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恋蝶詩  作者: 楼榮 槐
9/13

9詩


篠の住む場所は通りに面した借家の2階だった。1階では団子屋を営んでいるらしい。囚人であるにも関わらずあきないをし、平和な生活を行っているのは、この村の囚人たちがただの巨悪な人間だけの集まりというわけではなく、中には主上おかみに逆らった者たちや、害もないのに思想が違うことで連れてこられた者もいるであろうことを篠は容易に想像できた。この御時世だ。主上に少しでも逆らえば投獄、死刑。思想が違えば罪。理不尽であるかもしれないが、それが正義であることに篠は少しも疑わなかった。忍が仕えるは領主や大名、その領主や大名を統一してる主上にこれ以上なにを求めようというのだ、というほどまでに篠は忍というものに誇りを持っていた。それは幼い頃から父が長官を務めていたという環境下におかれ、今まで他のものに興味を惹かれたことはなかったからだ。篠には他にはなにもない。ただ忍になるために生きている。


部屋にはイヌワシがいた。篠が幼い頃、父に教わった唯一の鳥の名前だった。

「皮肉なものだな」

一人イヌワシを見つめながら呟く。

幼い頃の思い出を振り返させる、まるでそれは今生こんじょうの別れのようでー







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