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NO.9 鬼の出現に関する会議

後半変えました

その会議が開かれたのはある極東の島国、ヤマトの首都、政府内の会議室である。

今回の会議に召集したのは名だたる部隊、陸海空の中でもエースと呼ばれる部隊を率いている者や軍その物を統括する者、軍関係者のトップと呼べるものたちだ。


「では、会議を始めていこう。情報は手元にある書類に載っているのがすべてだ」


目の前の大きめなホログラムに出されているのは中世の館とでも呼べはいいのだろうか、それなりに大きな建築物が写し出されている。

このホログラムは一昔前、文明崩壊を起こす前はSF映画なるものに登場していたらしい。

無論、魔法によるものだ。

やはり魔法がなければなりたたない社会になってしまったなと祖父が言っていたのを思い出す。もう「あの」事件は昔のものとして歴史の教科書のなかにしかない。

そう、突如として鬼が現れ、猛威を振るった事件。あの名前は端的にこう呼ばれる。

ただ、「破壊」、と。

話を戻そう。


それなりに広い部屋の中央に写し出されたホログラムを囲み、トップ陣がズラリと並んでいる。SP等ですら入ることが許されない。これは正に国家事案なのだから。それもかなり重大な。


「ではまず、「奴」をヘーク軍団長が奇襲したときの動きを見てみよう」


ホログラムがかたちを変え、戦場のはるか遠くから千里眼という魔法を用いて確認した映像を写し出す。

会議室がザワザワしだす。


「飛行可能か、対空ミサイルがいるな」

「爆撃できるか?」

「数を増やせば…あるいは」

「あやつが召喚したあの生物は一体……」


「では、有効と思われる作戦を考えていこう、まず空軍から」


まだ若いのに髭のはえたエース部隊の隊長が立ち上がる。


「ミサイル攻撃が得策かと」


無論、昔の文明のものではなく、魔法にほとんどを任せきりの、という修飾語がつくのだが。


「考慮しておこう」


「次に陸軍」


「戦車を使っての一点集中砲火が有効と思われる」


THE軍人とでもよべはいいのだろうか、軍人のイメージそのままの顔つきの陸軍長の一言。

やはり戦車か。

戦車の駆動には大量の魔力を必要とする他、そのようなことができる人は限られる。

今回の作戦は大量の殉職者が予想されるな。


「最後に海軍」


「ううむ、海からではどうしようもないのう」


白髪に髭の初老の海軍長。彼の考えはいつも的確で隙がない。

まぁ今回は素人でもわかるのだが。

「奴」の本拠地は海から大分離れた山がちの場所。

海からでは手もでないだろう。


――というわけで陸軍と空軍の合同作戦が考案されたのだ。



テラスに出て、空を仰ぐ。

もう夜だ。辺りを漆黒が覆い、漂う。


叢雲に囲まれた下弦の月は、今の私たちを揶揄している気がした。


そういえば、≪あの日≫もこんな月だったな。

私がすべてを失った日。■■への復讐を誓った日。


血の涙を流し、でもなにもできなくて。ただ現状を受け容れるしかなかった、死に彩られた絵画。


これは、過去の物語。


そして、絶望と決意の、物語。


新章―過去編『破壊』―

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