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序幕~戦いの歴史はバーチャルへ~

重複連載です。是非楽しんで頂ければ幸いで御座います

ここは、魔族と人間達が長きに渡り争い・・・大海の様な血を流し合ってきた世界。その歴史の中で、どちらの種族にも、それを統治する強大な力を有した者が生まれた。魔族側は”魔王”と呼ばれる一人の女。人間側は”勇者”と呼ばれる一人の男。両者は互いに巧みな戦略と”魔法”を用い、戦争は熾烈を極めた。だが、どれだけの歳月を掛けても、その戦争は決着する事は無かったのである。


 

 そしてそれから幾千年の時が経ち・・・その争いの歴史は、彼らの子孫にまで受け継がれたのであった。






「勇者様・・・お怪我は・・・?」

「大丈夫だ。お前は自分の身を案じろ。・・・・ここから先は死の覚悟が伴われるぞ・・・」

「心得ております。しかし・・・遂に・・・・遂に辿り着いたんですね・・・・!」





俺は、己の身に纏う銀の甲冑を揺らし、前方に広がる景観を網膜に焼き付けた。・・・俺の後ろに隊列を成しているのは、数百を越える王国専属の精鋭騎士。長年共に戦火をくぐり抜けてきた部下であり、仲間である。


 ・・・漆黒に淀む雲が流れる空から、一縷の雷光と雷鳴が轟く。俺達は遂に、敵の根城である”魔王城”を探し当て・・・そして突入を決行する寸前であった。


 目の前にいては、その全貌を視界に収めることが出来ない程の巨大さ。まさに要塞のような容貌である・・・。この城の巨大さから見て、恐らく内部には数千・・・いや、万を越える魔族兵が潜んでいるのだろう。だが、それも想定内。俺の人生の全てをこの日の為に費やしてきたんだ・・・絶対に魔王の首を掻き切ってやる・・!!





「お前達・・・・・一人として死んでくれるなよ・・・。忌々しき魔の王の首を携え、必ず生きて・・・王国へと凱旋するんだ」

「当然です・・・!我々に裁けぬ悪など御座いません!」

「えぇそうですとも勇者様。・・・今こそ、この生命を賭して勝利を掴みましょう!!」




騎士達は皆各々奮起し、勇猛な言葉を並べた。




「・・・・・有難う・・・我が同志よ・・・」




俺は静かに右手を天に(かざ)し・・・肺を潰す程に叫んだ。




「忌むべき魔族に鉄槌を・・・・!行くぞおおおおぉぉぉぉぉおおおおぉぉぉおおお!!!!」






それに続く騎士達の戦意の叫びは・・・轟く雷鳴よりも鼓膜を震わせたのであった・・・。








「ま、魔王様!魔王様大変でございます!!!」

『何?”側近A”・謀反者でも現れたのかしら?』

「違います!!ゆ、勇者共が・・・この城に突入を図ったのです!!」

『え、勇者”様”が!?嫌だどうしよう・・・こんなすっぴんでお会い出来ない・・・』

「顔赤らめてる場合ですか魔王様!!!あなたと勇者は敵同士なんです!!見つかれば、問答無用で皆殺しですよ!!?」

『マジですか・・・・』

「マジ過ぎます!!!だから魔王様・・・・」





    ――――――「早く”帰って来てください!!!!」





薄暗い洋室に、絢爛な金の燭台が転々と置かれている。そこに灯る火は、内部を仄かに照らした。

 先程から何かを訴えかけている側近の魔族の男。そして、彼が語りかけているのは・・・・







『えー・・・・だって私、まだ”装備”作ってないんだよ?』






一台の”液晶テレビ”のモニターに映る・・・・右下に”Lv.2”と表示された『魔王』の姿であった。

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