18歳の誕生日 2
「あなたたち、どうなの?」
一緒に暮らしたいと言った周人と乃笑留に、小百合は身体の関係を問い質した。
「ママ、ひどいよ!」
「乃笑留、待て」
思わず母親に食ってかかろうとした乃笑留を周人は握っている手を振って制した。
「周ちゃん、待てって!」
すると乃笑留は周人に向き直って、こんどは周人にかみついた。周人は何度も頷いて、乃笑留に落ち着くように促すとこう言った。
「サユママ、正直に言うよ。いや、正直に言います。俺たちキスは何度か……ってかしょっちゅうしてます。でも、まだエッチはしてません。許してもらえたらそろそろ良いかなとは思ってたけど……」
「周人!」
今度は圭子が周人を睨んだ。まったく、やっぱ弘毅の子どもだわ。ってか私の子どもでもあるんだけどさ。今言って良いことと悪いこと判らないかな。圭子ははらはらしながらそう思った。
「そう、正直ね。安心したわ」
しかし、小百合がそう言って笑顔になったので、その場の小百合以外の全員から安堵のため息がもれた。
「でも、あなたたち洋介さんがいたら、今日と同じことが言えた?」
続いて小百合にこう言われたので周人は素直に被りを振った。確かに、洋介パパなら激怒して最悪殴られるかもしれない。優しいサユママだからって甘えていたのかも知れないなと……
「周人くんは大学に行くつもりなんでしょ」
「うん」
「親のすねかじりでおままごとなんて許さないわ。けじめをつけないで二人で生活なんて始めたら、楽な方に流れていくのは目に見えてるし」
サユママの今日の一言一言が周人には痛かった。
「乃笑留もそう、何か資格を取るために大学か専門学校に行ってほしいと思っているから」
「でもママは高校、私立に行くお金なんかないって……私国立大に行く頭なんかないわよ。専門学校だって、短大に行くぐらいはお金かかるって聞くし」
「あなた、周人くんがいる北高以外は眼中になかったじゃない」
確かに周ちゃんがいたから選んだんだけど……それだけではなく、北高は就職率もなかなかいい。我が家の経済状態を考えると、進学なんて選択肢はあり得ないと思っていたからいろんな意味で北高にしたのに。それに、今までそんな進路の話は一度もしなかったじゃない。乃笑留はそう思ってむくれた。
「パパが亡くなった後、ママが仕事しながら資格を取って今の仕事に就いたのは知ってるでしょ」
小百合にそう言われて乃笑留は頷いた。乃笑留が小学生の頃、ママはいつ寝ているのか心配になるほど、ママは仕事に勉強にと明け暮れていたっけ。
「周人くんがパパと同じようになるなんて微塵も思ってないけど、何かあったときに役立つ資格は取っておいて欲しいの。そのためにパパの保険は残してあるのよ。それに……」
それまでしゃきしゃき話していた小百合は急に言い澱んだ。
「それに、何?」
「ママに似てたら……」
ママに似てたらそれがどうだと言うのだろう。乃笑留が首を傾げる中、弘毅と圭子は小百合の先程の過激な発言の本当の意味が何となく判り始めていた。