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自惚れ 5


その日の放課後、大介とユキチの周りにはまだたくさんの生徒が押しかけていた。


二人は愛想よく接していたが内心は”いい加減にしてくれ”と思っていた。それもそのはずで時計の針は4時半を指していた。


やっと二人になるとユキチが、

「大介、今日は疲れたな」


「でもたくさんの人と話すのも悪くない」


「のん気だな」


「生まれつきさ。だけど1日に20人以上の女の子とLINEを交換するなんて2度とないぜ」


「お前は誰でもいいんだな」


「ユキチ、女の子が勇気を出してLINE交換をしてくださいと求めてきたら、タイプじゃないからって嫌とは言えないよ」


「大介、そこがお前の弱点だ。付き合う気もない奴を相手にしてどうすんだよ。すでに名前と顔が一致しない女の子もいるだろ。やさしさはときに罪になることがあるんだ」


「それでユキチはみんなに彼氏がいるって言ったわけか」


「LINE交換なんてしたらあと後面倒だろ。タイプじゃない男と関わるほど暇じゃないんでね」


「えー、あれだけの数の男を無視するのか」


「お前に関係ないだろ」


「おおありさ、今後のことがあるからな」


「誰とも付き合う気はねえよ」


「わかった、ケリがついたところでさっさと帰るか」


「大介、なんかこうスカッとしたいな。カラオケにでも行かねえか」


「時間はあるけど、俺の歌なんか聴きたかねえだろ」


「メンバーの実力を知るのもリーダーとしての大切な仕事だからな」


「わかったよ、駅チカにあったな。試しに行ってみるか」


「あいよ」


二人は寄り添うように校門を出た。5月の空気は爽やかで空の蒼さが一枚の絵のように際立っていた。普段はよく喋るユキチも静かだった。大介はあれだけの男を相手にしたのだから無理もない、と見守って歩を進めた。


ユキチとこんなシチュエーションになることをどれだけの男が思い描いているか、大介にもよくわかっていたから中途半端な態度をとることができなかった。ただ、自分に好意を寄せてくれる彼女の姿が心強く嬉しかった。このまま世界が何事もなく、二人の時間だけが続いてくれいたら、これ以上望むことは何もなかった。


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