転移したときには近くに街があるかを探す。鬼とは言え食べ物がなければ生きていけないものだ。
暫く探索すると小規模ではあるが町を発見した。
早速入って見ると様々な店が軒を連ねている。
これでここで暮らせそうだな、そう思いその場を後にした。
館へ帰ると門の前で一人の女性を発見した。そして驚くことに…
彼女から魔力が感じられた。
人間は持っているはずのないものであり、彼女が持っている、つまり…
彼女も僕とにた存在である可能性が極めて高い。
この結果を弾き出した僕はすぐさま彼女の元へ近づき声をかけた。
「大丈夫ですか?」
よく見ると彼女は酷く疲労している様子だったので取り敢えず館へ入れ、応急手当をすると意識を取り戻したのか
「…ここは」
と言い始めた。
「ここは蜃気楼殿と呼ばれる館です。貴女はここの前で倒れていたのですよ」
と教えると、彼女は起き上がり、私の手をつかんで懸命な眼差しでこう言った。
「私を匿って!」