希望 3
第24回 都立海東高等学校の新入生ロック•フェスティバルは午後1時開演であった。だが、出演者たちの集合時間は朝8時と早かった。というのも会場の体育館に椅子を並べたり、機械のセッティングや各自のリハーサルなどを考慮に入れると、十分な時間とは決して言えなかった。
大介は7時45分に学校に着いた。校庭の中に入ると、すでに色とりどりの衣装を身につけた出演者たちが大勢集まっていた。ユキチの姿を探すと他のメンバーと一緒にいた。
「なんだよ、俺がビリかよ」
「おー大介、余裕だな。今日の出演は8組だぜ」
「俺たちは何番目だ」
「3番目だ」
「いい順番だ。俺たちの前はどんな曲をやるんだ」
「オープニングはレミオロメンの『粉雪』、2番目がBoz Scaggsの『Breakdown Dead Ahead』だ」
「粉雪にボズ?」
「大介『粉雪』を知らないのか。パンチの効いたバラードだ。歌いこなすには相当なテクニックがいるぜ」
「馬鹿野郎『粉雪』ぐらい知ってるさ謙二。俺が驚いているのは今時ボズを知っている高校生がいるってことさ。しかも『We’re All Alone』じゃなくて『Breakdown Dead ahead』をうたうって言うんだからな」
「ロックの黄金時代の曲が多いんだ」
「ユキチ他には」
「Led Zeppelinの『天国への階段』、Derek&The Dominosの『Layla』、The Eaglesの『Hotel California』だ」
「ギターが好きな奴らが多いんだな」
「うん、でもいいところに目をつけてるぜ」
「ツエッペリンなんていったらどうしてもロバート•プラントのヴォーカルやジミー•ペイジのギターに注目が集まるからやりにくいぜ」
「大介、よっぽど自信があるんだろ。それに『Layla』も侮れないぜ」
「ああ、『Layla』はエリック•クラプトンがデレク•アンド•ザ•ドミノス時代に、ジョージ•ハリソンの奥さんだったパティ•ボイドにイカレちまって、思いの丈を込めてうたって彼女を横取りしたいわくつきの曲だ」
「ボトル•ネック奏法をやるかもな」
「おいおい、デュアン•オールマンみたいな凄い奴がいるっていうのか」
「わからねえよ、それに『 Hotel California』だって名曲だ」
「そうだ、ジョー•ウオルシュのギターも最高だったからな。なんかワクワクしてきたな」
「後はSuper flyの『タマシイレボリューション』とMr.Childrenの『エソラ』だ」
「ユキチ、Super flyの越智志帆のヴォーカルも半端じゃねえし、ミスチルも『エソラ』を選ぶあたり素人じゃないぜ」
「こりゃあ、高校生活も楽しいかもしれないな」
「ああ、期待外れじゃないといいんだが」




