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2詩
「その着物似合うじゃないか」
シノは白地に川が描かれた着物を着ていた。川には輝きを見せるためか金の刺繍がいたるところに施されている。
「ほらここに来い」
真三は自分のいる寝床のほうへシノを呼び寄せる。その手がシノに伸びる前に、シノは着物の袖口に光る小刀を抜き真三の首に突き立てた。
「誰が下賤な名前だって?俺は皇家長男、皇 篠だ」
静かに凛とした声を放つ。
「皇!?皇家ってあの.....」
真三は篠に触れることも叶わず息絶えた。一瞬のことだったが部屋の外に待機していた家来たちが真三の異変に気づき、彼の寝室にどかどかと集まる。篠は刀を持った男たちに囲まれているにも関わらず、何事もなかったかのように顔についた返り血を拭った。