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ざわめき 5

9月12日、僕の大好きなジョー•サンプルが亡くなりました。75歳。

ジョー• サンプルと言えばジャズ•フュージョン界では知らない者はいないほどの有名なピアニストです。彼は高校時代から音楽活動をはじめ、1960年代にジャズ•クルセイダーズを結成。その後ザ•クルセイダーズに改名して、インストルメンタルからはじめてヴォーカルをフューチャーしたポップでメロウな名曲『ストリート•ライフ』を発表します。

ランディ•クロフォードを起用して作られたこの作品のクオリティは高く、ザ•クルセイダーズの名を世界に知らしめるには十分の出来でした。

だが、この変化が原因でメンバー間に音楽性の亀裂が生まれてしまい、1988年に惜しまれながら解散してしまいます。21世紀に入り再結成するなどの話題を振りまきました。僕が特に好きだった『メロディーズ•オブ•ラブ』と合わせて是非1度聴いてみてください。こんな繊細なピアノを弾くアーティストがいたことを1人でも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。


霧島洋子と大島説子は京急の青物横丁駅で待ち合わせてから品川方面に向かい、泉岳寺駅で都営浅草線に乗り換えて、都立海東高校のある馬込駅に9時頃到着した。


大介の説明によれば、改札口を出て第2京浜を背にして目の前の通りをそのまま10分も歩けば、左側に白い校舎が見えてくるはずである。


5月の連休に入ったとはいえ、天候はまだまだ肌寒く半袖のTシャツでは目立ってしまう。それでも敢えて洋子がカーディガンを羽織ってこなかったのには重大な意味があった。


大介のために作ったステージ用のTシャツと同じ物をもう1枚作っておいたのだ。それを着て会場に行けばみんな恋人同士か、それに近い関係だろうと思うだろうし、何よりユキチに対して宣戦布告をすることが一番の目的なのだ。


こんなに早く来たのも大介の演奏を目の前で見たかったからだ。 洋子が説子にその理由を話したとき、彼女もニッコリ笑って承諾してくれた。洋子はこれから始まるショータイムがどんな展開を見せるのか予想もつかなかった。ただ、誰よりも大介を愛していた。


「ねえ洋子、やっぱり誰もいないわね。ライブが始まるの何時だったっけ」


「うん、1時からよ。まだ3時間ちょっとあるわ」


「何やって時間を潰す」


「そう言えば最近説子は男の話をしないわね」


「だって周りにいい男がいないんだもん」


「えー、説子のクラスにバスケットやってるかっこいい人いるじゃない」


「洋子、あなた3組なのにどこからそんな情報仕入れるわけ」


「だってかっこいいんだもん」


「あいつはダメよ、モテて当然だと思っているから相手にされないわ」


「ふ〜ん、中身も大事だからね。そうだ大介にバンド仲間紹介してもらったら」


「え〜、バンドマンって1番危ないって言うじゃない。それに私焼き餅焼きだからとても我慢できないわ」


「じゃあ、スポーツマンは」


「そうね、一生懸命何かに打ち込んでいる人には惹かれるけど、練習ことばかりで私のこと全然考えてくれないのなら、やっぱり普通の人がいい」


「普通の人って定義は結構難しいわよね」


「なにが普通なのか個人差があるからね。無個性でもやっぱりやだし、芯がしっかりした人がいいな」


「こんな話で3時間ももたないわ」


「それより洋子昼ごはんどうするのよ」


「3時頃には食べられるわよ」


「えー、だってこの辺りの土地勘なんてないでしょ」


「大介に聞けばいいじゃない」


「会える保証なんてないじゃない、大介は食べるの別でしょ」


「うん、開演前の空き時間にバンド仲間と食べるって言ってた。それに会場の後片付けもあるから一緒には帰れないって」


「なによ最悪じゃない。全然話もできないの」


「ううん、あまり話せないけど公演が終わったらサッカーゴールの辺りにいてくれって」




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