4詩
「え!?篠さんまだ試験受けてないんですか!?」
「掟だからな。18になるまで受けさせてはくれねーよ」
「でも篠さんこの前も十勝 真三暗殺に活躍したんですよね?忍として認められても十分じゃないですか!だいたい歴代的に考えても、真の忍になる前に暗殺任務に就ける見習いなんて数えるほどしかいないですよ!」
ほくほく顔にまるで自分のことのように喜んでいるこの少年は葛城 影佐、今年で14歳になる。語尾にいちいちビックリマークがつくような元気が取り柄。能力はなくとも根気の良さと気が利くことから色んな人に好かれている。対して、篠は人と付き合おうとはせず、その能力から他人から疎まれてることもしばしば。一匹狼の篠にとって、影佐は自分に喋りかける数少ない人間の一人であった。なぜ4歳の年の差がありながらもこの二人に関係があるのかというと、以前、影佐が篠に助けられたことがあったからであった。
「篠さんは僕の憧れです!5年前も僕が危なかったときだって.......」
「親の七光りだよ」
影佐が言い終わる前に篠がぼそっと呟く。
「え、何て言いました?あ、そういえば篠さんの生まれっていつでしたっけ?」
「明日」
篠は他人事のように簡潔に答える。何と言ったかに対しての質問には答えていないが、もちろん影佐は気にせず、驚きを声に出す。
「ええ!?じゃあもう試験じゃないですか!今から長官に呼ばれてるのってやっぱりそれについてですかねぇ」
篠はよく喋る奴だなというように横目で見ながら長官室に向かう。
「じゃあ僕はここまでで。篠さんと喋れて良かったです。試験がんばってください!」
篠は、ぺこぺこ御辞儀をする影佐の頭に軽く手を乗せ
「またな、影」
と言い残し長官室に入っていった。