18歳の誕生日
この日は周人の18歳の誕生日を祝うパーティーが桜木家で開かれた。
「周人ももう18歳か……なんかあっという間だったような気がするわ」
圭子はため息をつきながらそう言った。
「そうよ、お互いそれだけ年を取ったってことだもんね」
小百合が笑いながらそれに答える。
パーティーが終った後、周人は乃笑留を伴って小百合の前に緊張した面持ちで正座した。
「サユママに相談って言うかお願いがあるんだけど」
「何?」
小百合はにこやかにそう尋ねたが、周人のただならぬ緊張ぶりに徐々に表情が曇り始めた。照れまくっている周人はそんな小百合の表情の変化に気付くはずもなく、乃笑留の手を握り言葉を続けた。
「俺……18歳になったよ。これで法律上は結婚できるようになった。だから、乃笑留が高校を出たら一緒に暮らしたいと思うんだけどダメかな」
「周人、ちょっとあんたそれ!」
この爆弾発言には、思わず先に圭子の方がかみついてしまった。圭子は小百合の方を見た。彼女は厳しい表情で二人を見据えていた。
「断るわ。それと事と次第によっては、この場で私は乃笑留を連れて帰るわ。そしてもう二度とここには来ないから」
小百合はそう言うと、一度大きく息をした後、こう言ったのだった。
「ねぇ、周人くん、乃笑留……正直に教えて頂戴、あなたたち身体の関係はあるの?」
「な!」
「ママ!」
普段こうしたことを話題にしない小百合からの質問にこの場の空気が一瞬にして凍りついた。
「大事なことなの。もしそうなら、私はあなたたちのこれからを許すわけにはいかないわ」
――身体の関係があるなら別れさせる――
(逆じゃねぇのかそれ……)弘毅にはいきなりこう切り出した小百合の真意が判らずそう思った。