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戸惑い 4


スタジオの隅で俯いている姿を見つけてユキチが近づいていった。


「大介、元気がねえな」


「そんな事ねえよ」


痛いところを突かれ大介はすこしムッとした。


「おめえなりに頑張ったのに言い方が悪くて傷つけちまったか」


「気にするな」


「気にするさ、あたいには何を言ってもいいんだぜ」


「大したことじゃない」


「無理してねえか。『BURN』はあたいたちのおはこなんだ。だからついムキになっちまう。顔色が冴えないから自信があったのかと錯覚したぜ」


「本当に可愛くねえな。レベルの違いにすこし驚いただけだ」


「やっぱり傷ついているじゃねえか。あと1週間しか時間がねえんだ。だからギターソロはなしでいこう」


「そいつはありがてえ、プレッシャーが減るからな」


「大介、実だって10年以上のキャリアがあるからあんな演奏ができるんだ」


「10年やれば俺もあそこまで辿り着けるかな」


「大丈夫さ」


「いつからそんなに軽くなったんだ」


「大介、世界には実以上のやり手がごちゃまんといる。そんな奴らにも負けないミュージシャンになろうぜ」


「口ではなんとでも言えるさ」


「一人では無理かもしれないけど、集まれば1足す1を3にも4にもできるのが人間じゃねえか」


「俺には荷が重い」


「あたいと一緒に頑張ってくれよ」


「おい」


「お前しかいねえんだよ」


「どうしたんだ」


「どうしても必要なんだよ」


「何を言っているんだ」


「お前とずーっと一緒にいたいんだ」


「……」

「これ以上言わせるな」


大介は最初ユキチが何を言いたかったのか、わからなかった。それが徐々に確信へと変わるにつれ途轍もない衝撃が全身を駆け巡っていた。目の前の世界は大きく歪み、躰の機能も麻痺してそれから後のことは記憶として一切残らなかった。


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